番組審議会

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第486回 番組審議会議事録概要

1.開催日時

平成31年 4月10日(水)正午より

2.開催場所

東京都港区台場2-4-8 フジテレビ本社

3.出席者

  • 委員長
  • 但木敬一
  • 委員
  • 梓澤和幸、井上由美子(新任)、最相葉月(新任)、三浦瑠麗(新任)、毛利衛、(岡室美奈子、小山薫堂、増田宗昭:リポート提出)
  • 局側
  • 宮内社長、遠藤専務、岸本専務、石原取締役、清水執行役員常務局長、塚越執行役員局長、若生執行役員局長、山口局長、金田局長、石原局長、矢延局長、齋藤部長、中山局次長、瑞光部長、西村週刊フジテレビ批評担当、大林CP、大野室長、濱部長、安藤編成担当、柴崎室長、千葉部長、熊谷番組審議室

4.新委員紹介

今年度より、3名の新委員をお迎えし、ご挨拶いただいた。
井上由美子委員(脚本家)
最相葉月委員(ノンフィクションライター)
三浦瑠麗委員(国際政治学者)

5.議題

『直撃LIVE グッディ!』
2019年4月4日(木)13:45~15:50 放送

※参考資料として、4月2日(火)3日(水)の放送回もDVDを送付。

各委員からは、課題番組に関して以下のような意見が出された。

  • ピエール瀧の麻薬問題、ゴミ屋敷、ゴーン再逮捕と三つの話題を取り上げて、番組なりに独自の切り口を出そうという意気込みを感じた。
  • ダルクの活動をやっている弁護士にメインの役割で話させたのが面白かった。著名な芸能人の覚醒剤、麻薬、大麻は繰り返される。何か決まり切ったような物語になっているが、そこをダルクに着目して、どうやって立ち直らせて社会復帰していくかに関わっている人を出した点は面白かった。ただ、ダルクの活動を取材して、市川弁護士の喋りを生かしていくというふうにしたらどうか。
  • 湾岸警察署に100人の報道陣が集まっているというのは、かなりばかばかしい。メディアがこれでいいのか。そこを打ち破る、事件の解釈と評価の新しさを出してほしかった。
  • たまたま4月4日は大きなニュースが二つあって、その中に井戸端会議的なニュースもあって、その組み合わせも非常に面白かった。
  • ニュースの重要性という点から見ると、誰が考えても、ゴーンさんが世界的に重要だと思う。湾岸署と上手くライブ感を出してやっていたと思うので、それはそれでいいのだが、トップニュースはゴーン再逮捕なのでは。
  • 同じニュース内容を取り上げるときに、報道方法や解説内容を差別化し、バラエティ色を出そう、ニュース色を出そうといったようなコミュニケーションはあるのかどうか、お聞きしたい。
  • 最近一番大きく変わってきていると思うのは、若い人たちが見る情報番組と報道番組の区別がほとんどなくなってきているということだ。「何とか番組」という枠組みはあくまでも作り手側のレッテル、見ている方にはその枠組みは関係ない。
  • 依存症の人とその家族の関係は非常に難しく、家族は家族で家族会に入って意見交換をしながら、自分たちが抱えている悲しさや辛さを吐露して、自分たちも回復していくというプロセスを、長い時間かけて辿る。余り家族、家族と言うのはどうか。これはちょっと極端な例だが、犯罪者の家族に犯罪者と同じ責任を求める、それに近い感情を呼び起こしてしまう危険性があるのではないか。
  • ゴミ屋敷については、同じように、精神的な問題が関係するように思われる題材だ。ゴミ屋敷にも、いろんなタイプがある。この場合はどういう問題点があって、この人が抱えているものは、何なのか。もう少し一般的な、ゴミ屋敷を作ってしまう人の精神的なバックグラウンドが知りたかった。
  • 情報番組のコメントというのは、忖度風の匂いがする発言が多いと思うのだが、克実さんが発している言葉は嘘っぽさが少ない印象。この(安藤さんとの)組み合わせは視聴者としても面白く見られる。
  • テレビ局側の出役の意見が、表現を間違わないようにと思ってか紋切り型になっていて、繰り返しが多い。その場合、外部から来ているコメンテーターやアンカー的な立場の人が背負って何かを言わなければいけないが、こういう犯罪案件だととりわけ世間の目のバッシングがあり、背負うときのストレスが半端ない。ある程度局の側で提供できるものがなければいけないのではないか。
  • 日本のマスコミ全般的に言えることだが、検察に対して強く物が言えないような報道とか、被疑者に対して人権上の配慮が足りなかったりする報道が多い。そして、とにかく検察からの垂れ流し情報をたくさん喋るので、番組側の取材情報が検察側に偏りがあるのではないかという気もする。
  • 番組冒頭で保釈を伝える可能性が高いと言いながら、結局は伝えられないとなると、視聴者は裏切られた気分になる。その辺は番組構成をもう少し考えてみてもいいのではないか。
  • 今の視聴者はせっかちだ、この番組がこの後何をやるかわからないと我慢強く待っていられない。この後、どういう話題を、どういう切り口でやるのかを端的に見せる工夫が必要なのではないか。
  • ゴミ屋敷のところの井戸端会議が良かったので、普通の視点を持った人たちの議論をもう少し伸ばしていくと面白くなるのかなと。そういう熱を持った井戸端会議から何かが生まれるエネルギーのある番組にしてもらえると、昼間の主婦が増えるのではないか。
  • 視聴率が取れそうなネタを選んでいると思うがどれも何となく分かっているつもりのニュースばかり。番組HPの「フカ掘り」への期待が高まり、番組が損をしている印象を受けた。
  • あえて昼間の視聴生理に合わせてゆるい構成に留めているのかもしれないが、朝の情報番組の緻密な構成と比較すると物足りなさを感じる。新鮮なニュース中心でいくなら、最初に目次的なものがあってもいい。
  • 4日放送では、加熱し過ぎているピエール瀧報道をもう少し俯瞰した視点で見つめるとどんな報道になるのだろうと想像した。
  • 情報番組の目的は社会に対する見識を示すものだ。メディアは、公平・公正・中立という立場でも何か独自の深掘りした情報や意見を伝えるべき。
  • ピエール瀧氏の事案が45分。謝罪があるか否かの日だったこともあるが既出情報で時間を消費し、ゴミ屋敷の問題は区や国はどう考えるかの紹介までだったが、番組としてどう意見するのかが本来の見どころではないか。
  • 女性アナウンサーが番組の殆どで会話に参加せずただ頷いているだけなのは古い考え方の反映に見えた。カメラに映るならコメントする、コメントしないなら映さない、も必要ではないか。
  • カンニング竹山さんが言ったように、ピエール瀧さんを社会から抹殺しようとしているように見えて、「不寛容社会」を感じた。薬物使用は深刻な問題だが、身元引受人や保釈金、保釈の瞬間に何か言うかなど、公共の電波を使ってえんえんと議論するような問題か。
  • 薬物依存をなくすにはどうしたらいいか、薬物依存に陥った人を社会としてどう立ち直らせていくのかをもっと話題にしてほしかった。生きづらさを誰もが実感する世の中で、薬物に頼ったり犯罪に手を染めたりしないで、また、誰かのせいにもしないで自分の弱さと向き合うかというのは、私たちの社会が抱える根本的な問題だが、もはや個人では解決できないことなのかもしれない。そういうところに切り込んでいくことは、テレビの役割として、今後求められていくのではないか。
  • 毎日の生放送は本当にたいへんなことで、社会背景や解決の道筋まで含めた丁寧な取材をすることがいかに難しいかも想像できる。が、ネットニュースといかに差異化していくか、テレビは社会の良識を発信してほしい。
  • ネット系の炎上がメディア界でも同様に起きている。1人に集中して、犯した罪を遙かに超えたダメージを与える。1人に対しての凄いメディアスクラム、メディアにおける炎上状態は考える必要あり。
  • 保釈で疲れ切ってるだろうに、何か言わなかったら承知しないとの感じで迫るのは本当に正しいあり方か。配慮がメディア側にも必要では。

