番組審議会

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第494回 番組審議会議事録概要

1.開催日時

令和2年 2月12日(水)正午より

2.開催場所

東京都港区台場2-4-8 フジテレビ本社

3.出席者

  • 委員長
  • 但木敬一
  • 副委員長
  • 毛利衛(リポート出席)
  • 委員
  • 梓澤和幸、井上由美子、岡室美奈子、小山薫堂、最相葉月、三浦瑠麗、増田宗昭(リポート出席)
  • 局側
  • 遠藤社長、岸本専務、和賀井専務、石原取締役、清水取締役、小林取締役、金光取締役・FMH社長、塚越執行役員編成制作局長、若生執行役員広報局長、矢延制作局長、山口報道局長、齋藤編成部長、森本電波担当部長、齋藤考査放送倫理部長、西村週刊フジテレビ批評担当、長嶋編成部、花苑チーフプロデューサー、加藤ディレクター、柴崎執行役員番組審議室長、坪田番組審議室担当局長兼部長、熊谷番組審議室

4.議題

『ウワサのお客さま』
2020年1月24日(金)21:00~21:55放送

各委員からは、審議番組に関して以下のような意見が出された。

  • 番組で取り上げた激辛、高脂質ダイエットと二つの食事法とも、体にとって危険を含んでいる。例えば医者が出てきてコメントを言うなどの留保が必要だが、テレビというものが持っているある種の危険、不特定多数が真似するかもしれないという怖さについて認識していただきたい。
  • 激辛の方は、普通の人が汗をかいたり咳き込んだりするのは身体的な拒絶反応、体が身を守るために発しているサイン。それが出ない非常に稀な人たちは何らかの形で特異な遺伝的な背景を持たれた方だと思う。
  • 身体的に影響するような特集を組まれる時は、そのあたりを科学的、医学的にどうなのかを押さえていただきたい。
  • 別の放送回で、6億円の宝くじが当たった当事者を顔出しで紹介したが、高額当選者の顔出しは滅多にないので、非常に面白かった。この番組は特集によっては、もしかしたら良いコーナーがあるのかもしれない。
  • せっかくパキスタンとのダブルの谷マリアさんがスタジオにいたので、文化の違いも伝えることはできたのではないかと残念に思った。パキスタンでは小さい子でも辛味度で言うと20ぐらいの食べ物を毎日食べているみたいな慣習の違いと併せて見せれば良かったと思う。
  • 世間では、糖質抜きとか脂質を抜くダイエットとか、玄米だけを2週間食べるダイエット、ファスティングなど様々なものがあり、これが番組がお薦めするダイエットではないと一言あっても良かった。
  • 素人を取り上げる番組は現在は凄く多いが、お店のお客様にクローズアップするのは案外少ないので、企画としての新鮮さはあると思った。
  • 取り上げたお客様の生活を紹介するだけでなく、その人の人生や背景をもう少し掘り下げた方が面白くなる。もう少し突っこんでいくと、泣けるか驚くような物語があれば、視聴者も感情を揺さぶられるのではないか。
  • タイトルと番組コンセプトを聞いたときから面白そうだと感じ、やられたと思った。(お客さまという)視聴者密着バラエティというフレームは一つの発明品だ。
  • 商いを通して人の人生が見えるのか、もしくはお客さまを通して商いの今とか本質が見えてくるという核みたいなものは必要だ。
  • 素人が見ても体に悪影響を及ぼすと思われるような激辛の食事とか、高脂質ダイエットを警告なしで面白がって放送することに大きな違和感を覚えた。テレビの公共性とか影響力をどのように考えているのか。
  • せっかく『ウワサのお客さま』という枠組みがあるのに、いつの間にかその枠組みがどこかへ行ってしまった。お店とは関係なく激辛クールビューティーとか高脂質ダイエットの人がクローズアップされるところが問題では。
  • せっかくサンドウィッチマンが出ているので、彼らが批評的な役割を担うことが出来るのではと思った。何か客観的な引いた視線をもたらすことで危険は少し回避される気がする。
  • 番組中盤から終盤にかけて(視聴率が)上昇していた。多くの方が離脱することなく最後まで番組を見たという結果。「こんなことをするのは、一体誰なのだろう」「どうしてこんなことをしているのだろう」という謎解きに参加する気持ちで引き込まれていったと推測した。
  • 一方、「こんな人がいるのか」という驚きはあれど、余り愉快な気持ちにはなれない。激辛メニューを食べる女性、肉と油を摂取してダイエットする男性。応援する気持ち、共感する気持ちにならなかった。
  • ぎょっとする行動だけが印象に残る「奇行バラエティ」に見えてしまった。
  • 番組名は、ユニークで面白い切り口。店側、店員の側から見た「お客さま」という視点が新しく、興味深く拝見した。
  • テーマ的にも映像的にもオリジナリティの感じられる1時間番組。
  • 狙いとしては面白いし、可能性としては凄くあって、いろんなことを番組の中で取り入れられる可能性があるということでは非常に広い窓口だ。
  • 皆さんが謂うとおり危険性という問題もある。これはこういう危険性がありますよとやるのはバラエティとしては変な形になるので、その辺は上手く雰囲気を壊さない方法でやられたらいい。
  • サンドウィッチマンをせっかく抱えているのだから、彼らを生かして、サンドウィッチマンの雰囲気を、番組の雰囲気にしていくのがいい。

