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「そこから先の畑には、絶対に入らないでくださいね。地雷原ですから」
カブール市中心部から車で十分ほど走ったところにある小学校に訪れた際、開口一番、こう言われました。
その畑は校門からわずか三メートルほどの距離。生徒たちは校庭でボール遊びもできないでしょう。これまで目にしてきた「ここから先地雷あり」のマークなど、何一つありません。
見る見る顔が引き攣っていく取材スタッフ。
生徒たちに危険は及ばないのか?校長に尋ねると、彼は笑顔でいいました。「大丈夫だよ、子供たちは皆、そこが地雷原であることを、知ってるから…」
二十年以上に及んだ戦火がアフガニスタンから消えて、数ヶ月。首都カブールでさえ、未だあちこちに戦争の傷痕を見つけることができます。
今回我々は三人の子供たちの目を通し、今のアフガニスタンを映し出すべく取材をしてきました。
それぞれの子供たちが、我々平和に暮らす日本人からは想像できないような、過酷な経験を重ねています。その過去には常に死の匂いがつきまとい、誰もが心に傷を抱えながら、それでも前に進もうとしていました。
十歳のアラブは、廃虚と化した家に住みながら、もう一度庭に花を植えたいと、一日二時間、家の修理に汗を流していました。
九歳になるナウィードは家族を養うため、今の仕事と合わせ新聞売りも始めました。
「今何でも好きなことをやっていいよ、と言われたら何をしたい?」彼に問いかけると、すぐさま答えが帰ってきました。
「お医者さんになりたい。お医者さんになって、みんなを助けたい。」
我々が取材したアフガニスタンは、ほんの一部です。
しかしその「ほんの一部」からも、この国が抱える大きな傷痕が、見えてきました。
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フジテレビ情報一部 大林 潤 |
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道端で出会った少年兵にインタビューする。 「地雷が無くなって平和が来たらぶどう畑で働くさ!」
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「将来は医者になりたい!」と答えるナウィード君9歳 |
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