番組審議会

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第458回 番組審議会議事録概要

1.開催日時

平成28年 6月8日(水)正午より

2.開催場所

東京都港区台場2-4-8 フジテレビ本社

3.出席者

  • 委員長
  • 但木敬一
  • 副委員長
  • 神崎仁
  • 委員
  • 梓澤和幸、石井英夫、大石静、岡室美奈子、林真理子、八木秀次
    (毛利衛:レポート提出)
  • 局側
  • 亀山社長、遠藤専務、鈴木専務、崎山取締役、西渕取締役局長
    小川執行役員局長、清水執行役員局長、塚越局長、平松局長、小田局長
    中山担当部長、鞍馬部長、宮道部長、高橋新週刊フジテレビ批評担当、織田担当局長
    大野室長、塩田チーフプロデューサー、濱プロデューサー、加藤・編成担当
    柴崎室長、小林部長、太田番組審議室

4.議題

金曜プレミアム「池上彰スペシャル 世界と闘う日本」
2016年6月3日(金)21:00~22:52放送

議題番組に対して各委員から以下のような意見が出された。

  • 国際競争の中に置かれた日本をどう見るか、それを面白くわかりやすく伝えるという着眼点はいい。
  • 日本の国際競争力に注目した場合、例えば、メディア的には知られていないが、企業力、技術力という点では世界的なレベルの分野、そういうところに、面白い苦労話、成功話があるのではないか。
  • 入り口となっているVTRが本当に上手にできていて、制作会社が何社か入っているようだが、優秀なスタッフが支えていることが深く感じられた。
  • 技術は凄いけれどもビジネスは下手というところはどう突破すればいいのか、そこまでもうちょっと解説して欲しかった。
  • 個々の企業の経営戦略の弱さと同時に、国家戦略の無さ、弱さが問われている。そのあたりもう少し突っ込んでもらうと後味が良かったか。
  • こういったテーマを番組にしたのは大変意義があり、非常に勉強にもなった。
  • 2月の『池上彰緊急スペシャル なぜ世界から戦争がなくならないのか!?』が大変優れていて、非常に感銘を受けた。戦争の歴史から、戦争ビジネス、教育、そしてメディア自身の問題など多角的な視点から切り込まれて、戦争はやめようというシンプルだけれども真摯なメッセージが明確に伝わってきた。
  • 池上さんは常に自分たちの責任の問題として物事を考え、客観的でフェアな立場から物事を分析し、ではどうしたらいいかを自分たちの問題として明確に発信していく。そういう点が今回は余り感じられなかった。
  • えっ、そうなのと視聴者に思わせる、勉強させる、非常に啓発的なテレビ番組だと思って高く評価。
  • この番組に鏤められていた数々の文明批評、比較文化論に興味を持った。例えば和牛の意味を外国でインタビューしたら、牛の種類?牛のブランドの名前?など、和牛というものに対する定義がない。日本酒の定義も曖昧。島国日本で和気藹々と共存共栄してきた我々民族にとって、しかつめらしく定義をする必要がなかった。
  • 池上さんの番組は本当にいつも面白い。何を話しても非常に安心して聞いていられる。
  • しかし今回、池上さんが一人で完成しているために、ゲストの方たちが非常に弱くなってしまい、月並みなことしか言えない。唯一面白いコメントが、「きょうは池上さん何でそんなダジャレ言うんですか」と、ビビるさんが、「『笑点』の司会、狙っているでしょう?」と。このコメントだけが面白かった。
  • 断片的な知識を整理してくれ、大変良い教養番組。講義よりも遙かに面白い。
  • 池上さんの番組はいい番組だが、他局でも同じような企画でやっている。フジテレビ独自の企画で、長期間続くような教養番組を作ってほしい。
  • 外国の技術を自国に取り入れ、国産化して国際市場に輸出というのは、まさに明治以来の日本がしてきたこと。和牛、日本酒について日本文化の国際展開というプラスの観点が語られていなかったことに、やや物足りなさを感じた。
  • 番組での世界各地での企業経営者、店主、街の声をも含む豊富な取材映像は、見応えがあり、国際市場や業界のデータ等の解説もわかりやすかった。
  • しかし、池上氏の最大の強みの一つである、最前線に立つ企業経営者、政府関係者等に対決し、鋭い質問を投げかけ、相手の本音を語らせるという迫力のあるシーンが、今回見られなかったことが残念。解説イコール池上彰ではもったいない企画。
  • 4つのテーマはいずれも非常に面白いテーマ。が、この番組を通して何を中核的な主張とするのかが余りはっきりしない。バックボーンが何なのかという点がもう一つ欲しかった。

これに対して、制作サイド、局サイドからは、

  • 2011年から『池上彰スペシャル』をやっているが、スタッフへのねぎらいの言葉までいただいて、本当に嬉しく思った。
  • 問題提起にとどまってしまったところがあった。4つのテーマを面白さという観点から並びなどを考えていく中で、今番組が抱えている課題かと。次回からの番組作りに生かしたい。
  • スタジオが思わず池上さんに質問したくなるような仕掛けとか、リアクションしたくなるような演出が、足りてなかったのかもしれない。前回の『戦争がなぜなくならないのか』では、もっと丁々発止の意見のやり取りがあった。今回、説明を聞くという側面が非常に大きかったので、ゲストの存在感が立ちづらかったのかもしれない。
  • 今、差別化ということで拘っているのがテーマ設定。視聴者が引っかかるようなテーマ設定をし、掘り下げていくというのが一つ掲げているところ。そういう中で掘り下げ足りないというご指摘もいただき、見直さなければいけない。

などの説明があった。

その他、「自転車事故企画への申し立て」に関する、BPO人権委員会の決定(5月16日公表)についての報告が局サイドからあった。

  • BPO放送人権委員会は、先月16日、(1)インタビューを含む情報部分とドラマ部分は構成上、区別されており、誤解を与えるものとは言えず、名誉毀損とは認められない。(2)しかしながら、フジテレビは、申立人の立場と心情に配慮せず、この企画の大部分を占めるドラマが当たり屋の事件を扱ったものであることを十分説明しておらず、番組の趣旨、取材意図を説明したとは言えず、放送倫理上問題がある。つまり、「放送倫理上問題があり」の『見解』が公表された。
  • 今回、名誉侵害はなかったというものの、取材対象に番組趣旨等を十分に説明しておらず、放送倫理上問題ありとの見解を下され、社内及び番組の制作会社への周知と、再発防止のための放送倫理の遵守を求められている。8月中旬までに再発防止策などを議論し、報告書を提出の予定、その経過、内容については、引き続きこの場で説明を申し上げる。

これに対して委員からは、

  • 番組を作った人は、事件の深刻さ、社会的な事象の深刻さについてまずどう考えたのか。それを番組に作る時に、どういうふうに(演出を加えて)行くのか、そこのところにぜひ返っていただきたい。
  • リアリティーとして自転車事故の当たり屋を問題点として指摘すべきものかどうかは、若干の違和感を感じる。
  • 出ていただいた方に不愉快な感情を与えそうな場合に十分説明を事前にしなきゃいけないというのは、礼儀として当然で、その点はよろしくお願いしたい。

などの意見が述べられた。