フジテレビジュツの仕事

    週刊ナイナイミュージック

    2023年10月~ 
    毎週水曜日 23:00~23:40

    • 美術プロデューサー
      三竹 寛典
    • アートコーディネーター
      鈴木 あみ
    • 大道具
      宮路 博貴/渡辺 桃加
    • アクリル装飾
      犬塚 健
    • 視覚効果
      倉谷 美奈絵
    • メイク
      山田かつら

    ビジュツのヒミツ①

    「ポップで明るいセット」に
    なぜかエイリアン?

    「週刊ナイナイミュージック」は架空の音楽雑誌。
    美術セットはその雑誌の編集部に見立てたトークセットと
    歌セットの2つです。

    総合演出からの注文は「ポップで明るいセットにしたい」というシンプルなものでした。
    こちらがトークセット。番組のほとんどがこちらで展開します。
    机など編集部のオフィスを思わせるパーツを配置しました。

    「これまでにない音楽番組を目指したい」。
    その思いを受けて、番組のキーカラーは独特な配色に。
    パステル調の「青」と「紫」を選びました。

    壁は、同系色の濃淡の色合いをモザイク風に配置しました。

    背面には広い窓。窓からはエイリアンたちが飛び込んできそうにのぞき込んでいます。音楽番組になぜエイリアン?
    実はデザイナーが思い描いた世界観が「宇宙」だったのです。

    最新のトレンドを扱う音楽雑誌は、新しいものを追い求める。
    そのイメージは未来の世界に広がっていって、
    とうとう宇宙まで。宇宙をモチーフにしたセットのラフイメージやキーカラーにあわせて、エイリアンなどのデザインが決まっていきました。

    今回の美術セットでは床のデザインにも注目です。
    塩ビ素材のシートが敷き詰められた床。
    広い画角で撮った時だけ映る場合が多いので、通常は、
    色も形も既成品のシートの組み合わせでデザインします。

    「床をもっと細かいデザインにしたい」というデザイナーの
    思いを実現すべく、アクリル装飾のスタッフとのやりとりが
    始まりました。床全面のデザインデータを出力印刷するやり方もありますが、今回はベージュ系の塩ビシートの上に、カットした化粧シートを貼ることにしました。質感の違いが照明によって浮き立ち、のっぺりした印象を防げます。

    編集部のオフィスはタイル風の床に。
    四角や半円など幾何学模様をかわいくおしゃれに配置して、
    ポップさを表現しました。
    トークコーナーでは、デザイナーこだわりの
    細かいデザインの床にも注目してご覧ください。

    2024年3月

    ビジュツのヒミツ①

    ミュージシャンが行き交う
    “宇宙ステーション”

    一方、こちらが歌のセット。
    毎週、様々なミュージシャンが行き交う場所…。
    デザイナーがイメージしたのは宇宙の駅でした。

    プラットホームの番号や、自動改札の扉など
    セットには駅を思わせるパーツがちりばめられています。

    ナインティナインにちなんで99番ホームが舞台です。

    背面や、壁の上部には乳半のアクリルパネルを設置。
    やわらかい明かりがセットを照らします。

    プラットホームの壁にも大きめの窓。
    ここから射し込む光も、セット全体を“明るく”してくれます。

    光の反射でキラキラする素材も飾りに取り込みました。

    もちろん床のデザインへのこだわりは同じ。
    プラットホームには斜めに象徴的な線が描かれました。

    ポップで明るいセットでお送りする
    「週刊ナイナイミュージック」。
    是非、定期購読をお願いします。

    2024年3月

    デザインのヒミツ

    週刊ナイナイミュージック

    ー「これまでにない音楽番組」を目指すのに、演出サイドからの要望はどんなものだった?

    小濵 まほろ

    小濵

    最初は「とにかくポップで明るいセットにしたい」というシンプルなリクエストだったんです。ナインティナインの番組なので楽しい空間であるのはもちろんですが、“これまでにない音楽番組”というところで何かないか、リクエストがシンプルな分あれこれ考えられて面白かったです。

    ー今もいろんな音楽番組がありますが、この番組の世界観は?

    歌の世界観を大切にして1曲1曲考える音楽番組の空間演出はなかなか深くて、2023年の「FNS歌謡祭」に少し関わらせてもらったんですがとても勉強になりました。美術セットの考え方も番組によって様々で、既存の音楽番組と同じようなセットにならないようにと言っても難しい。たとえば暗くした空間に照明で演出をつけるというやり方もあると思いますが、今回は実際に空間を「明るく」するために、大きな窓を配置することにしました。あとは、この番組はトークもパフォーマンスもどちらも大事というところから、2つのセットをつなげる世界観を考えてみました。

    週刊ナイナイミュージック
    週刊ナイナイミュージック
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    ー宇宙のイメージはどういう経緯で?

    「矢部さんが編集長で、岡村さんが記者を務める架空の音楽雑誌の編集部」というのがトークセットのコンセプトなので、そこから連想していきました。最新の音楽ニュースやトレンドを扱う雑誌→新しい世界→未来のイメージ→いっそのこと宇宙、というカンジです。宇宙だから「エイリアン」もいるだろうし、宇宙ステーションでステージパフォーマンスをするのも面白いかも、などと思い描いていきました。宇宙ステーションは駅のイメージで、毎週様々なミュージシャンが到着して音楽を披露していくということでしょうか。宇宙ということもあってパステル調の「青」と「紫」をキーカラーにしたので、照明の光の色によってはちょっと変わった色味も表現できると思います。あと、番組のキービジュアル担当のNEONERDYBOYさんが描く「エイリアン」などのイラストがとってもポップなので、楽しい空間に見えると思います。

    週刊ナイナイミュージック
    週刊ナイナイミュージック

    ーこだわったところは?

    床のデザインです。トークセットの方は、美術セット全体が映る時に床が意外と目立ちます。普通は色も形も既成の床材を使うことが多いのですが、今回はその上から細かくデザインした化粧シートを貼り付けました。そのシートは若干値が張るのですが、表現の幅がぐんと広がるので相談して何とかやらせてもらいました。歌セットには、プラットホームのデザインを床にも反映させています。

    週刊ナイナイミュージック
    週刊ナイナイミュージック

    番組スタート当初は場所によってはダンスをする出演者から「斜めに線が入っているので、平衡がとれない、踊りにくい」という声もあったようですが、今は皆さんのおかげで馴染んできました。今回の番組では、床の配色やタイル風のデザインなど細かいところまでこだわったので、見てもらえると嬉しいです。

    (2024年3月)

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