これに対して番組サイドからは以下のような発言があった。

  • 金曜日の夜を迎えるまでに視聴者が送ってきた生活に接点のあるものを提示して、そこで楽しんでもらうというのがコンセプト。視聴者は消費者であり生活者、その1日若しくは1週間の行動に近づけられないかというところが発想だ。キラキラしたスターたちが何かするというよりも、生活の延長線上にあるものの中でエンタテインメントを作れないかという着想の番組だ。
  • 健康を害する行為を公共の電波で扱うには何らか配慮が必要ではないかという件は、当初から検討した。
  • それを結局真似する人がいる、若しくはテレビで扱っているということは一定以上の安全性があるものと捉える人がいるという指摘については、今後の課題として、考えていかなければいけない。
  • 出演者には視聴者が見るのと同じスタンスで見てほしいという演出をしている。事前に一切伝えずに見てもらっているが、今回はその人ならではのコメントが上手に出なかったかもしれない。
  • サンドウィッチマンの活用については、今後、総合演出、事務所も含め相談していきたい。
  • この番組はとにかく市井の人を取り上げたいと、今の時代にどう個々の人を捉えたらいいかというところで、出来上がった。
  • その意味で、取り上げた人を肯定も否定もせず。ただ、共感は得られないといけないものだと再度感じており、エクスキューズをどう表現して、テロップなりナレーションなりで出していくかは深く検討して、今後の番組作りに生かしていきたい。
  • 今回は、コストコのネタを担当した。私自身が主婦で子どもが2人、割とスーパーに寄せたネタをいつも担当している。一般の視聴者と同じ目線でブレないような演出ができたら、番組作りがやっていけたらと思っている。

制作サイドの発言に関して、委員から以下の発言があった。

  • 視聴者は生活者であって、生活者の日常の延長として接点を探っていくというコンセプトは非常に素晴らしいが、実際の番組がそう見えないのはなぜか。接点を強調しているが、あの激辛クールビューティーの方とか高脂質ダイエットの人と私の間には何の接点もない。

その他の、フジテレビ、あるいは放送全般についてのご意見
新コロナウイルス報道について。

  • 1919年に起こったスペイン風邪は、全世界で記録によると5000万人の死者を出した。WHOが出している非常事態宣言がどのぐらいの意味を持っているのか。特に、オリンピックという外国人の流入が非常に激しくなる行事についてどういう提言をしていくべきなのかということもあり、経済、政治上の重要な問題だ。またテレビ局としてはどういう公共的な責任を果たしていこうとしているのが伺いたい。

