番組審議会

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第490回 番組審議会議事録概要

1.開催日時

令和元年 9月11日(水)正午より

2.開催場所

東京都港区台場2-4-8 フジテレビ本社

3.出席者

  • 委員長
  • 但木敬一
  • 副委員長
  • 毛利衛
  • 委員
  • 梓澤和幸、井上由美子、岡室美奈子、小山薫堂、最相葉月、三浦瑠麗、増田宗昭(リポート出席)
  • 局側
  • 遠藤社長、和賀井専務、岸本専務、松村常務、石原取締役、清水取締役、小林取締役、金光取締役・FMH社長、塚越執行役員編成制作局長、若生執行役員広報局長、山口報道局長、矢延制作局長、大野情報制作局長、齋藤編成部長、中山技術局次長、齋藤考査放送倫理部長、西村週刊フジテレビ批評担当、大江チーフプロデューサー、鈴木総合演出、立本担当局長、立松室長、佐々木統括部長、戸渡部長、田村編成担当、柴崎執行役員番組審議室長、坪田番組審議室担当局長兼部長、熊谷番組審議室

4.議題

『ホンマでっか!?TV』
2019年9月4日(水)21:00~21:54放送

各委員からは、課題番組に関して以下のような意見が出された。

  • 年収1000万円以上の男性と結婚した人と、平均的な収入の男性と結婚した女性の、それぞれの違いと、カテゴリーごとの共通点を探るという企画だったが、一般の視聴者から見たときにこれががどういうふうに面白いのか。
  • 世の中には共働きも増えているし、1000万円稼ぐ男性とどうしたら結婚できるかという視点だけで押し切られてしまうと、少なくとも私の娘には見せたくない切り取り方だ。
  • 現代性に敏感であるべきバラエティとしては、少し古い価値観。例えばスタジオで「そうは言っても、玉の輿なんてつまらない、自分で金を稼いだほうがおもしろい」とでもリードしてくれたら少し印象が違ったのかも。
  • 科学系の情報と知識を、バラエティとして面白く料理するのがこの番組の良さだが、もう少し全体に、ゲストがはじけるようなことを言ったり、専門家も意外な答えを言ったりして、ユーモアや面白さを追求した方が番組のカラーが明確になる。
  • 細かいところの揚げ足を取るのはナンセンスだと思いつつも、やはり、年収1000万円以上の男性と結婚した女性という切り口が、共感をテーマにしたいのか、憧れなのか、実用的なのか、あるいは嫌みというところをいじって遊びたいのかが、わかりにくかった。
  • 個人的には、例えば最後に、「あなたはどんなときに幸せを感じますか」という質問をしたら、1000万の妻と400万の妻はどこか違うのかなと。
  • 最初のコンセプトの「世の中で国民が話題にしているものや噂のエピソードでホンマでっか!?なことを発信する」、その原点に立ち返って、今だから面白くなることがあるような気がする。
  • むしろ高収入の女性に選ばれる男性の条件をやってくれた方が面白かった。
  • 月9の『デート~恋とはどんなものかしら~』では、ニートの男性が自分を養ってもらいたいがために、高学歴高収入の女性と何とか結婚しようとするというドラマで、凄く新しいと思った。
  • フジテレビではドラマでそういう新しい価値観を提示しているわけだから、バラエティでもっと時代を先取りするような価値観を提示していただきたい。
  • (後半の『人生相談』のコーナーで)「弱みを見せるな」と言われて育つと感情表現が下手になるという話は凄く面白かった。「もっと弱みを見せなさい、その方が感情表現が豊かになって楽しい人生が送れますよ」という話が後半で展開されたというのが、前半のマッチョな男性社会の価値観をそのまま称揚する雰囲気とちょうど対になっていて面白い。
  • ちょっと辛口で言うと、400万円の年収と1000万円の年収を比べてあたかも後者の方が上だという前提に立っているというのはだめだ。
  • 番組制作の方向性を決めるところに女性がきちんと平等な発言権を持って入らなければ直らない。こういうことをやっていると、女性で共働きの30代、40代の、辛い日々の中で頑張っている人たちの支持は離れる。
  • 玉の輿の設定に関しては、非常に疑問は持った。視聴者の大部分を専業主婦が占めているとお考えなのかと。
  • 内閣府の「男女共同参画白書平成30年版」によると、1980年以降、共働き世帯が年々増加して、1997年以降、共働き世帯数が男性雇用者と無業の妻から成る世帯数を上回ってきた。2017年、これは最新のデータだが、共働き世帯が1188万世帯、一方で専業主婦の世帯は641万世帯と出ていた。2対1の比率で共働き世帯がある。
  • さすが、長寿の人気番組。その名のとおり、「ホンマでっか!?」とか「そうなのか!」と合いの手を入れながら楽しく拝見した。
  • 高収入カップルの出会いの場は大学が多いとのこと。年収1000万円の男性と400万円の男性の年収差は600万円だが、妻が同じような学歴で同じような収入を得る共働きだった場合、世帯収入は2000万円と800万円で、その差は1200万円。そのようなパワーカップルによる格差課題が専門家からコメントされれば、「今、ここにある課題」に変わったのではないか。
  • さんまさんとマツコさんは、お茶の間が直視したくないような現実も、必ず笑いに変えてくれる天才なので、番組に、社会をドキッとさせる鋭さを加味してもいいのではないか。
  • 新しい制作体制で、番組審議会に出ている制作担当の人は男性しかいない。フジテレビのバラエティをずっと支えてきた人たちの発想でしか物事を見ていないのでは?本当に何か変えようと思うなら具体的に新しい発想ができる女性制作担当を審議会に出席させるなどのことが必要。
  • 今女性はどんどん働いていて出世もするし、収入も高くなってきている。玉の輿に乗りたい人と、そういうことを考えない人とでアンケートを取るのならわかるが。
  • 専門家が言うことがホントかなと疑問を呈する作りは非常に良い。せっかく二大巨頭がいるのだから2人の格闘技が見たい。

