あらすじ
<第4回> <第5回>

<第4回> 「親友の死」
 昭陽舎。この日将之(保坂尚輝)は、昭陽舎に千早(野波麻帆)を訪ねていた。鬼を祓うことのできる雷切丸を将之に返したいと千早は言う。「何を申される、これは鬼から千早どのを守るためにと・・・」。将之はその申出をさえぎるが、実はそのことばの裏には、密かに千早を思い、太刀を持っていれば千早の身は守られるという切なる思いもあったのだった。だが、この時はまだ、姉の彩子(羽田美智子)さえそれとは気づかず、自ら取り付けてきた見合い話しを袖にした将之のことを責めたてていた。
 そんなやり取りが行われている時、側に控えていた初音(佐藤友紀)が突然苦しみ始めたのだ。「鬼っ!」初音の背後に鬼の姿を咄嗟に感じとる千早。将之が手にした雷切丸で迫り来る鬼を切り捨て、その場は大事に至らず治まった・・・と思えたのだが、実はこの時したたり落ちた鬼の血は、彩子の手の甲からその身体にジワリと入り込んでいた。
 自身の結界からその一部始終を伺っていた影連(陣内孝則)の口元に笑みが浮かんだ。
 その頃、陰陽寮では忠行(筒井康隆)が晴明(三上博史)、保憲(段田安則)らと共にポッカリと穴が開き怨霊が飛び出した吉田山に鳥辺山、そして次に瘴穴が開けられる可能性のある化野についての対策が練られていた。このままでは影連の思うがまま、保憲は鳥辺山に、晴明は藤哉(山田孝之)を伴ない化野へ、そして忠行は吉田山へ向かうことになった。急がねばならない。そして、陰陽師たちが不在となる宮中は将之が警護することとなった。晴明は、今だ死相の消えてない将之の身を案じ、切り落とした鬼の腕で結界を張り、鬼の妖気を感じとって鳴る鈴を将之に手渡した。
 その夜、昭陽舎に異変が発生した。吹きすさぶ突風で荒れる宮中に動揺し慌てる女御たち。それを制する毅然とした彩子。そしてそんな中、彩子は千早に将之との一件を持ち出すと、「私が将之に確かめてみましょう」などというと、一人で朱雀門を守る将之のもとへと向った。
 「!」人の来る気配に将之は雷切丸に手をかけ身構える。だかその視線の先に現れたのが彩子と分かるとホッとしたような表情を浮かべた。だがその時だった、・・・チリン。将之が腰に付けた鈴が音をたてた。
 「動くなっ!!」困惑の中、将之は彩子に叫んでいた。
 そして、この時、化野にいた晴明の携えていた鈴が、ポトリと落ちた。

<第5回> 「最後の賭け」
 将之(保坂尚輝)が死して数日が過ぎた。悲しみにくれる千早(野波麻帆)を彩子(羽田美智子)は、「将之は都を守り抜いた、将之のなしたことは決して無駄ではなかった」と気丈に励ましている。
 しかし晴明(三上博史)のもとに運び込まれた死体は朽ちることなく生前の様子を保ち続けていた。それを見た忠行(筒井康隆)は、晴明に生活続命の法の書を差し出すと、将之を術によって蘇生させることを勧める。だが、「将之の死は自らの失態によるもの・・・」と晴明は自分にはその資格も勇気さえも無いと力なく言う。
 忠行は、己の力の在り方に悩み続けてきた晴明が、遂に闇に導かれたことを察し、「蘇生は時として闇を照らすもの、自責にかられ闇を抱けば、待つのは影連(陣内孝則)と同じ道」となんとか晴明に光明をもたらすきっかけを与えようとするのだった。
 しばらくして、晴明邸を氷月(加藤貴子)が訪ねた。その時ようやく氷月が将之の死体の時を止めていたことを知る晴明。氷月は、自分は死者の世界と現世の番人であると打ち明けると、将之はまだ冥府に呼ばれるべき存在ではない。影連が強力な陰の力を持つ早良親王の怨念を呼び起こし、都を滅ぼそうとしていることを告げた。そして、その影連と戦うには将之の力こそ必要であるのだと・・・あまりに強い陰の力を持つ晴明一人では、親王の怨念をさらに強大にする恐れがあるというのだ。師である忠行までもが影連の刃に襲われ、帝(花田裕之)も病に倒れ都は平穏を失いつつある今、遂に晴明は将之を蘇生させることを決意した。
 祭壇に燃え立つ炎。横たえられた将之の屍の前で晴明は奥義書を手に呪文を唱え始めた・・・・・・すると、炎の気がみるみる将之に重なり将之は見事にこの世に蘇ったのだ。しかし、次の瞬間、将之は雷切丸を手にすると晴明に切りかかった。「!」寸でのところでその太刀を払ったものの、晴明は肩口に傷を追った。「左少将さまの体に鬼が入り込んでしまった!」氷月が叫ぶ。蘇生は失敗に終わった。しかもこの蘇生の裏にはまたしても影連の策略があった。
 そして邪悪な力を持った将之の蘇った体は、帝の住む清涼殿に出没していた。衛兵たちは将之の剣の腕を恐れ、容易には手出しできない。そこに駆け付けた晴明は、すばやく鬼にその肉体を取られた将之の動きをとどめる。だが、その時「邪魔をするな晴明!」。兄・光弘(木下ほうか)が晴明に叫んだ。あっけに取られて光弘を見やる晴明そして藤哉(山田孝之)の目前で、光弘の肉体は、みるみるうちにその姿を影連に変えていったのだ。遂にその姿を実態化させ、王都破壊の最終段階に着手せんとする影連。 晴明は、その手に雷切丸から作られた矢を持つと影連を見据えた。


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