これに関して、フジテレビサイドからは以下の発言があった。

  • 「この種類の報道については流言飛語の類いが飛ぶので、報道機関として特に冷静に事実関係をしっかり伝えろ」という指示もあり、それに基づいて考えて取材、報道をしている。
  • さらに、感染者あるいは感染しそうな場所にいた方、船やチャーター便の同乗者など、プライバシーの面で不利な扱いを受けないように、十分気をつける、風評被害が広がらないようにする、流言飛語に乗っからないなどなど重視しつつ、報道、配信を行っている。

<委員>

  • 一体どのぐらいの危険度でどのぐらいのリスクを想定したらいいのかについては、日本のメディアは米欧のメディアよりも落ち着いている部分もあるが、圧倒的に科学的知見を可視化して見せるのが遅い。
  • ニューヨークタイムズの「How Bad Will the Coronavirus Outbreak Get?」という記事がある。この記事では縦に致死率を対数目盛でとって、横軸に感染力をとっている。存在の可能性領域という考え方をもう少し導入した方がいい。可能性領域であれば責任を持ってウォーニングをできる。
  • 専門家を呼んだときに、感染症の専門家なのか、現場で医師として疑いが濃いような肺炎患者を診ている方なのか、それとも制度設計に詳しい方なのかによって全然違う。その相場観を現場の制作陣が持てない状況にあるんじゃないか。

<フジテレビサイド>

  • 可能性の領域という考え方を入れた可視化ということについては、大変重要なご指摘をいただいた。そういった部分をこれから十分研究していきたい。
  • 専門家にもいろいろな専門分野や、立場によって内容に違いがあるのはよくわかっており、BSフジの『プライムニュース』などで通常扱っているような話題については、蓄積は十分できている。しかしながら、パンデミックの危機についての蓄積は不十分だった部分もある。次の事態に備えて相場観をきちっと作っておくということはぜひやりたい。

<委員>

  • 視聴者が一番今知りたいのは、これがどう治っていくのか、治るんだったらワクチンの開発は現在どうなっているのかというポジティブな情報だ。1月の中旬に中国当局が新型コロナウイルスのゲノム情報を公開し、その翌日にはアメリカの製薬会社が動き出し、CEPIという、感染症の世界的ネットワークをもってワクチンの開発を支援しようと活動をしている団体が、各製薬会社や研究機関などに大型支援をすることを発表している。初夏までにはワクチン開発のための初期臨床試験をスタートすると発表しており、そういったことは非常に安心材料になるので同時に発信していただきたい。

<フジテレビサイド>

  • 今のところWHOの話と政府の話を総合して考えると、1年以内にワクチンができる可能性は非常に低い、今の時点では警戒をして、感染を拡大させないようにすることにウエイトを置いた報道の方が冷静かと考える。
  • 治りかかっている、あるいは治った方たちについての情報を出してほしいというのは全くそのとおりだ。心がけたい。

BPO放送人権委員会で審理入りの事案について、報告。

  • 審理対象となったのは昨年8月30日放送の『とくダネ!』。公園で大縄飛びをしながら歴史を暗記するという都内のある学習塾の活動に関して周辺の住民から苦情があり、行政が禁止の看板を立てるなど規制を始めたという話題について放送した。放送後に、インタビューを受けた住民の1人から番組に抗議があり、さらにBPOに対して申立てがなされたもの。
  • インタビューの素材も確認し、インタビューの趣旨を加工せずにそのまま放送しており、捏造などではないと認識している。当方からBPOに対しては既に答弁書を提出しており、今後、粛々と対応してまいりたい。

5.その他

  • ◇次回の第495回は、3月11日の水曜日。
  • ◇審議番組は『とくダネ!』、審議回は後日連絡。

以上。