番組審議会

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第481回 番組審議会議事録概要

1.開催日時

平成30年 10月10日(水)正午より

2.開催場所

東京都港区台場2-4-8 フジテレビ本社

3.出席者

  • 委員長
  • 但木敬一
  • 副委員長
  • 神崎仁
  • 委員
  • 梓澤和幸、岡室美奈子、小山薫堂、林真理子、八木秀次、毛利衛(リポート出席)
  • 局側
  • 宮内社長、遠藤専務、岸本専務、松村常務、石原取締役、清水執行役員常務局長、塚越執行役員局長、若生執行役員局長、山口局長、金田局長、石原局長、矢延局長、齋藤部長、中山局次長、瑞光部長、平賀室長、西村週刊フジテレビ批評担当、武田・編成担当、成河企画担当部長、柴崎室長、千葉部長、熊谷番組審議室

4.議題

  • 「林修のニッポンドリル
    アナタが知らない昭和歌謡名曲のウラ話&極上の美宿SP」
    2018年10月3日(水)19:00~21:00 放送

審議番組について、各委員からは以下のような意見が出された。

  • 林修先生は、予備校の有名講師で高校生、浪人受験生に今、絶大な影響力を持っている。その人が、ある歴史上の出来事についてコメントを加えるときは、局としても社会的な責任を負っている。
  • 神武天皇を歴史上実在の人物として、断言とも受け取れる発言をしている。『日本史用語集』という本でも「古事記、日本書紀には触れられているが、実在の人物であるかどうかは疑わしい」と書いてある。
  • 戦前の国家神道のあり方への深い反省から憲法上も政教分離になっている。こういう歴史上の出来事に触れたりするとき、メディアの公平性とか公正性という理念で番組が作られていくべきではないか。
  • 初めて見たが、非常に楽しい番組だった。クイズ自体が軽くて押しつけがましくないところがいい。スタジオトークやロケに重点を置いているところも、新しいクイズ番組と受け取った。
  • 第2部の美宿の紹介は、映像が物凄く綺麗で、フジテレビの映像でこんなに綺麗な映像は余り見たことがなかった。カメラマンのアングルが非常に良かった。
  • 第3部の橿原神宮の紹介、ロケも、非常に映像が綺麗だった。神武天皇の紹介についてもう少し工夫があっても良かった。神武天皇が実在したかについてはいろんな考えがあるが、この橿原神宮が建っている地がどういういわれの場所なのか、そこを日本書紀の記述でも紹介しながら出してもらえると良かった。
  • 林修先生は、余り押しつけがましくなくていい。彼のユーモラスな部分を引き出している。
  • まず、タイトルも出ないまま始まったことにびっくり、これは最近の傾向なのか。視聴率狙いで、見やすい、かつ見慣れた、王道のバラエティだと思った。
  • 学習スタイルで、エンターテインメントとかライフスタイル、情報を見せていくという構成は、ありそうでなかった斬新なフレーム。
  • 極上宿は、どこにでもありそうな宿のリポート物で、風間さんには好感が持てるが、情報の面白さとか情報の希少性に物足りなさを感じた。
  • 本来、紹介している情報をどれだけ外れて面白い寄り道ができるか、そこに重点を置くべきではないか。
  • 第1部の昭和歌謡、第2部の日本の美宿、第3部の橿原神宮が全くつながっていないように見えて、一つの番組だと思えなかった。
  • 視聴者に全部通して見ることを期待していないような印象。最初からザッピングが前提になっているような気もした。
  • なぜあの二つの宿が選ばれたのかという基準が全く示されなかった。
  • 神武天皇が実在しているかのように普通に言っていたので、疑問に思いツイッターを見ても、やはりそこを突っ込んでいる人もいた。
  • 林先生を起用するならもっと突っ込んだ解説が聞きたい。橿原神宮に関する解説とか、もっと深く踏み込めるようなところはたくさんあった。
  • 一番面白かったのが武田鉄矢さんのコメント。ほかのスタジオゲストは存在感が薄かった。
  • 平成に出てきた2大タレントはマツコ・デラックスさんと林先生だ。今やどちらもレギュラーをいっぱい持っていて、林先生は知のアイドルとして威厳さえ持っている。
  • 武田鉄矢さんが言った「歌が風のようにあった」というのはまさに真実だ。枯れてきた感じが実に良く、コメントも素晴らしい。武田鉄矢さんの独壇場だった。
  • 私もあれっと思った。最初「日本を作った神武天皇」といい、そこでナレーションで「日本を作ったと言われている」と、ちょっと言葉を換えている。何かエクスキューズしているらしく、非常に微妙なところ。
  • その後、「紀元2600年祭」の、昭和15年のフィルムが流れる。これは昭和天皇、溥儀も参拝している非常に重要なフィルムだが、これについて林先生から、これが当時の国家体制に利用されていたということは一言あってしかるべきだった。
  • 林氏の司会・話術の巧みさと堅実なテーマで十分楽しめた。風間氏は機敏・利発で好感。
  • 「ニッポン極上の美宿」は日本の宿の洗練された美と豪華さが伝わった。
  • 橿原神宮の豪壮な建物群に圧倒されたが、彼の詳しい解説が聞けると思ったが、期待外れ。特に、初代「神武天皇」の存在についての見解、昭和15年の「紀元2600年祭」が行われた時代背景など、林氏の解説がなかった。史実に基づいた神社の全体像の解説がないのは番組として不親切に映る。
  • これはまさに高齢者番組。性質の違う3部オムニバス形式で、共通テーマはないが、高齢者にとっては時間で気分が変わって良かった。
  • 昭和の歌謡曲は非常に懐かしく面白かった。その頃の生活を思い出し、素晴らしい歌を何曲も聴けて嬉しかった。中高年層は歌謡曲を世相、歌の裏話等で構成したらそれだけで満足する気がする。
  • 後の二つはおまけ的で掘り下げも余りなくさらさら流していた。
  • 橿原神宮はテーマが「日本の始まり」でおまけにしては重い。日本の始まりの時に(神武天皇が)あそこで即位した確証は誰にもないので「一つの神話」前提で見ればいい気もするが、映像(紀元2600年祭)はおまけにしてはテーマが重過ぎ、砂利の話のクイズ自体が非常に軽いタッチで終わるが、重すぎる内容に深さがないことが若干難点。

