番組審議会

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第492回 番組審議会議事録概要

1.開催日時

令和元年 11月13日(水)正午より

2.開催場所

東京都港区台場2-4-8 フジテレビ本社

3.出席者

  • 委員長
  • 但木敬一
  • 副委員長
  • 毛利衛
  • 委員
  • 梓澤和幸、岡室美奈子、小山薫堂、最相葉月、三浦瑠麗、増田宗昭(リポート出席)
  • 局側
  • 遠藤社長、和賀井専務、岸本専務、松村常務、石原取締役、清水取締役、小林取締役、金光取締役・FMH社長、塚越執行役員編成制作局長、若生執行役員広報局長、山口報道局長、矢延制作局長、大野情報制作局長、齋藤編成部長、中山技術局次長、齋藤考査放送倫理部長、西村週刊フジテレビ批評担当、中嶋制作統括、松本CP、冨田演出、立本担当局長、立松室長、佐々木統括部長、春名編成担当、柴崎執行役員番組審議室長、坪田番組審議室担当局長兼部長、熊谷番組審議室

4.議題

『上沼恵美子×坂上忍の東西べしゃり歌合戦』
2019年11月1日(金)19:00~21:55放送

各委員からは、審議番組に関して以下のような意見が出された。

  • バラエティ番組としてはとても楽しく3時間を拝見した。関テレとの共同制作とのことだが、関西と関東で視聴率が全然違うのではと感じるぐらい関西寄りのコンテンツだった。
  • なぜこの番組を審議対象にしたのか。関テレとの共同制作がポイントだと思うが、挑戦的だったりして審議の余地があるフジテレビぽい面白いものがあるはず。
  • 全国各地の系列局と本気の共同制作バラエティをやるのはどうか。キー局では気づかない発掘感のようなものとか、一方で系列局へのテクニックや演出面でのフィードバックとか、お互いがウインウインになるような新しい発明品が生まれる気がした。
  • 上沼恵美子トークショーに徹したところが良かった。何を見せたいかハッキリしていた。歌はむしろおまけで、上沼さんがゲスト達とどういうトークを繰り広げるかがメインであり非常に見やすかった。
  • 安心して見られる面白い番組ではあったけれども、何か革新的なところ、思い切ったところは余り見えて来なくて、上沼さんのトーク力に頼った番組という印象も持った。
  • アインシュタインの顎が出ている芸人さんの顔を長い時間かけて話題にすることは良くない。あれだけ長い時間かけて顔を話題にするのは結局、学校のいじめにつながる。
  • 海原千里万里の時代から上沼恵美子さんはずっと見てきており番組の感想としては非常に嬉しかった。その人をフジテレビが全社を挙げて接待しているというのが、最後の2曲続けて歌を聞かされたところも含め、一つの会社の縮図を見ているようだ。
  • 若手芸人の逮捕歴の話や、女性ゲストが28歳まで彼氏がいないことに対して「綺麗な体」と表現したところとか、ちょっと間違うと、芸能ニュースのネタにされそうなタブーに近い話題を次々と上沼恵美子が引き受けて、不快さを出来るだけ軽減するようにさばく見事な話術を堪能した。
  • 「綺麗な体」という発言(を編集でカットしなかったこと)に凄い危うさを感じる。女性がセックスをすること=汚れることであるという価値観を潜在的に植え付けている日本社会の伝統、この表現はもはや無理である。これをウエブ媒体の記事でやったら確実に炎上する。
  • 顔の問題が出てきたが、今の若手芸人は自分を売り出すために何でもありという人たちであり、そんなに心配しなくてもと思う。でもそこまで本当にして良いのかということは、テレビ局がある程度考えないといけないところだ。
  • 笑いあり、歌あり、モノマネあり、トークあり…と、視聴者を飽きさせることのない構成で、とても贅沢なエンタテインメントだった。
  • 上沼恵美子さんに対する下にも置かない気の使い方。20年ぶりにフジテレビに来てくれた、ということで歓迎の意を表したのだと思うが、司会者というよりもスペシャルゲストという扱いで接待番組を見せられている気になった。
  • 上沼恵美子さんを呼んで関東でこれだけショックを与えるのは凄い番組だと思った。関東の芸人さんであれだけの人はいない。
  • 地方局とコラボして何か面白いものができるのかなというのも、今後の一つのテーマとしては面白い。

これに対して番組サイド、フジテレビサイドからは以下のような発言があった。

  • 関西テレビとの共同制作ということもあるが、東京というメンタリティーの中で関西を代表する上沼さんのようなキャラクターがどう受け入れられるのか。そこに壁があるのかどうかを一つのテーマとして伺いたかった。事前のプレゼンが足りなかったかもしれない。局の意図をもっと事前に伝えるべく、番組審議室と検討したい。
  • 関西寄りではないかとのご意見もあったが、私たちも上沼さんと仕事するのは初めてで、本当に力強く、聞いていた以上の力を持っていたのが画面に出てしまったのだろうと思う。
  • 「綺麗な体」という発言に関しては、言葉として問題ないだろうと思って放送してしまったので、意識の足りなさを反省しなければいけない。
  • アインシュタインさんの顔の問題について、確かにやり過ぎ、イジり過ぎというのは痛感している。違う彼の面白さを出す演出を考えていかないといけない。
  • 今回、新たな試みとして、いい形で放送できたと思うが、『27時間テレビ』とはまた別に、全国の皆さんのパワーを集結した番組を束ねて新たなものを作ってみたい。

