番組審議会

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第479回 番組審議会議事録概要

1.開催日時

平成30年 7月11日(水)正午より

2.開催場所

東京都港区台場2-4-8 フジテレビ本社

3.出席者

  • 委員長
  • 但木敬一
  • 副委員長
  • 神崎仁
  • 委員
  • 梓澤和幸、岡野光喜、岡室美奈子、林真理子、八木秀次、毛利衛
  • 局側
  • 宮内社長、遠藤専務、岸本専務、松村常務、石原取締役、清水執行役員常務局長、塚越執行役員局長、若生執行役員局長、山口局長、金田局長、石原局長、矢延局長、齋藤部長、中山局次長、瑞光部長、西村週刊フジテレビ批評担当、加藤編成企画、成河編成企画担当部長、柴崎室長、千葉部長、熊谷番組審議室

4.議題

  • 「世界!極タウンに住んでみるSP」
    2018年7月7日(土)19時~21時放送

放送直前に内容の一部差し替えがあったことについて、局から説明があった。

  • 放送当日の朝、西日本地域での大雨及び水害の状況を踏まえて、一部内容を変更。川の真ん中のぽつんと一軒家という内容が18分程度含まれていて、雨が降って水かさが増して避難をするというものだった。5月26日放送の内容に差し替えた。お断りをいれた。

審議番組について、各委員からは以下のような意見が出された。

  • 住むということはもっと、個人の意思として前向きに自分でここに住みたいんだというものだろう。簡単な会話でも全部通訳が喋っていて、しかも交渉している。
  • 素晴らしいと思ったのは、武陵源。『アバター』のモデルにもなったというあの場所の景色。見ているだけでも楽しかった。
  • 一部分を差し替えたというのは非常にいい判断だが、全体2時間が、ちょっと冗長的。せっかくの中国の武陵源、1時間で中国だけをやれば凄くメッセージ性のあるいい番組として見られた。
  • ディレクターが住んでみるという発想の番組だから、スタジオでディレクターが直接話すようにして、もっと内面的なもの、交流などを話してもらった方が、いい番組になると思う。
  • 少数民族が2000年の歴史の中で戦乱を避けて、難民としてこの崖の地に住んだ。今度、いきなり退去を要求される。そこに中国の昔からの何千年の歴史と、今の政治の体制と、多民族と少数民族という非常に深い問題が所在しており、取材側はきっと知っていたのではないか。
  • 誰がいかなる目的でこの少数民族に立ち退きを要求してきたのか。いかなるいきさつで漢民族によりこの人々の生活が発見されたのか。以上のようないきさつを番組で取り上げないのはなぜなのか。
  • 地域性ということで珍しい、目を引く、好奇心を呼ぶということだけではなくて、一見難しい問題を面白く、わかりやすく解き明かすことがこういう番組の、役割なのではないか。
  • ・300メートル以上の頂上までエレベーターがついてたり、世界遺産に登録されて観光化され、観光客が押し寄せているだとか、ちゃっかり『アバター』体験をさせてお金を儲けているとか、あんな秘境でもモバイル決済しているんだという意外なところを教えてくれたり。一緒に住んでみたトゥチャ族の家族の生活ぶりが非常によくわかった。
  • ワイプなしでゲストの声だけが聞こえる場面があるが、邪魔かという印象も率直に受けた。スタジオをどう回していくかが課題になるか。
  • 取材ディレクターが、一体どういう人物なのかが非常に気になるところ。取材ディレクターという人格を通して極タウンの様子も知るわけなので、もう少し知りたい。
  • 差別化ポイントを考えると、タイトルから「住む」ということなのかなと想像するが、全然住んでないという印象。「住む」とはどういうことなのかという問いが足りない。
  • どこまでが事前に周到に準備されていて、どこからがハプニング的なものなのかがわかりづらかった。芸人さんだったら多少の強引さも笑えるが、番組の作り手であるディレクターが突然押しかけて、無理やり泊めてもらうのはちょっと無理がある。
  • ネット時代にどうやってテレビが生き残っていくか、むしろ周到に調査をして作り込んだものを見せてもらいたい。そこで暮らす人々と衣食住を共にすることでしか伝えられないような文化が他にあるのではないか。
  • 崖の上の家、武陵源。最初に空撮で見たときは素晴らしい、凄いところだと思ったが、番組を見ていくうちに、何だ、後ろに道路もあるんだ、自動車もあるんだ、かなり近代的な生活をしているんだと思った。トゥチャ族について、歴史とかどうしてこういうふうに住んでいるのかとか説明があっても良かった。
  • びっくりしたのはモバイル決済、WeChatPay。中国のネットの決済の凄さは日本とは違うんだということを改めて実感した。
  • 今回良かったのはドローンで立体的に捉えた映像を見せたということだ。これだけでもこの企画の意味はあった。もう少し膨らませて、文化とか生活感を出せるような取材をすれば良かった。
  • 英国の方は、ランプの点滅だけで終わって、なぜそういう点滅が起こるのかを調べていない、なぜこういう現象が起こるのかの考察があっても良かった。
  • 全体として中国の話は一番力が入っていて良かったが、タイトルの『極タウン』というのはどういうところを想定したのかという点でちょっと疑問を持った。
  • なぜ後ろに道路があるのにこの間まで全く孤立した村として存在し得たか?2000年の歴史を捨てて政府に崖下に強制的に下ろされるのは悔しいのか新たな希望なのか、家族をどう構成し、独特の文化は何なのか等、そこは中国では取材できなかったのかもしれないが惜しむらくはもう少し追いかけてもよかった。

