番組審議会

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第462回 番組審議会議事録概要

1.開催日時

平成28年 11月16日(水)正午より

2.開催場所

東京都港区台場2-4-8 フジテレビ本社

3.出席者

  • 委員長
  • 但木敬一
  • 副委員長
  • 神崎仁
  • 委員
  • 梓澤和幸、石井英夫、大石静、岡室美奈子、林真理子、毛利衛、八木秀次
  • 局側
  • 亀山社長、遠藤専務、鈴木専務、稲木専務、岸本常務、崎山取締役、西渕取締役局長
    清水執行役員局長、石原執行役員局長、金田局長、塚越局長、平松局長、小田局長
    中山担当部長、宮道部長、瑞光部長、高橋新週刊フジテレビ批評担当、鈴木室長、牧野部長
    長部プロデューサー、平野演出、西原編成担当、柴崎室長、小林部長、熊谷番組審議室

4.議題

『Chef~三ツ星の給食~』第2話
10月20日(木) 22:00~22:54放送

※参考として、委員には第1話、3話、4話、5話の放送回もDVDを送付。

議題番組に対して各委員から以下のような意見が出された。

  • 最近シェフが主人公のドラマが非常に多い。シェフがクリエイターとして興味を引く職業になっているあらわれだが、給食がテーマになるのは非常に意表を突かれる。こんなに制約が多くて、塩分、カロリー、栄養素などがちがちに決められていると初めて知った。
  • これは『ドクターX』を非常に意識している。最初のナレーションからして、とても似ている。一匹狼のプロ意識の強い女性、才能はあるけれども謙虚さがまるでないという女性像も同じ。
  • 最高のものを求めるということと、多くの人に満足感を与えること、その落としどころを求めている。そういう本質に挑戦しているので、面白い。
  • 給食は、今社会的な問題になっている。値段、食材など、今の社会を反映して考えさせるドラマだ。
  • 主役のキャラは既視感がある。
  • ヒロインが独善的に大人の味を押しつけて「不味い」と子どもが一斉に言ったのか、あるいは子どもたちの味覚が狂ってしまって本来の食事の味がわからなくなっているのか。こういうところでドラマの作り手のメッセージが鋭く出たりすると、切れが良くなる。
  • レストランのオーナーは何故にあんなに彼女を憎んで、屋台をつぶし、新しい仕事もつぶす、何があってあの人はあそこまで敵なのか。全部見ればわかるのだろうが、ちょっとネタを出してほしい。
  • オリジナルの脚本で、三ツ星シェフが非常に制約の多い給食を作るという設定も非常に面白い。
  • 小泉孝太郎扮するレストランのオーナーがどうしてあそこまで星野光子をつぶそうとしているのかという背景が今のところわからない。ストーリーの輪郭をもっとはっきりさせた方がいいのではないか。
  • 幸い視聴率が多少盛り返しているようだが、私は今期見ている中では一番面白いドラマだ。
  • 一部の人のための料理ではなくて、庶民や子どもたちのための美味しい料理に目覚めていくという流れが第5話でよくわかって、そういうドラマなんだと改めて面白かった。ただ、そこまでが長かった。
  • 星野光子がどこまでもポジティブで、いろんな嫌がらせをされてもめげない、常に前向きで行くという設定は非常に気持ちがいいが、ちょっとリアリティーを欠いている。
  • 始まる前、宣伝を見た時にやはり既視感というものを強く感じた。既視感のない新しいドラマであるという打ち出し方がもう少しあったのではないか。
  • 彼女を解雇するために偽装の食中毒事故を起こす。現実にこんなことがあり得るか。百歩譲ってそこを認めても、オーナーが星野光子に偽装をバラす。こんなことはあり得ない。当然名誉毀損が成立するだろうし、告訴すればこのレストランはつぶれてしまう。
  • 三ツ星シェフが学校給食の調理に挑戦する、実に面白い企画だ。それから、学校給食にいろいろルールがある、カロリーが640キロカロリーで1日のお金が240円、そういうルールを、教えてもらった。
  • 腕のいいシェフの引き抜き競争が行われているということは知っていた。この二つの業界のありそうな話を結び、対比する、そういう着想で作られたドラマということでは良くできていて、大変面白い。
  • 所々の宝塚風の演出や、松任谷由実の『Smile for me』もなかなかいい。
  • 現代における水戸黄門。三ツ星のフレンチと給食という両極端をとって、主役が物事を解決していく、意地悪を排除していく、それが痛快なんだと感じた。
  • 若い人達は、dボタンでドラマのレシピが出てくるような仕掛けをすると、面白がってそれを見るんじゃないかなと言っていた。

