家族を捨て、圭吾と生きる決心をしたむつ子は、家へ帰らず、圭吾の部屋で暮らし始める。
　その頃、義平は千代の店を訪ねていた。むつ子の姿を探すが、今日は休みだという。千代は義平に同情し、義平の気持ちはいつか通じる、と慰める。
　義平はむつ子と圭吾に会いにいく。十三年前の嘘を謝罪し、むつ子に帰ってきてほしいと懇願する。
　むつ子は逆に離婚してほしいと手をつき、圭吾もむつ子としず子を返してほしいと頭を下げる。
　「離婚はしない」義平は静かに告げて去っていく。
　それからまもなく、むつ子が署名、捺印済みの離婚届を持って、義平に会いにくる。