それに対して、フジテレビサイドからは以下のような発言があった。

  • 立ち退きは中国政府が観光地化に向け強制力を持って命令、漢民族の画家があの地を訪れた際に彼らを発見したと聞いている。今回、中国側の意図やトゥチャ族の心情含め取材制限もあったが、中国の近代化を盛り込もうという意図はあった。
  • 取材ディレクターと客観を撮るディレクター、コーディネーターと助手の4人で中国ロケは6日間。進行中のナイル川遡上企画はかなり長期でネタ毎にロケ日数を変える。「住む」に特化して物価や距離感、電気代は幾らか等の情報を押さえつつ、衣食住の中で見えてくる文化、歴史、思い等を更に掘り下げて差別化したい。
  • 日本人が感じ得ないような環境や文化が「極タウン」。日本人の常識が覆るような状況や驚きがネタ筋で、広義に「極タウン」という言葉を捉えながら作っていきたい。

その他、フジテレビあるいは放送全般について、いくつかご意見があった。
今後の水害危険個所の問題提起報道について。

  • 今回の水害、大きな川と流れ込む川の合流点が極端なカーブで長年危険が指摘され河川局にも苦情や警告があったのではないか。報道機関がそういう箇所を全国的に発見し、水害防止の為の取材をして問題提起するのは非常に意味があると考える。

それに対して局側からは以下の発言があった。

  • 国交省も問題ありとして、今年中にも工事に着工する予定だった矢先の水害だったことが取材でわかっている。全国的にそういう箇所がまだあることを取材し放送する価値はあり、放送していきたい。

月9ドラマについて。

  • 『コンフィデンスマンJP』、最後まで面白く拝見。今期の『絶対零度』も非常に面白く月9復調を感じるが、月9は恋愛ドラマをやめるのか、フジの方針を伺いたい。私としてはぜひ恋愛ドラマをやっていただきたい。

それに対して局側からは以下の発言があった。

  • 80年代後半から90年代頃までは、「ラブストーリーといえば月9、月9といえばラブストーリー」で定着していた。2000年代になり『HERO』『ガリレオ』等は「その時代に一番流行っている原作や出演者、企画を時代の先端で作る」のコンセプトに変化してきた。恋愛ドラマを捨てた訳でないが、新しい芽を見つけ月9ブランドを回復したい。

西日本豪雨災害の初期報道について。

  • オウムの死刑執行と豪雨災害のダブル発生、態勢として、きちんと用意しておかないと危ないと思った。
  • 災害を最小限に食い止めるために報道機関が何をするか、大事な役割だ。
  • 東京の感覚から言うと確かにオウムというのは非常に大きな問題で、オウムについての報道に力を入れてやったと思うし、それが間違いではないが、その時に、キー局がどうするかは、全体をどうするかという問題になる。
  • こういう緊急事態にどうするかをある程度考えておく必要があると、今度の二つの大きな情報をどう処理するかということで考えた。
  • 今度の災害の原因、その取材をして、何か集大成して、それを放送することによって災害に対するフジテレビというのを打ち出していってもらいたい。

◇8月は休会。次回の第480回番組審議会は9月12日(水)。審議番組は、後日連絡。

以上。