番組審議会

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第482回 番組審議会議事録概要

1.開催日時

平成30年 11月14日(水)正午より

2.開催場所

東京都港区台場2-4-8 フジテレビ本社

3.出席者

  • 委員長
  • 但木敬一
  • 副委員長
  • 神崎仁
  • 委員
  • 梓澤和幸、岡室美奈子、小山薫堂、八木秀次、毛利衛
  • 局側
  • 宮内社長、遠藤専務、岸本専務、松村常務、石原取締役、清水執行役員常務局長、塚越執行役員局長、若生執行役員局長、山口局長、金田局長、石原局長、矢延局長、齋藤部長、中山局次長、瑞光部長、西村週刊フジテレビ批評担当、小仲企画統括、清水チーフプロデューサー、坪田担当局長、立本室長、佐々木部長、成河企画担当部長、柴崎室長、千葉部長、熊谷番組審議室

4.議題

  • 「坂上どうぶつ王国」
    2018年11月9日(金)19:00~19:57 放送

審議番組に入る前に、再免許交付について報告し、「平成30年地上波基幹局の再免許に当たっての要請」について説明。

  • 平成30年11月1日付で総務省より、向こう5年間の放送局としての免許が下り、免許状が再交付された。テレビの公共性及び言論、報道機関としての社会的役割を再認識し、社員一同、よりよい放送を目指してまいりたい。

委員から下記の質問があった。

  • 「要請」の前文を見ても、災害時における情報提供を重視した内容になっている。どういう考えで災害時の報道重視を特に強く打ち出してきたのか。

これに関して、弊社からは下記の回答があった。

  • 今年の災害が非常に多かったことを総務省では強く認識している、その時における放送の役割が改めてクローズアップされた。放送事業者に対してはそういう機能を求められていると認識している。

各委員からは、課題番組に関して以下のような意見が出された。

  • 坂上忍さんが土地や動物を自腹で購入して動物王国を建設するという目標に向かって、そのプロセスを描いている。ただ、自腹で土地や動物を購入するという発想に私はちょっとバブル臭を感じる。余りその辺を感じさせない工夫をしていくのがいい。
  • 生き物の集まる池を復活させる自然再生プロジェクトは、前回からのつながりがよくわからず、もう一言説明していただくと、途中から番組に加わりやすい。
  • レギュラーの片平なぎささんの奮闘ぶりがあり、非常に真剣にこの仕事に取り組んでいるのを見て、好感を覚えた視聴者は多かったのではないか。
  • バラエティ番組とはいうものの、宣言した以上は成し遂げなければいけない。局としてどこまで覚悟を決めているのか。どの規模の王国を設定しているかわからないが、自治体や企業を巻き込んで本当に動物王国を完成させることができたら、テレビが作り出す新しい価値になるのではないか。
  • 王国を作るという本気度に視聴者は期待しているが、現時点での番組における動物の存在は、タレントの行動の面白さを引き出すための装置で終わっている。
  • こういう企画は、地元の要望と番組の企画意図がウインウインにならなければいけない。地元の人との連携には細心の配慮が必要。
  • せっかく飼育係を養成する専門学校に行くならば、単に動物を追い回して保定して遊んでいるように見えるので、そこでどういう教育が行われているかをちゃんと伝えていただきたい。
  • むしろバラエティよりもドキュメンタリーの方に寄せていただきたい。本気で動物王国を作ろうということできちんと準備していることが伝わってくれば、坂上さん、意外といい人かもしれないと思うかもしれない。
  • 王国を維持していこうと考えているなら、法人なり財団なり基金なり永続的な組織を作るところからで、自治体とか行政に働きかけも必要だろう。番組全体のバラエティ的なノリと、動物王国を作るということがマッチしていないような気がする。
  • 最近、環境問題や動物学をやっている人たちの中で動物園のあり方についてかなり根本的な問いが投げかけられている。それは、見せ物としての動物ではなくて、動物の生と人間が交流するという形の動物園に変わっていかなければいけないのではないかというかなり基本的な学問的な問いかけ。その意味では現在の動物園はほとんど落第なのではないかという知見を聞いたことがある。
  • もし坂上さんが、フジテレビも関わって新しく動物園、動物公園的なものを作るのだとすれば、そういう動物園学の現在の知見を十分研究すべきではないか。
  • たかがバラエティ、されどバラエティ。普通バラエティ番組というと、視聴率を上げる、それで面白かったと満足するが、今回、新たな挑戦をバラエティの中でしていることが垣間見られた。
  • 毎回で終わるバラエティがストーリーを持って、ある一つの夢に向かって動いているという挑戦だ。
  • 池の生態系を敢えて見せて、ひょっとして、作っている方々が、あそこが動物王国を作る上で凄く重要なんですよと示唆しているのではないかと期待している。
  • 生態系を本当に理解しないと動物王国なんてあり得ないのだと、バラエティ番組の中で伝えているとしたら、これは凄く大きな、素晴らしい、新しい手法。
  • どちらかというと構想不十分なまま、見切り発車している。逆に準備しているプロセスを楽しんでいるということで、視聴者にもその楽しみを味わってもらいたいという意図もあると思う。
  • 本当にこれが夢の王国で終わらなければいい。実現に向けて今やっと土地を購入するという段階なのでこれからわからないが、それだけじゃないわけで、飼育員や経営的な面もいろいろ考えなければならない。
  • ムツゴロウさん的な動物との共生か、ペットを何種類か飼って楽しむ施設か等のイメージがなく、視聴者の参加意識のかき立てが足りない。
  • どんな王国を描こうとしているかの方向性がもう少しあった方が視聴者の参加意識を獲得できる。

