INTERVIEW #10 田所良昭役 児玉清さん(特別出演)

1stシーズンから撮影に参加してこられてのご感想をお願いします。

僕が演じている田所は、治療シーンにはあまり関わっていないので、山下(智久)さん、新垣(結衣)さん、戸田(恵梨香)さん、浅利(陽介)さんたちフェローや比嘉(愛未)さんにしても…と、比べると、わりと演じやすいんじゃないかと思います。田所は大先輩で、フェローたちを教えなくてはいけないんだけど、実際は、日々治療シーンを演じている彼らと撮影現場での立場は逆転しているんじゃないかって(笑)。

そんなことはないかと…。

いやいや、1stでも1回だけ治療シーンがあったんですけど、医療指導をして下さっている医師の方に注意されました。メスを持って治療に入ろうとすると“それじゃ、素人です。脇を占めて”なんて。でも、僕としてはやったことがないから、必死さのあまり肘を張ってしまったんですね。2ndでは、8話でもやりましたが、治療シーンがありました。上手く出来ていたかな? 本当に、そういう意味ではフェローたちの方が、僕よりもしっかりとしていますよ。

治療シーンだけではなく、フェローたちは確実に成長しましたね。

2ndに入って、すごくたくましくなりましたね。ご覧になられているみなさんも、感じられていると思います。1stの時は、僕の周囲の人たちから“フェローたちは、年齢的に若すぎるのでは?”と、言われました。確かに、実年齢で20代前半の山下さんたちがフェローを演じるには、大変な苦労があったと思います。そんな彼らが、1年少々の時を経過して2ndの撮影に入り…再会した時は“あれ? 雰囲気が全然違う!”って、思いましたよ。1stの撮影が終わった時に、勝村(政信)さんが冗談で“もう、僕ら手術出来ちゃう気がする”とおっしゃっていたんですが、山下さんたちも、それぐらい大きな経験を積んでいたわけです。とっても凝縮した意味合いにはなりますけど、1stの撮影を通じて“医師としての何か”を、役を通して体得したんじゃないかな…。

1stの時から、医療現場のリアリティーが追求されています。

その中で、ドラマとは言え“命を救っている”という体験から、フェロー役のみなさんに生まれてくるものがあるのでは…と、いう気さえします。2ndでは、客観的に見ていて辛い話がありました。子供を亡くしてしまうなんてことは…。でも、医師の方たちは、そんなことも受け止めなければなりません。救うだけではなく、死というものにも真摯に直面するんです。これも、山下さんたちにとっては深い体験になっているのではないでしょうか。

2ndでは、キャラクターそれぞれの背景がクローズアップされています。

そうですね。フェローのキャラクターに、より深く入り込んでいますね。一人一人の立場や抱えているものをクリアにしながら、物語が進んでいます。医療現場で体験する矛盾や悩み、プライベートの問題と、どう向き合っていくのか…。緋山(戸田)と、患者との問題なんかは、作家の方が、それぞれの気持ちを丁寧にえぐっていますよね。母親とは気持ちの交流が出来ていて、後、数時間の子供の命をどうするのか…医学上の生死の判断は、実際にも問題になるところです。たった一枚の承諾書を取らなかったために、医療過誤となってしまう。その時の、緋山の心、母親の思いの揺れが見事に描かれていましたね。人間の心の問題は怖いし、それこそ永遠のテーマ。またこれは、これからの日本医療のグラウンドデザインにも関わってくることだと思います。

藍沢(山下)の母親の手紙も辛かったです。

事件だよね。リリー(フランキー)さんが飄々と演じられている父親の誠次から渡されて…。お母さんは自殺じゃないと言ったのに、結局、あの手紙を渡してしまうんですよね。あの件は、人間というものが過去とどのように関わっていくのか? って、いうことを考えさせられました。本当に、このドラマはいろいろな事を問いかけていると思います。白石(新垣)と父との交流も、三井(りょう)と橘(椎名桔平)の関係もどうなっていくのか…。プライベートな面が描かれることで、さらに医師に突きつけられているさまざまな問題が見えて来ますよね。何か“労多くして功少なし”という仕事なのではないかって。プライベートを抱えながらも、一生懸命に人の命を救おうとしているのに、その現場では危険水域と常に隣り合わせで、クリフハンガーを歩いている。一歩踏み損なえば、犯罪者にされてしまうんですから。これは医師だけではなく、それを取り巻く社会のあり方でもあるんですよね。その辺も、ご覧のみなさんそれぞれで考えて頂ければ良いな…と思います。

最終回に向けて、視聴者のみなさんにメッセージをお願いします。

まだ、最終回のことは伺っていないので分かりませんが。僕が演じる田所は8話で倒れてしまって、9話まではなんとか生き延びたみたいですが…。ドクターヘリ事業を推進してきた田所としては、まだまだ死に切れないでしょうから、今後の発展のためにも頑張りたいところですね。また、今回はフェローたちの卒業もテーマになっていますけど、果たして田所は彼らを無事に見送れるのか? どちらにしても、フェローたちには大きな山が待ち受けていると思います。それを乗り越えて、新たに大きく成長して旅立つことになるのかどうか…。みなさんも、最後まで注目して頂きたいですね。

バックナンバー

PAGE TOP