これに対して、制作サイド、局サイドからは、以下の発言があった。

  • 主人公のキャラクターにリアリティーがない、というご意見について。リアリティーを持たせて共感をさせていく手法と、スーパーキャラクターを作ってそこに共感してもらう手法があり、後者をとった。
  • 給食だろうが三ツ星だろうがコンビニだろうが、美味しくなきゃだめという、ブレないポリシーを持っていることがこのドラマの一つの屋台骨、その価値観が揺るがない人間が、いろんなところで戦っていく様を描きたいと思った。
  • 主人公が、既視感があるというご指摘について。新しいヒロイン像として、ここまでブレないんだということ、ポジティブに考えていくことが見ている人達の共感を得られるようなストーリー展開にしていきたい。

その他、課題番組以外の放送について、意見があった。

  • 今度トランプさんが大統領になる。これは恐らく世界にとっては物凄く大きな事柄で、世界の方向を変えるかもしれない大きな出来事。希望を言えば、今の段階でなぜトランプをアメリカ国民は選んだのかという問題と、それが世界に与えた衝撃をぜひ報道番組としておまとめいただきたい。

これに対して、局サイドからは、以下の発言があった。

  • トランプ現象は他人事では決してない。日本でも同じような現象は水面下で多分起きているし、今後起きてくる。今回のアメリカのメディアの報道を検証することで我々も勉強しなきゃいけない。
  • 大統領就任式の時は編成とも相談して然るべき対応をするし、ポイントを押えながら、いろんな問題をいろんな番組で放送していきたい。
  • 今後ともこれに関しては、個別のニュース番組の審議のタイミングを待つことなく、折に触れここでご質問ただき、また議論をできればと思う。
  • トランプさんにしても現東京都知事にしても、元々はテレビの内側、メディアの中から登場してきた。テレビの強み、メディアの使い方を知っている。そうした人に我々メディアが都合よく利用されないよう、しっかりとした報道指針、守るべき哲学を改めて見つめ直す、考え直すこともしていかなければ、視聴者の信頼を失うことにもなりかねないと考える。

その他、報告事項。

BPOの放送倫理検証委員会が10月14日の第108回委員会で「選挙報道のあり方全般について」審議入り決定を報告。

石井英夫委員が、今審議会を以ってご退任されることとなり、ご挨拶があった。

  • 私の人生のモットーというと大げさだが、鎌倉時代の道元という坊さんの「花は愛惜に散る」という言葉がある。花は愛され、惜しまれているうちに散らねばならないという言葉。フジテレビの番審も、20年。私はフジテレビが好きだったし、番審で委員の先生方の見方、切り口が面白くて勉強になる。ついうかうかと時間が過ぎてしまって本当に申し訳なかった。
  • これからもフジテレビを見続ける。頑張ってください。

2016年最後の番組審議会により、社長より挨拶があった。

  • 「テレビのメディアは生活に寄り添う」というのが今回の民放連の大会のテーマだった。まさに災害報道も含めて生活に寄り添うことが、SNSやネットといったメディアとは違うところ。マスの人々の生活に寄り添いながら、楽しんでもらえる、また、ためになる番組を作っていくべきと思う。
  • 今年も1年、どうもありがとうございました。