大震災以前のハイチでは、子どもたちの身辺に様々な危険が迫っていた。

(c)UNICEF/NYHQ2005-1926/Roger LeMoyne
- 「乳児死亡率」「五歳未満児死亡率」「妊産婦死亡率」が西半球で最悪。子どもの死因の上位はマラリア、下痢による脱水症状、呼吸器感染症、HIV/エイズなど。
- 「国民の6割が基本的な保健・医療サービスを受けられず、農村部では顕著。教師、ソーシャルワーカー、保健師が身の危険から職場に行けず、学校、病院が閉鎖されている。
- 15歳から49歳の国民の2.2%がHIVに感染。14歳以下の子どもの感染者は7000人近い。抗レトロウイルス薬が絶対的に不足。
- 年間2000人の子どもがドミニカ共和国へ人身売買されている。その多くに両親が関与。
- 初等教育を受けられる子どもは半数。中等教育を修了するのはわずかに2%ほど。
- およそ1000人の子どもが首都ポルトープランスの武装集団に兵士などとして使われている。
こうした状況を受け、ユニセフは教育や子どもの保護・成長の分野に力を入れていた。
ユニセフが重点をおく活動分野(震災前)
■教育で男女の格差是正
ハイチの政情不安は「教育」に大きく影響し、「親の収入」「遠すぎる」などの理由で半数近くのこどもが小学校に通えない。15歳以上の国民の識字率は南北アメリカで最低の60%ほどで、特に女子が悪い。ユニセフは学校施設の改善など、全ての子どもたちが学校に通える環境づくりを進めている。
■子どもの生存と成長
食料不足、保健・衛生知識の欠如で栄養不良状態の子どもが多く、いったん病気にかかるとすぐに重症化して、死亡率、障害の残る率が高まる。ユニセフは様々な分野で保健・医療に関するシステムの構築を進めている。
■子どもの保護
度重なる自然災害で、多くの子どもが親や保護者を失い、暴力や虐待、搾取、不法な養子縁組などの危険にさらされている。ユニセフは、親や保護者を失った子どもを守るため、保護のための福祉施設の拡充と、受け皿になる地域コミュニティの能力アップを、政府機関やNGO間と連携して進めている。
ハイチ共和国 基本統計(ユニセフ「世界子供白書 特別版」より)

(c)UNICEF/NYHQ1994-0802/Nicole Toutounji
総人口 | 9,876,000人 |
18歳未満人口 | 4,294,000人 |
5歳未満児死亡率(1,000人あたり) | 72人/1,000人 |
5歳未満児死亡率の順位 | 48位 |
5歳未満児の年間死亡数 | 19,000人 |
新生児死亡率(1,000人あたり) | 32人/1,000人 |
平均余命 | 61歳 |
1人あたりのGNI | 660米ドル |
1日1.25米ドルで暮らす人(比率) | 55% |
初等教育純出席率 | 男子48% 女子52% |
識字率(15歳以上) | 62% |
成人(15〜49)のHIV感染率 | 2.2% |
子ども(0-14)のHIV感染者数 | 6,800人 |