番組審議会
第454回 番組審議会議事録概要
1.開催日時
平成28年 2月10日(水)正午より
2.開催場所
東京都港区台場2-4-8 フジテレビ本社
3.出席者
- 委員長
- :
- 但木敬一
- 副委員長
- :
- 神崎仁
- 委員
- :
- 石井英夫、大石静、岡野俊一郎、寺尾睦男、林真理子、毛利衛、八木秀次
(レポート提出:梓澤和幸) - 局側
- :
- 亀山社長、遠藤専務、鈴木専務、稲木専務、崎山取締役、西渕取締役局長、小川執行役員局長
塚越局長、平松局長、小田局長、中山担当部長、宮道部長、鞍馬部長、中部室長
高橋新週刊フジテレビ批評担当、現王園室長、金井部長、村瀬プロデューサー
矢野・編成担当、柴崎室長、小林部長、太田番組審議室
4.議題
月9ドラマ「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」
2016年1月18日(月)21時00分~22時09分放送(初回15分拡大)
議題番組に対して各委員から以下のような意見が出された。
- 月9の復権を作家もスタッフもキャストも強く意識している、そういうことが画面から感じられるドラマ。
- ラブストーリーを見るというよりは、何かこの国は間違っていないかというテーマが迫ってくる気がした。
- 社会のひずみをフィクション、ドラマという形で世の中に訴える、それも一つの使命。そういう意味では上手くいっているが、「大人がハマる、泣けるラブストーリー」というパブリシティペーパーにあるような作品でもないのではないかと思った。
- 職場環境の問題とかブラック企業が描かれているが、やや善人と悪人の違いがデフォルメされ過ぎていて、違和感を持つ人もいるのではないか。
- こういう地方の少年たちをドラマに描く時は、地方の方言をもっと入れた方がいい。
- 私のような年齢の者が見ていて面白いが、50代、60代が盛り上がっていいのかな、と心配。
- 月9は、肝心の若い人達が『恋仲』のように話題にしてもらって、昨日見た、良かったよねとか、泣いちゃったとか、そういう話題になるドラマになってほしい。
- ストーリーの中に、現代社会が今抱えている様々な問題、母子家庭、養子縁組、養父母、環境問題、ダムの建設中止、老齢化社会、介護、いじめ、などが、捉えられている。凄く現代を反映してきちんと作られていると感じた。
- まれな偶然による遭遇が自然に描写され、巡り会いの描き方に、今を生きる若い男女の状況が深く語られている。いわゆるトレンディードラマとは違った「何か」がある。
- 挑みの姿勢がある、台本、演出、制作チームの皆様に声援を送りたい、共感できるドラマだ。
- 困ったのは、若い人達の顔の区別が上手くできない。顔を取り違えて考えると筋が全然合わず、困ったなと思うことが何度もあった。
- 「誰もが生きていくことは切ないんだ」ということがこのドラマの軸となっている。地位とか年齢に全く関係なく、誰もがそのポジションで生きていくことの切なさみたいなものを引っ張り出しているドラマであるように思える。
これに対して、制作サイドからは、
- 現代社会の現実を描きながら、その上でラブストーリー、恋を描くというテーマを掲げた。東京に限らず日本という国が抱えている社会的な部分、現実を受け止めた中で若い子たちが、恋愛をしていく、その両方を上手く描けないかと思って作った企画だ。
- 社会の黒い部分をしっかり描くことで、一瞬の煌めきと、そんな中で恋をする幸せがより鮮明に描ければ、キュンとしてもらえる作品が作れるのではないかと、作ってきた。
- 社会のひずみの方が強過ぎてラブストーリーとして見られないというご意見は、真摯に受け止めた。このバランスをとりながら、あくまでラブストーリーとして若い世代に盛り上がってもらえる気持ちになれるものを目指したい。
- プロの方言指導ではなく、地方出身で同じぐらいの年数東京で暮らしている一般の方にお願いしている。出さない部分のリアルと、本音で喋る時は出てしまうというところを狙っている。
などの説明があった。
また、その他課題番組以外へのご意見として、
- 放送法は、戦争を煽った戦前戦中の放送のあり方を反省して規定されたもので、「放送分野における表現の自由法」とも言うべきもの。放送局の中で萎縮に結びつくことは決してあってはならない。「ひるまないでほしい」とお一人お一人の放送人の良心に呼びかけたい。
という、ご意見があり、これに対して局側からは、
- 私ども放送人が萎縮するということは到底ないし、これまでどおりの、放送法に則って報道するという姿勢は、一切変わらない。
との発言があった。