それに対して、フジテレビサイドからは以下のような発言があった。

  • 神武天皇の扱いに関しては、橿原神宮の宮司と相談しながら構成等を進めたが、誤解を招いたナレーションと林先生の発言になった点は反省し、今後に生かしたい。
  • 宿のタイアップはない。なぜこの二つを取り扱うかの構成上の必然性は、番組にとって大事なので今後は理由、必然性を付けていきたい。
  • 「日本をより知る、日本をより好きになってもらう」がテーマ。三つのテーマがバラバラで違和感があったとのことだが、コーナー共通のお約束や、他との一線を画した新企画等をまだ見つけていないので、よりそう見えたのかと思う。これは番組の課題だと思う、克服したい。
  • 林先生だからこその独自の切り口で時に社会的考察を入れながら深く解説することを目指した。今後は「いかに面白い寄り道ができるか」を重視していきたい。

制作者の発言について、委員からの質問。

  • 「皇紀2600年」が時代の中で持つ意味、特に溥儀が出てくるのは中国との関係でも重大な意味を持ってしまう。一つのメッセージに私は聞こえた、画面が(そう)見えた。制作にそこまでの意図がなかったようなことを言ってるが、そういうコメントでいいのか。

それに対して、制作サイド及びフジテレビ側は、以下のように回答した。

  • 確かに歴史的に意味のある登場人物とか言葉がいろいろ出てくる、そこに対しての掘り下げ方や配慮には欠けていた。
  • 最近、知的エンターテインメントのジャンルの番組が凄く増えている。様々な学説や一般的に認められている事実に対して取材を行う訳だが、一つの説を取り上げても何も問題のない場合から多数の説が存在し、その解釈が決着していない場合もある。一つの説だけを取り上げてしまうと、制作者が意図していなくともある種のメッセージが生じてしまう物があり、そういった部分の見極めは大変重要だ。今後制作サイドとも話を詰めていきたい。

その他の、フジテレビ、あるいは放送全般についてのご意見

沖縄知事選の報道について。

  • 沖縄県知事選について。選挙前に自民公明側が組織戦で勝っていてデニー候補は相当厳しいと聞いたが、結果について放送界の取り上げが殆どないように見えた。

これに対してフジテレビ側は、

  • 我々の事前調査では、デニー候補圧勝と強く出ていた。沖縄の世論・出口調査は野党系が強く出ることを差し引いても、弔い合戦で今回の結果になるだろうという見方が政府与党幹部の中に強くあった。今回は選挙の結果を速報で伝え、翌日も、今後普天間移設に大きな影響を与えるとしっかり放送した。

『タイキョの瞬間!密着24時』に関する新聞記事について。

  • けさの新聞に入国管理局の密着番組で、弁護士が人権問題ではと指摘しているとの記事があったが詳細は?

これに対してフジテレビ側は、

  • 様々な退去の瞬間を特集した番組。不法滞在・就労、河川敷のヤミ畑での不法占拠、家賃滞納、税関の違法コピー商品持込など、退去の瞬間に拘ったドキュメンタリーだ。その中で、東京入局管理局の不法滞在・就労外国人摘発シーンもあった。取材に基づいた事実を放送しており、外国人差別の意図はない。
  • 番組としてはこういったご意見は真摯に受け止め、今後番組制作に生かしたいと考えている。

土日の災害報道の今後の対応について。

  • L字放送である程度の情報は伝わるようになったが、土日に災害が来た時に、どうやって報道の枠を確保するかが問題。災害が来たときの土日の放送のあり方もテーマに色々考えて欲しい。

憲法改正国民投票CMの対応について。

  • 民放連が(一律の量的)規制はしないと仰ったそうだが結構難しい問題だ。どう対応するか、ある程度の腹づもりは付けておいた方がいい。

その他、2018年上半期の放送番組種別の集計結果、上半期の視聴者からのご意見について、報告。

◇次回は11月14日(水)。審議番組はバラエティ番組の「坂上どうぶつ王国」。

以上。