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ユニセフ・パプアニューギニア事務所 2008年12月
ご支援いただいたプロジェクトの概要
支援対象国 パプアニューギニア独立国
プロジェクト名 HIV/エイズの拡大する状況下での母子保健サービス強化プロジェクト
資金額 158,702.67米ドル
支援期間 2007年9月1日〜2008年11月30日
支援地域 ポートモレスビー(ニューキャピタル地区)、西山岳州、東セピック州、東山岳州、その他のユニセフ活動地域(ミルネベイ州、ブーゲンビル自治州)
支援対象者 女性と子ども(特に妊産婦、乳幼児)
パートナー 国家保健省、国家カトリック保健サービス
 
1.プロジェクトの背景
1.1国の概況
PHOTO 母子保健の分野は、パプアニューギニア政府が取り組む最重要事項のひとつです。パプアニューギニアでは、子どもと妊産婦の死亡率が高く、この状況を改善するためには、保健制度、社会サービス、そしてインフラストラクチャーの整備が必要です。また、パプアニューギニアの地理的・文化的な多様性を背景に、HIV感染が拡大しており、この状況下において母子保健サービスを強化することは非常に大きな課題となっています。

同国の妊産婦死亡率は、出生10万人あたり733人です。この数字が物語るのは、女性が社会的に低い立場に置かれているということです。妊産婦の死亡原因として主にあげられるのは、出産後の出血、感染症、難産、マラリアによる内科的疾患です。近年、政府は、妊産婦への産前・産後ケアと専門スタッフの出産立会いを推進しています。5歳未満の子どもの死亡率は、1,000人あたり75人です。HIV/エイズの感染拡大によって死亡率が上がっており、現在の同国の子どもの死因は、マラリア、下痢性の病気、肺炎、そして栄養不良による合併症ですが、いずれはエイズによる病気が加わるだろうと言われています。15歳から29歳の女性のHIVの感染率は、同年代の男性の2倍から4倍も高くなっています。これは女性だけの問題ではなく、その子どもや家族に関わる問題です。HIVの母子感染予防、HIV感染者の家族へのサポートやケアを包括的に行う必要があります。
最新のデータによると、パプアニューギニアのHIV感染者の数は23,210人です。2007年の新たな感染者の数は、5,038人と報告されています。この新たな感染者の38パーセントはニューキャピタル地区の人びとで、28パーセントは西山岳州の人びとが占めています。14歳未満の子どもの感染者の割合は6パーセント以下であり、その多くが母子感染です。

1.2支援対象地域における母子感染予防サービスと小児HIVサービスの状況
国内で最もHIV感染者が多い地域は、ニューキャピタル地区と西山岳州の2つの地域です。現在、ポートモレスビー総合病院(ニューキャピタル地区)とマウントハーゲン病院(西山岳州)は、それぞれ母子感染予防と小児HIVサービスを実施する二大病院で、約10,000人の妊産婦が産前・産後のケアを受けており、毎年15,000人以上の妊産婦が専門家の立会いのもとで出産しています。しかし、いまだに包括的な保健サービスを提供するための人材能力は低く、インフラストラクチャーや基礎的な医療設備は不十分な状況です。

ポートモレスビー総合病院の産婦人科によると、妊産婦の1.1パーセントがHIVに感染しています。毎年、同総合病院で出産する10,000人を超える妊産婦が母子感染予防サービスを利用しています。さらに、都市部にはクリニックが他に6つあり、そのクリニックに通う妊産婦は紹介状をもらって総合病院の母子感染予防サービスを利用することができます。

マウントハーゲン病院の報告では、妊産婦のおよそ2パーセントがHIVに感染しています。毎年、およそ5,000人の妊産婦が妊婦ケアを受け、母子感染予防サービスを利用しています。加えて、同地区内にある政府と教会が運営する保健施設に通う妊産婦は、紹介を受けて、マウントハーゲン病院の母子感染予防サービスを利用することができるようになっています。

