白と黒
白と黒
2008年9月26日(金)放送終了

番組紹介

愛しすぎると、人は、悪魔になる。
 理性と情熱、倫理と欲望、誠実と嘘、善と悪。
 自分を律して正しい道を歩もうとする兄と、情熱を貫いて人を踏みにじることをいとわない弟。このドラマは、対照的な生き方をする兄弟二人と出会い、二人の狭間で死を願うほどの愛を見つめていくヒロイン・礼子の物語です。

 神室礼子(西原亜希)は、誠実で理想家の桐生章吾(小林且弥)からプロポーズされた日、親友で、章吾の幼なじみでもある秋元一葉(大村彩子)の運転する車で事故にあいます。
 意識を取り戻した礼子が目にしたのは、死の危機に瀕した礼子を事故の現場に置き去りにする一葉の姿でした。一葉は何を願ったのでしょうか。
 世のために尽くす高潔な研究姿勢で名高い桐生創薬研究所に入所し、章吾と、その父であり、尊敬する和臣(山本 圭)に迎えられる新しい生活。温かく誠実な人々に囲まれる中で、一葉を看護に呼びながらも、どうしようもなく一葉を疑う礼子。
 やがて思い悩む礼子の前に、家を出ていた章吾の弟、聖人(佐藤智仁)が現れます。章吾とまるで違い、享楽的な生き方をする聖人は、人の心には神と悪魔が棲むと呟き、礼子に協力を申し出ます。
 ところが、章吾への愛を求めながらも真相を知るべきだという心の声に急き立てられる礼子は、いつしか章吾の善性を破壊していく聖人に魅かれはじめていくのです。

 愛は美しく、優しく、温かいもの。愛は醜く、残酷で、過酷なもの。
 愛は多くの実りを与えてくれるものに違いありません。一方で、愛にはすべてを奪い、滅ぼす危うさもあります。それはときに人の死を願うほどの激しさをともなうかも知れません。
 対照的な章吾と聖人、その狭間に立ち、死を願うほどの愛を見つめていく礼子の姿を通して、愛とともに生きる人の切なさと美しさを描きます。


主な登場人物紹介

◆神室礼子(26) … 西原亜希
 章吾の婚約者。東京の大学の薬学部に勤める研究者だったが、親友の一葉が紹介してくれた信州の桐生創薬研究所に入所することになっている。幼い頃に両親を失い養父母に育てられた。苦労に甘えない強さを持っているが、過去の経験から、温かく誠実なものにあこがれを持っている。互いに好意を持つ研究所の所長の息子、章吾から結婚を申し込まれるが、一葉の運転する車で事故に遭い、死の危機に瀕した事故現場で一葉に置き去りにされるという信じられない体験をする。事故の後も変わらぬ友情を見せる一葉に戸惑いつつ、その裏側に知らなければならないものがあるという思いに急き立てられて、一葉を看護に招いて章吾との関係を知ろうとする。

◆桐生聖人(27) … 佐藤智仁
 桐生家次男。享楽的な生き方をしており、大学卒業後は海外を放浪。幼い頃から絵が得意だったが、父・和臣の期待に背き、絵の道を目指さず、定職につくこともなかった。「欲望は人間の本能」とうそぶく危険な男。突然桐生家に帰ってくると、画家を目指して高原で絵の練習をしたいと申し出て、息子の更生を望む和臣に認められる。しかし、品行方正を絵に描いたような桐生家の父と兄に、愛憎半ばした複雑な感情を抱いている。自分が事故から救った兄・章吾の婚約者である礼子が、一葉と章吾の関係を探ろうとしていることに気づいて興味を抱く。聖人自身の兄への不信から協力を申し出るが、善の裏側をのぞきこもうとする礼子に魅かれていく。

◆桐生章吾(29) … 小林且弥
 桐生家長男。父・和臣と共に桐生創薬研究所で働く研究者で、だれもが認める桐生家の跡取り息子。思慮深く、理想家で意志の強さが魅力で、フェンシングが得意。幼なじみの一葉の紹介で研究所に入所してきた礼子に魅かれ結婚を申し込む。愛は育むものだという信念の持ち主。弟・聖人へは、享楽的な生き方に批判的な反面、その奔放な才能に嫉妬にも近い感情を抱いている。

◆秋元一葉(26) … 大村彩子
 礼子の親友。章吾と聖人の幼なじみ。信州の裕福な不動産会社社長の令嬢。育ちの良さを鼻にかけることもない優しい心の持ち主。自分が紹介した桐生創薬研究所に礼子が入所し、また礼子が章吾からプロポーズされたことを喜んでいる。運転する車で事故に遭った際、死の危機に瀕した礼子を現場に置き去りにし、「礼子を見殺しにしようとした」かのような態度を取ってしまう。ところが事故の後も、以前と変わらない優しさを見せ、礼子を戸惑わせる。

◆大貫彩乃(54) … 小柳ルミ子
 会員制のサロンを営む別荘のマダム。初めは礼子から嫌われるが、善か悪かで物事を区別する男たちとは無縁のところで軽やかに生きていて、厳しくも独特の見方で礼子の良き相談相手になっていく。

◆桐生和臣(64) … 山本 圭
 章吾と聖人の父。桐生創薬研究所所長。「人は正しい道を信じ、正しい行いをすれば幸せになれる」という固い信念を持ち、善なる人生を歩んできた。研究者としても高い業績を誇るが、私利私欲を拒み、自分を厳しく律し、ひたすらに世のための研究に没頭してきた高潔な人柄に賞賛が集まっている。母を失った子供たちへの責任として誰に恥じることのない教育を施そうと努力した。その結果、立派な研究者となった長男・章吾を頼もしく思っているが、一方で学も成せず、画才も活かせなかった次男・聖人に失望している。
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楽曲紹介

■主題歌
 砂川恵理歌「ひかり」