
シエラレオネでは内戦が終結した後も、国民のほとんどが「最悪の貧困状態」を抜け出せないままです。
基本的なインフラ整備が遅れていて、「清潔な水」を入手できるのは国民のおよそ半分、「トイレなどの衛生施設」を使えるのは1割程度という状況です。このため、シエラレオネでは子どもと母体の生命が危険に直面していて、
「5歳未満児死亡率」は262人/1,000人、
「妊産婦死亡率」は1,800人/100,000人、
と
世界最悪です。そして、、
「乳児死亡率」は155人/1,000人、
「平均寿命」は42歳、
で
世界ワースト2位という悲惨な状況です
(UNICEF「世界子供白書2009」より)。
つまり、シエラレオネでは生まれた子どもの4分の1以上が、5歳の誕生日を迎えられずに亡くなっているのです。
また出産年齢にある女性の栄養状態が恒常的に悪く、低体重や発育不良の子どもが生まれる確率が高くなっています。生まれてくる赤ちゃんと子どもの保護にもつながる「女性への保健サービス」は喫緊の課題です。
さらに、学費が払えないため学校に行けず、家族のために働いている子どもが大勢います。将来の夢を抱けないまま、おとなに交じり厳しい肉体労働をしているのです。
子どもが健やかに成長できる社会を取り戻すことが、この国を救うことにつながります。
シエラレオネの子どもたちのために、みなさまの温かいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
ユニセフ優先課題
シエラレオネでは、人口の約6割が1日1ドル未満で暮らしています。貧困下で暮らす子どもの多くが、生存・成長・教育などのあらゆる機会を奪われています。ユニセフ・シエラレオネ事務所は、子どもたちの健やかな成長のため、保健、教育、子どもの保護の分野に重点を置いて活動しています。
- 保健
保健制度の向上で死亡率は低下していますが、農村部ではマラリア、呼吸器系の感染症、下痢性の疾患、栄養不良の子どもがまだ多く、また低体重や発育障害の子どもも減りません。1歳未満児の完全予防接種率は上がっていますが、地域によってばらつきがあり、今後高める必要があります。ユニセフは、保健施設の整備やスタッフの人材育成に取り組んでいます。
- 教育
教育はシエラレオネ政府の最優先課題のひとつです。教育と青少年育成プログラムでは、初等教育の就学率を向上させ、依然として大きいジェンダー(性差)による格差を縮小することが目的です。また学校の再建も重要で、ユニセフは仮設教室の建設、机やイス、教科書、学習道具などの提供や、教員研修を支援しています。さらに、年齢を問わず小学校レベルの教育を修了していない子どもたちのための学習プログラムを、いくつかの地域で実施しています。
- 子どもの保護
ユニセフの「子どもの保護プログラム」では、かつて少年兵だった子どものケアや家族の捜索・再会をサポートし、最終的に、各コミュニティーが子どもとその家族を受け入れ、サポートできるよう支援しています。また、性暴力などの虐待に苦しむ子ども、ストリートチルドレンのケアが課題です。
シエラレオネ基本データ(ユニセフ「世界子供白書2009」より)
総人口 | 5,866,000人 |
18歳未満人口 | 2,889,000人 |
5歳未満児の年間死亡数 | 70,000人 |
5歳未満児死亡率 | 262人/1,000人 (※1) |
乳児死亡率 | 155人/1,000人 (※2) |
妊産婦死亡率 | 1,800人/100,000人 (※1) |
平均寿命 | 42歳 (※2) |
1人あたりのGNI(国民総所得) | 260米ドル |
1日1.25米ドルで生活する人の比率 | 53% |
初等教育純出席率 | 69% |
識字率(15歳以上) | 38% |
成人のHIV羅漢率(15歳〜49歳) | 1.7% |
子ども(0〜14歳)のHIV感染者数 | 4,000人 |
※1 世界最悪 ※2 世界ワースト2位