これに対して番組サイド及び、フジテレビサイドからは以下のような発言があった。

  • この種のニュースでは再発しないよう薬物の恐ろしさを伝えるのが情報番組の最大の責務の為、ダルクに取材し薬物中毒から立ち直った方の感じ方等を聞いたが、スタジオボードだけでなく映像でも紹介するやり方もあったと思う。
  • 情報番組の使命は視聴者の関心事に応える期待値をきちんと持つこと。ピエール被告の保釈に番組はすぐ対応することを伝えるためにも、何度も中継したが、警察署前取材は行き過ぎとのご指摘は貴重なご意見として承りたい。
  • カンニング竹山さんの「これだけ伝えているのは世の中から抹殺することになるのでは」発言、そんなつもりは全くないがああいう見方をされる可能性もあるのかと思った。複眼的な物の見方を伝えたい。スタジオ時間を長くとるのも、ああいう意見が出るのも番組の持ち味の一つ。
  • 各情報番組は、取材連携はあるが、色は各番組独自の自助努力。バラエティ制作、情報制作、報道局で同じニュースを扱うことの差別化の難しさを実感。情報番組で1日8時間半から9時間、日々どう色合いを出すかは非常に重要。『めざましテレビ』は朝の通勤時間帯、『とくダネ!』は少し落ち着く時間等、ライフスタイルに合わせて何を提示するか、情報制作局全体、時に報道とも話し合わなければならない。
  • 1日中ニュース、時事ネタを扱う番組が多い中、俯瞰してどう差別化、特徴を出していくか。1日のタイムテーブルの中で時間帯特性に合いかつ斬新な切り口を見つけなければ。どう差別化していくか研究したい。
  • 悪しきことを暴露していく中、時に神の目になって麻痺してしまうが、人の悪事を糾弾できる立場でないという民の目だけでも番組は上手くいかない。真ん中のどこに位置取りをするかが非常に大事と思った。
  • 出役の責任転嫁でなく全て局と番組が引き受けている。放送上は非常に見えにくいが、そこは番組や局が背負っている。

6.「番組種別」、および「2018年度下期視聴者からのご意見」を報告。

7.その他

  • 次回番組審議会は、5月8日水曜日12時から。
  • 審議番組は『Live News it!』。

以上。