さらに、東山岳州のゴロカ病院、西山岳州のウェワク病院とマプリク病院では、毎年、およそ9,000人の妊産婦に対して妊婦ケアと母子感染予防サービスを行っています。しかし、インフラストラクチャーの老朽化により、ウェワク病院の産科に通う妊産婦たちは、水と衛生設備において、適切且つ良質なケアを受けられない状況に置かれています。さらに、マプリク病院では、農村部の母子感染予防サービスを含む母子保健サービスの支援に非常に積極的ですが、経済的に課題を抱えています。

パプアニューギニアでは、現在、259人の子どもが抗レトロウィルス療法を受けています。そして、同数の子どもが治療を受ける順番を待っています。このような子どもたちの多くが、ニューキャピタル地区、マウントハーゲン、ゴロカ州の出身で、子どもやその家族は、地元のNGOや市民団体によるケアやサポートを受けることができます。
 
2.プロジェクトの目的
子どもの生存と母体保護プログラムの実施を拡大し、母子感染予防と小児HIV/エイズサービスにおける包括的な取り組みを強化することが、今回のプロジェクトの目的です。インフラストラクチャーの整備と必要最低限の医療物資の提供、そして、妊産婦ケア、出産のケア、産後ケア、小児HIV治療とケア、母子感染予防サービスを含む母子保健サービスの向上を目指しています。

目的:
 
3.資金の活用
FNSチャリティキャンペーン様からのご支援金158,702.67米ドルは、公衆衛生、教会を中心とした保健サービスの強化、医療機器等の物資の提供、母子感染予防と自主的なカウンセリングとHIV検査を含む母子保健サービスの向上と利用拡大のためのユニセフの活動に活用させていただきました。
 
4.プロジェクトの結果
以下、具体的な成果の一部をご報告いたします。
写真資料①:ウェワク病院・マタニティクリニックの修復
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  修復前の妊産婦の診察風景:
プライバシーが守られない環境での診察
  修復後:個室、仕切りを設け、よりプライバシーが
守られるようなつくりに改修しています。
 
写真資料②:
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  聴診器、血圧計、簡易検査キット   妊産婦クリニックと分娩室用の診療用スタンド
 
5.支出のご報告
活動 予算(US$) 実費(US$)
社会基盤の整備におけるサポート:
・ウェワク病院のマタニティクリニックの修復(自発的なカウンセリングとHIV検査センター、母子感染予防と小児HIV/エイズサービスを実施する母子にやさしいクリニックの改築)
40,000 52,676.19
蚊帳の調達:5,000張り 28,000 31,954.89
母子保健サービスに関わる医療機器、医薬品の提供:
医療キット(抗生物質、経口薬品、点滴、血圧計、聴診器、縫合セット、体重計、吸引器、診療用スタンド、妊産婦と赤ちゃんのケア用品)
32,000 27,291.56
検査センターへの支援:
エイズ簡易検査キット調達(30,000セット)
25,000 33,463.60
産科、小児科用の医療備品:イス、薬品用冷蔵庫、分娩室用の洗濯機、データ管理のためのコンピューター
啓蒙活動における支援:母子感染予、小児エイズ
15,000 13,316.43
アビアンプ小学校
給水施設の整備、トイレの設置
25,000 中止(*)
合計 165,000 158,702.67
*アビアンプ小学校の水と衛生プログラムの中止に関して
新規で雇った水と衛生環境の担当官のビザ取得がスムーズに進まず、残念なことですが、プログラムを実施することができませんでした。同プログラムの実施予算分につきましては、他の支援プログラムに分配し、有効に活用させていただきました。
 
6.将来の活動プラン
日本ユニセフ協会を通じ、FNSチャリティキャンペーン様より2回目となる418,557.82米ドルのご支援をいただきました。2回目のプロジェクトは、2006〜2010年の国家のHIV/エイズに関する戦略プランに関わるプロジェクトとなります。

目的:
 
7.謝辞
FNSチャリティキャンペーン様より158,702.67米ドルのご支援をいただき、パプアニューギニアの保健サービスを改善するための活動に活用させていただきました。特に、母子保健サービス、母子感染予防、小児HIV/エイズプログラムに関する取り組みを実施し、パプアニューギニアの女性や子どものための適切な保健サービスとHIV/エイズに関するサービスの拡大につながりました。

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