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HIV/エイズの子どもへの感染は、薬と適切な医療体制が整っていれば、高い確率で防ぐことができます。しかしながらマラウイでは、専門的知識を持った人材の不足、検査機器などの設備の不足、子どものための薬の不足、またそれぞれのサービスの連携ができていないことによって、防ぐことができるはずの母子感染が広がり、幼い命が失われています。また、HIVに感染した子どもへの抗レトロウイルス治療がようやくマラウイに導入された2005年以来、治療を受けられる子どもの数は徐々に増えていますが、治療を受けている患者のうち15歳未満の子どもはいまだ7%に過ぎません。

2006年度のFNSチャリティキャンペーンを通じたご寄付は、このマラウイ共和国での母子感染予防の拡大と感染が判明した子どもへのケアと治療を充実させるために使用させていただく予定です。特に母子感染に関しては、母親の妊娠中、出産時、出産後の授乳期間を通した継続的なサポートが重要であり、一連の妊産婦ケアの中に質の高い母子感染予防対策を盛り込むことが求められています。そのため、十分な専門的知識をもった保健員を養成して妊婦検診と同時に母子感染予防ケアを実施できる保健センターを増やすこと、出産後も継続的なフォローアップができるようなコミュニティ・ベースの支援体制を整備することに重点を置いています。また、簡易検査では難しい生後18ヶ月未満の乳児のHIV抗体検査が可能な機材を導入し、特にウイルスレベルが高いと思われる(感染後間もない、もしくは病状が進行している)女性から生まれた子どもに関しては早期に検査を実施し、適切な時期に治療を開始することで幼い命を守ることを目指しています。さらに、HIVに感染した母子がコミュニティの理解と支援を得て生活ができるよう、広報・啓発活動にも資金を活用していきます。
2007年6月
(財)日本ユニセフ協会
プロジェクト概要
■支援国 マラウイ共和国
■プロジェクト名 母子感染予防および小児HIVケア対策拡大計画
(Accelerated PMTCT & Pediatric HIV Care Scale Up)
■対象エリア マラウイ共和国全土
■受益者 マラウイ共和国の女性と子ども(特に妊産婦、乳幼児)
■背景 HIV/エイズの感染率が14%、現在約93万人の感染者を抱えているマラウイで、子どもがHIVに感染する最大の原因は母子感染である。適切な対策が施されていないために、毎年4万人の新生児がHIVに感染していると推定されている。2006年末時点で、HIVの検査やカウンセリングを受けることができた妊婦は全体の16%であり、また抗レトロウイルス治療を受けている患者のうち子ども(15歳未満)はわずか7%にとどまっている。 子どもへのHIV感染を防ぐ最も効果的な方法が母子感染予防と乳児期の適切なケアであるにも関わらず、マラウイでは、母子感染予防のための適切なサービスを提供するために必要な専門スタッフ、医療・検査設備、薬が不足しており、妊娠期から出生後までを総合的にケアする体制作りの拡大が求められている。
■目的
2008年12月までに、500施設で総合的な母子感染予防サービスを提供できるようにする。
抗レトロウィルス療法と母子感染予防を実施するすべての施設で、小児HIVカウンセリング・検査・治療を強化する。
■支援内容 1)母子感染予防の拡大
   ● 保健員へのHIV母子感染予防トレーニングの実施
500人の保健員を対象に、母子感染予防に関するワークショップを開催し(計10回)、総合的な母子感染予防ケア(カウンセリング・検査・出産前後のケア、育児サポート等)をできる保健センターを新たに200ヶ所増やす。
   ● ピア・エデュケーターの養成
若者にHIVカウンセリングや検査を促すピア・エデュケーターを約100名養成し、より多くの若者が安心して自発的にカウンセリングや検査を受診し、また抗レトロウイルス治療を受けられるようにする。
2)小児HIVケア・治療の拡大
   ● 小児HIVカウンセリング・検査のトレーニングの実施
50人の保健員を対象に小児HIVに関するカウンセリング・検査、ならびに抗レトロウイルス治療に関するワークショップを開催する(計10回)。また50人の技術者に、小児HIVの検査に関するトレーニングを実施し、小児HIVのカウンセリングおよび検査に対応できる専門家を増やす。
   ● 小児抗レトロウイルス薬、その他医薬品の調達
HIVに感染した子どもへより効果的な治療薬を処方できるよう、小児抗レトロウイルス薬や小児用の感染症予防薬(コトリモクサゾ−ル)を提供する。
   ● 直接的HIV抗体検査機器の調達
生後18ヶ月未満の子どもでもHIV抗体検査が可能なポリメラ―ゼ連鎖反応検査機を調達し(1台)、ウイルス量の高い母親から生まれた子どもの早期検査および陽性の場合の早期治療開始を可能にする。
3)コミュニティを巻き込んだ活動
   ● 母子感染予防および小児HIVケアに関する広報キャンペーン
母子感染予防と小児HIVケアの重要性を周知し、理解を高めるための広報キャンペーンを、国家レベル、地域レベル双方で行う(ラジオスポット、TVでのメッセージ放送、啓発集会の開催等)
   ● コミュニティベースの母子感染予防、小児医療巡回支援
コミュニティレベルでの人員の動員により、5地域で少なくとも1000人が母子感染予防や小児HIV治療の情報を得、200人の女性とその子どもが母子感染予防・小児HIV治療を受けられるようにする。
   ● 救急用バイクの調達
HIV陽性の妊婦や感染の危険の高い乳児へのフォローアップをするための救急訪問用のバイクを調達する。
   ● 訪問用車両の調達
2地域で、カウンセリング・検査並びに母子感染予防・小児HIVケアを拡大するための訪問ケア用車両を調達する。
4)モニタリング・評価
   ● 健康手帳や検査や治療の登録書の制作
■支援期間 1年
■必要資金 約US$686,000
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