これに対して番組サイドからは以下のような発言があった。

  • 女性の構成作家を2人起用、プロデューサーは女性と男性が約半々になってバランスを取っていたつもりであったが、今回新企画を見てもらい貴重なご意見を頂けた。今後は一層女性の意見を取り入れて展開していければと思っている。
  • 今回は、アンケートをとって、その回答を先生方がいかに読み解くという骨子の企画だった。もともと「共通点」というテーマで何か出来ないか思っていたが、自分たちが定めた企画に縛られた部分があったので、今後の反省に生かしたい。

8月4日放送の『Live News it!』で不適切な表現のサイドスーパーが放送された件で、その経緯と対応について報道局長より報告。

  • サイドスーパーを、勘違いしたまま、書き違えたミスが起きた。
  • 対応としては当該番組のローカル枠で訂正とお詫び、また当日夜のニュースでも訂正放送、さらに翌日の夕方のニュースでも訂正を行った。インタビューに応じた男性及び遺族等に対しては、放送翌日担当者が現地に飛び謝罪した。
  • 再発防止策として原稿修正のルールの再確認と徹底、字幕を確認できる画面を編集卓でも見られるよう改善等を行った。
  • これに関して委員から以下の意見があった。

  • かつて系列局でテロップ事故があった。その局は検証番組を作った。そういったテロップを作成すること自体が個人的な悪意に基づくものと思われることもある。
  • 報道に携わる人たちの基本的な倫理観が危ういことになっているのではとの危惧を抱いた。報道に関わる人たちの倫理観に照らし合わせながら突き止めて頂きたい。
  • これに対して、局サイドからは以下の発言があった。

  • 一番問題なのは放送してしまったということ。それについて遺族そして関係者の皆様にお詫びしなくてはならないということ、重く受け止めて、今後の対策を練っていこうと考えている。

その他の、フジテレビ、あるいは放送全般についてのご意見。
『監察医 朝顔』の差し替え、ワイドナショーの生放送など。

  • 7月18日に京アニの放火殺人事件が起きた直後の『監察医 朝顔』は、放火殺人がテーマだったということで、その内容を放送せずに1回目2回目までの内容を振り返る内容を放送し、その翌週に内容を再編集して放送されていた。見ていて不愉快な場面は出てこず、良い内容で放送されたと思った。
  • 吉本興業の問題があった時に、宮迫さんと田村さんの会見があった翌日、それを受けて『ワイドナショー』が生放送された。翌週の放送も含め、最高の形で見られた。

「京アニ犠牲者の実名報道」について、委員から質問があった。

  • 警察が被害者の遺族の方に非常に配慮して実名の公表を大分遅らせた。実名の公表を受けてメディア側がそれを報道するかどうかに直面された。フジテレビではどのように考えて報道されたのか。

局からは以下の発言があった。

  • フジテレビ及びFNNは、実名による報道というのを基本にしている。正確な事実を伝え、社会が共有することが事件、事故あるいは政策などの真相究明や再発防止につながると考えているからである。
  • また、事案の真実性を担保して国民の知る権利に応えるためには、匿名、あるいは記号化された表記、人数だけでは不十分であって、それが正しい情報かどうか確認できない検証できないという立場に立っている。
  • 一方で、プライバシーの尊重はとても大事なこと。幾つかの事案でメディアスクラムのような問題が指摘されたりして、遺族の方たちを出来るだけそっとしておくべきだという世論、意見が強まっていることも大変重要な事実として認識している。今後も難しい問題だと思うが、そのたびごとに慎重に考え方を整理して、真相の究明と事件の風化を防ぐということを第一義に考えて進んでいきたい。

5.その他

  • 10月改編について、報告。
  • 次回番組審議会は、10月9日水曜日12時から。
  • 審議番組は『FNS秋のオールスター秋の祭典 新ドラマ対抗“生”クイズバトル!メジャーランド』

以上。