5.フジテレビ、あるいは放送全般についてのご意見

(1)番組審議会にフジテレビ側の女性出席者が少ないことについて。
(2)大学入試英語テスト延期の問題について。

  • 人事について番組審議会が何か口を出せるところじゃないとは思うが、この部屋にいるフジテレビ側の女性が少ない。女性、子どもたちにどう見られるかということが、ここにおける委員の生の発言を通じて番組の改革につながっていくということから言うと、組織的な代表の人が来る以外に、女性にもここの生の声を聞いていただくことを経営の方でお考えいただきたい。
  • 英語テストの延期の問題。あの問題はただの政治の問題ではなく、大学受験という非常に深刻な、高校生が通らなければいけない社会への関門だ。言ってみれば、政治が家庭に踏み込んでしまった。この問題の与える深刻な影響、今後のことについてもっと研究し、少し深く、継続的に取り上げていただきたい。

これについて、フジテレビサイドからは以下の発言があった。

  • フジテレビの場合、女性の割合は、全体的には2割近く、管理職のちょうどこの世代がやはり20%ぐらいが女性だ。最近の新入社員も、結果としては昨年も、今年もほぼ五分五分。
  • ここでの声を聞かせたいとおっしゃっていただいたが、議事録のダイジェストは、なるべく社内全体で読んでもらうように努力している。
  • 以前、オブザーバーで女性のプロデューサーが聞きに来てくれたことがあったが、事務局として女性制作者などの出席を増やす検討をしたい。
  • 英語の試験問題の話。社会的公平性の問題だとか教育制度の問題に限らず、地方と中央の問題、経済的な格差の問題とかいろいろ内包しており、引き続き、地上波を含めて対応していきたい。

(3)『とくダネ!』で放送の精子提供ボランティアの企画について。

  • 10月24日放送の『とくダネ!』で、古市さんが精子提供ボランティアの男性をインタビューしているというシーンが流れた。病気はないとの検査結果を提示されたが、(カルテに)名前が見えていた。古市さんが、あれは仮名ですとフォローしていたが、病院の検査結果はそもそもどうやって作ったものなのだろうというのが疑問にある。
  • 少子化対策にAID(非配偶者間人工授精)を、と言うとしたら、社会的、歴史的背景、またここ10数年ぐらいで急速に進展している技術の背景を踏まえると言うこと、プラス、真の当事者である子どもたちの権利を踏まえて議論してほしい。需要と供給の関係が成立すればいいという話ではないということを、この問題については知っていただきたい。

これについて、フジテレビサイドからは以下の発言があった。

  • 古市さんが言ったように、これに関しては仮名であるという事実関係がある、その見せ方に関してはもう一度きちんと確認させていただきたい。
  • きょういただいたご意見を番組と共有したい。

※参考)番組審議会後、担当部局より改めて回答があり、各委員、社内と共有した。

■放送に映ったカルテの名前やカルテそのものに対するご疑問について

  • 放送では、男性が提示した病院の検査結果の書面にカタカナ名が映っていたが、これは、実際に男性が診療の際に名乗っていた仮名で、書面も男性が病院から受領したそのもの。
  • 番組としては、仮名とはいえ放送上露出するかどうか検討したが、実際に印字された仮名であったため、そのまま隠すことなく放送する判断をした。古市氏にスタジオでフォローしてもらったものの、視聴者からも同様の指摘が寄せられたことから、もう少し放送上丁寧に説明すべきであったと認識している。

■今後の放送における同問題の歴史的・社会的背景などへの留意について

  • 頂いたご指摘・ご意見については、さっそく番組側と共有した。

6.その他

BPO放送人権委員会で審理入りの事案について、報告。

  • BPOの放送人権委員会は、昨年7月に放送したFNN報道特別番組『オウム松本死刑囚ら死刑執行』に対する申立てについて審理入りを決定した。

年内最後の番組審議会につき、遠藤社長から挨拶があった。

  • 本年も1年間、ドラマ、バラエティ、情報番組等々多岐の番組のご批評をありがとうございました。
  • 来年も忌憚のないご意見をいただく1年にしたい。

但木委員長からも、ご挨拶があった。

  • メンバーもかなり代わり、雰囲気も本当に変わった。非常に自由な雰囲気でいろいろな視点からご意見をいただけて、私も大変楽しく、勉強させていただいている。どうぞ来年もよろしくお願いいたします。

◇来月12月、番組審議会は休会。
◇次回の第493回は、新年の1月15日の水曜日。
◇審議テーマは『テレビの“信頼性”と“公共性”~メディア価値をより高めるために~』

以上。