これに対して番組サイドからは以下のような発言があった。

  • 坂上さんの本気度や番組の方向性が見えづらいが、彼は13匹の犬と暮らす為に引っ越す等ただの動物好きではない。去年、坂上さんがある段階で仕事を減らし動物と共生して過ごしたいと真剣に告白、動物との共生ドキュメンタリーも入れて企画した。
  • 明確な構想のなさも含め、過程を楽しんで欲しいと出発した。非営利で、保護も視野に入れてやっていきたい。動物園という言葉に我々も引っかかっていて、動物園という形ではない、営利にしても、何か保護施設もインクルードされたような、新しい形の動物と人間が共生できる場所を作っていけたら。
  • 坂上さんとは膝をつき合わせて話し本気度がビンビン伝わる。今後初めて土地を見てイメージを作り、ご本人も土地取得に必要な免許を取ったり、レギュラー陣においても王国建設に向けてより、本気度が伝わる企画を進めていきたい。

5.報告事項

先月(10月)の審議番組『林修のニッポンドリル』へのご意見の対応等を、報告。

  • 神武天皇が実在したかのようだとのご指摘だが、実在に争いがあるのは認識していた。橿原神宮の美しさを見せるのに主眼を置いた為に表現が伝聞形なら伝わると思ってしまった。バラエティといえども、視聴者に史実と違うかもしれない内容が伝わるような作りは当然避けるべきで諸説あるものは双方紹介するなり断りを付けるべきだった。
  • 弊社プロデューサー、制作会社スタッフ全員の全体会議で、テーマ毎に歴史的意味や評価につき細心の注意を払い、特に両論併記の重要性、歴史・宗教上の問題を扱う場合は可能な限りその背景や多様な意見を取り入れようと、徹底した。外部制作会社に番組発注時は編成担当部員が最終チェックするが、内容に応じ考査部への早期の相談、別の編成部員が見るダブルチェック体制も検討中。

先月(10月)、ご意見頂いた「土日の災害報道について」の進捗状況を報告。

  • 災害報道はテレビの大きな使命、命と十分承知。土日やゴールデンでも大災害時は全国放送の特番移行準備は常にしており、最近の災害の多さや被害の深刻さ、社会や総務省の要請等も受けて編成と報道とネットワーク、報道とFNN各局はじめ様々なレイヤーで協議している。
  • 西日本豪雨のように関東は快晴だが、関東の視聴者への情報が少なく、定時にL字を入れる等、情報を増やすことは考えたい。
  • 災害特番放送時に自動的にFNNプライムオンライン、ネット配信作業もしているが場合により、FNNプライムオンラインのための特番制作も検討中。

これに対して、委員からは下記のような意見があった。

  • 災害報道には人命に関わる問題と被災地の人と関係深い人が各地に住んでいる問題もあり、全国一律番組か地方局で詳細情報を出す方がいいかを総合的に考えながら臨機応変に宜しくお願いしたい。
  • CM提供社も企業の社会的責任を果たす為に災害報道に替わっても番組提供することは絶対だめではなく、局と提供社間でも考えた方がいい。

2018年最後の番組審議会につき、宮内社長から挨拶があった。

  • 1月に「2018年 時代の変化とテレビジョン」をテーマにご意見頂き、その後9番組を審議、ほか多岐に亘りご意見賜った。この1年、想定外の災害多発の中、被害を最小限にする為に何ができるか、災害報道でテレビが果たす責任への言及も参考にさせて頂き、社内で議論中。
  • 2019年も信頼され親しんでもらえる放送、番組作りを行っていくため、引き続きよろしくお願いします。

6.その他

  • 来月12月は休会。
  • 次回の第483回番組審議会は1月16日(水)。例年どおり審議番組を設けず、「テレビの災害報道のあり方 ~ライフラインとしての放送とは~」と題してご意見をいただく予定。

以上。