フジテレビジュツの仕事
すぽると!
2024年3月~
毎週土曜日24:35~25:15/毎週日曜日23:15~24:30
- 美術プロデュース
- 副島 翔太郎
- アートコーディネーター
- 塩谷 達郎
- 大道具
- 宮路 博貴
- 大道具操作
- 藤井 雅人
- 装飾
- 菊地 誠
- 衣裳
- 關山 裕希
- 電飾
- 日下 信二/熊田 裕衣子
- アクリル装飾
- 織田 秀幸
- LED
- 齋藤 淳之介
デザインのヒミツ

ー8年ぶりの「すぽると!」復活ということで、美術セットも「S-PARK」とはかなり変わったという印象ですね。
宮川
「S-PARK」はスポーツニュースをシャープでカッコいい空間から発信していく番組で、バーチャル演出を駆使した表現も多かったのですが、今回は千鳥さんがMC陣に加わるということもあって、演出サイドから話の出た“ひざを突き合わせてスポーツについて話す”という要素も取り入れて進めていきました。

ーまずは何から決めていくのですか?
今回はまずキーカラーを「ブルー」と決めました。前の「すぽると!」のロゴがブルーを基調としたものだったので、それを踏襲しつつポイントとして“もう一色”を加えて、美術セットを考えていくことにしました。そのポイントとなる色が「オレンジ」です。そんなセットイメージが先行したので、ロゴデザインもそれに合わせて作っていきました。ロゴが先ということも多いので、今回は珍しいパターンかもしれません。ということもあって美術セットや装飾は、メインカラーの「ブルー」と「オレンジ」に「白」を加えた3色でほぼ統一されています。

ー空間の作り方はどのように進めていきましたか?
千鳥さんにちなんで「シチュエーション・コント」のような空間はどうかという話になり、打合せでも「スポーツバー」とか「選手のロッカールーム」とか色んなキーワードが飛び交ったのですが、とある日本代表チームのロッカールームの写真を皆で見ているうちに、そこで“ひざを突き合わせてスポーツについて話す”というイメージがしっくり来たという流れです。


ラグビー
ー背景にユニフォームがずらりと並んでいますね。
12競技のユニフォームや用具がロッカーごとに陳列してあるんですが、色は「ブルー」「オレンジ」「白」に統一してもらいました。青いラグビーボールやテニスボールは街で簡単に手に入りませんので、アートコーディネーターや装飾スタッフが一つ一つ塗ったり染めたりしたんです。「すぽると!」では柔道も“青帯”なんですよ。
ユニフォームもそれぞれの競技に合わせて、「すぽると!」風にデザインしました。ロゴを前面にプリントしたり、胸にワンポイントで貼り付けたり、形状に合わせて少しずつアレンジしています。競馬のジョッキーのようにチェック柄が特徴的なものもありますが、タンクトップや襟付きポロなどよく似たものも多いんです。よく見ると微妙に違うのですが、パッと見てわかるように周辺のアイテムと合わせて表現しています。

ラグビー

柔道/競馬

バスケットボール/サッカー

野球/テニス

野球

テニス

バレーボール/陸上

バドミントン/ゴルフ

ラグビー/卓球

ー美術セットで特に意識した点はありますか?
「S-PARK」のシャープな空間とは対照的に、“丸い空間”を意識しています。“ひざを突き合わせる”場として、MCの背景の造形も丸く囲われているイメージです。この曲線を仕上げるのに大道具スタッフも苦労したようで、コンピューターで計算したデータに基づいて材料を切り出すレーザーカッターが大活躍しました。この部分には、キーカラーのオレンジの系統として少しだけ木目調の壁紙を使っていて、温かみが出る効果も狙っています。MCまわりも通常のキャスターテーブルやカウンターを廃し、ソファに座って囲むという空間にしました。実は床面にもひらがなの「す」が丸く配置されていて、一役かっています。



ースポーツ番組の美術セットについて。
「すぽると!」の復活ということもありますし、やはりスポーツのレギュラー番組はフジテレビの看板コンテンツです。単発モノだと奇抜で思い切ったデザインも挑戦的でいいと思いますが、これまでの蓄積も含めて安心してみてもらえる部分も大切にしたいと思いました。あとは放送回を重ねていきながら、機能的に必要なことも出てくるかもしれません。初回に建て込んだから完了と言うわけではなく、デザインも様々なことに対応できるよう柔軟に構えておこうと思っています。
(2024年6月)
