フジテレビジュツの仕事
FNS27時間テレビ
1987年7月~
2024「FNS27時間テレビ~日本一たのしい学園祭!」
2024年7月20日18:30~21日21:54
- 美術プロデューサー
- 平井 秀樹
- デザイナー
- 永井 達也/鈴木 賢太/木島 卓哉 ほか
- アートコーディネーター
- 椛田 学/徳永 法子/鳥山かのこ ほか
デザインのヒミツ

ー2024年は『新しいカギ』の世界観がベースということですね。
永井
『新しいカギ』は「学校かくれんぼ」などの人気コーナーもありますし、今回は学生など若い世代に届けるというコンセプトで進めていて、「日本一たのしい学園祭!」というキャッチコピーからも分かるように、青春がはじけ飛ぶという世界観です。
ーメインセットは広いステージが印象的です。
フィナーレに向けてダンスのコーナーが熱く展開されますので、メインセットもそれに合わせて大勢の人が踊れるスペースを確保しました。背景には大型ビジョンを配置しているので、映像やCGを使ってカラフルな世界を演出できます。その周りを『新しいカギ』のキービジュアルになっている独特な模様が色とりどりに囲んでいますし、電飾や照明でもめいっぱい光がはじけ飛ぶさまを表現できます。





ー客席もスタジアムのように盛り上がるつくりですね。
はい、客席も映ってもいいようにスタジアム風に組んでいますので、スタジオの熱気が伝わればいいなと思っています。ある時は舞台転換をして、ステージの上にも客席を置いたりします。背景が若い人で埋め尽くされるわけで、どんなセットより臨場感や高揚感が伝わるんじゃないかと考えました。



ーそのテンションを27時間引っ張るのは大変です。
そうですね。時間帯によっては“ゆるめ”のコーナーもありますし、屋外でのマッサマン企画や、去年に続いて耐久マラソンの通し企画もありますので、メインセット以外でもかなりの数の美術セットや小物を用意します。色んなレギュラー番組を27時間テレビバージョンに変える場合は、元番組の美術スタッフともコラボするので、打ち合わせの数がハンパないですね。美術デザイナーも、何人かで分担しないととても実現できませんし、本社屋のスタジオや湾岸スタジオはもちろん、中継先にもそれぞれ美術スタッフが張り付いています。まさに美術スタッフ総動員で取りかかるのが『27時間テレビ』なんです。

100kmサバイバルマラソン

逆バンジーのクレーンセット
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- 2024年メインセット建て込み動画
2018「FNS27時間テレビ~にほん人は何を食べてきたのか?」
2018年9月8日18:30~9日21:54
- 美術プロデューサー
- 三竹 寛典
- デザイナー
- 鈴木 賢太 ほか
- アートコーディネーター
- 椛田 学 ほか
デザインのヒミツ

ー2018年は通しテーマが「食」いうことでした。メインセットのコンセプトは?
鈴木
最初に演出から「オープニングだけのために街を作ってほしい」という無茶ぶりがあったんです。食文化に迷い込んでいくというイメージから、どこかのアジアの街の不思議な迷宮を一から作ることにしました。表側だけでなく、カメラがついていっても街が続いていく奥深さが必要なので、リアルに全部作らないといけなくなって相当大変なことになりました。たまたまなんですが、その頃プライベートで台湾に旅行したばかりで、「千と千尋の神隠し」の舞台のモデルなのではと話題になった九份の街の写真もたくさん撮っていたんです。職業柄旅先でも街並みだけでなく、装飾物のデザインや道の様子など細部に興味がいくクセがついているので、その資料はかなり参考になりました。

ー妖しい雰囲気が例年の『27時間テレビ』と比べても異彩を放っています。
ドラマ撮影にも耐えられるクオリティーには仕上がっていると思います。床材はアクリル装飾の担当なんですが、路上タイルの汚れ具合などは臭いを感じるくらいの再現度で、美術スタッフの技が光っています。ぼんぼりの装飾や植栽も空間づくりには重要な役割を果たしましたし、特殊効果のスタッフも煙るような空気を演出しています。この時はセット模型も作りました。迷い込んでいくという動きがカメラを通して見るとどういう映像になるのかなど、図面だけで進めるよりは立体模型でシミュレーションすることで、スタッフみんなが一発でイメージを共有できるんです。模型作りの手間はかかりますが、その後の打ち合わせがスムーズに進みます。




ー27時間を通しては色々なコーナーがあるんですよね。
やっぱり『27時間テレビ』はFNS系列を挙げてのお祭りですから、すべてのコーナーで盛り上がれるように色んなアプローチで工夫しています。レギュラー番組のセットも含めて番組全体が“お祭り”になるようにプランを練るので、27時間通しですべてのコーナーに関われたのはよかったです。



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- 2018年メインセット建て込み動画
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- 2018年メインセット模型動画
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- 2018年メインセット主観カメラ
1997「疾風怒濤!FNSの日スーパースペシャルⅪ真夏の27時間ぶっ通しカーニバル~REBORN~」
1997年7月26日18:00~27日20:54
- 美術プロデューサー
- 夏野 展實 ほか
- デザイナー
- 塩入 隆史 ほか
- アートコーディネーター
- 伊藤 則緒 ほか
デザインのヒミツ
ー1997年はハプニングの連続だったそうですね。
塩入
台場に移転して初めての27時間テレビだったんですが、台風が直撃したことで番組冒頭から企画内容が大きく変わりました。生放送中での変更もあったので美術スタッフ総出で対応しました。それだけ皆の記憶に強烈に残っている回です。
ー野外にも美術セットを設営していたんですね。
はい、特に「お台場ゲームバトル」という企画は、屋外の特設会場に大勢の観客を招いてやる予定で考えていました。ところが雨のせいで公開放送が中止になり、そのうえ美術セットも濡れましたし肝心の機械が故障してしまったので、急遽仮設テントを建てて、その中で「ぷよぷよ」対決をやることになったんです。なので屋外セットは結局使われませんでした。これは伝説として語り継がれていますね。生放送にはハプニングがつきものですから、それもネタにして勢いで突っ走った放送でしたね。でも翌日はすっかり晴れて、「フリースロー対決」や「全国各地から船で食材を運ぶ企画」も放送できました。

使われなかった屋外セット

使われなかった屋外セット
ーメインセットのデザインコンセプトは?
タイトルに“疾風怒濤”という言葉が入っていて、「海」や「夏」がキーワードでしたので、大波をモチーフにしたデザインでまとめました。オープニングから台風だったことで、違うニュアンスの“疾風怒濤”になったかもしれませんが。



(2024年7月)