フジテレビジュツの仕事

    週刊フジテレビ批評

    1992年4月〜 
    毎週土曜 5:30〜6:00

    • 美術プロデューサー:木村文洋
    • アートコーディネーター:大村光之
    • 大道具:菅原英一
    • アクリル装飾:斉藤佑介

    デザインのヒミツ

    初代セット

    ー「自己検証」という独自の役割をもつ番組ですが、セットデザインではどのようなコンセプトがベースになっていますか?

    鈴木 賢太

    鈴木

    この番組は「フジテレビを省みる」ことを目的として27年前にスタートして、私は2009年からデザインを担当しています。
    私のデザインで今のセットは3代目になりますが、3代通してのモチーフは「カラーバー(=テレビ局が放送休止時に試験電波として流す信号。映像調整の基準となるもの)」。カラーバー、つまり“テレビ放送の原点”に立ち返って自己反省をしよう、という番組コンセプトから発想したものです。
    それをずっと貫きながら、少しずつセットの形を変えてきています。初代セットはカラーバーを分解して、色とりどりの四角いドット(点)で表現していましたが、2代目になって、平面だったドットを立体の球にしました。
    そこから今の3代目セットに替えるにあたって、番組の新たなスタンスとして、「反省に留まらず、学んでいく」、また「受け身だけではなく、さまざまな情報を発信していく」というものが加わりました。そこで、これらを表現する狙いで、球を透明色の輪にしました。透かすことで奥行きを持たせて3D感を高めて、“広がり”“深み”をイメージした形です。

    2代目セット

    3代目セット

    ー「カラーバー」のコンセプト以外にこだわった部分はありますか?

    「数」です。ドットから球、そして透明の輪へとデザインの形は変えていますが、実はそれらの数はずっと同じにしています。理由は、番組の性質上、セットが変わることで贅沢になった印象を与えないようにするため。番組の内容と同じく、「一見シンプルでありながら、深みがある」セットを作るというのは難しいことです。決められたルールの中でどれだけオシャレができるか、ですね。

    ー最も苦労した点は?

    奥行きの検証、でしょうか。限られたスペース内で出来る限りの奥行き感を出すために、透明色のアクリルで作った輪の色の濃さや間隔のとり方を決めるのに、何度も実験を重ねました。背景が白なので、奥へ行くほど彩度を低く明度を高く、わかりやすく言うと、だんだん白っちゃけた色にしていって背景に溶け込んでいくように感じさせて、奥までの距離を長く見せる視覚効果を狙っています。

    ー視聴者に見て欲しいところは?

    セットに吊っている色とりどりの透明の輪は全部で1,761個ありますが、正面は3層にして、異なる3つの色が重なって1つの色味を出すようにしています。そこには1つとして同じ色の組み合わせはありません。どこかに1つはきっと、お好みの色合わせがあると思うので、ぜひ探してみてください。

    ードット、球、透明の輪ときて、次のセット替えの時は悩むのではないですか?
    それとも、もうアイデアが浮かんでいるとか……?

    いえ、特に悩んだりはしません。だからといって、今、別のアイデアを持っているわけでもないですよ。アイデアというのは生ものなので、その時その時で変わります。次にまたセット替えがあれば、その時世に合ったもの、そしてその時にフジテレビが世間からどう見られているか、そこからの発想です。その時が来たらイメージも湧いてくるので、第4弾もお任せください(笑)。