あらすじ
<第1回> <第2回> <第3回>

<第1回> 「今どきの嫁って」
 嫁姑問題は前世紀のように人々を悩ませるのか・・・・・・。21世紀の嫁はさらに強く、姑はさらに若々しくなっていくのは当然である。女性の地位や立場が社会的に変化するのに伴い、その二つの女性の様相=嫁姑関係も変化する。さて、その一つの例を紹介しよう。そこは荒巻家・・・・・・。
 荒巻たま代(水野美紀)は、人気テレビ番組「クイズ・ミリオネア」に回答者として出演していた。司会者みのもんたに煽られつつも「羅生門のヒロインは?」が分からない。そこでたま代は、ライフラインのテレフォンを使うことにする。そのテレフォン先では、荒巻家の長男であり、たま代の夫・良介(トータス松本)、三男・健介(小栗旬)、そして姑、つまり良介たちの母親よし江(水前寺清子)がスタンバイしている。「分かる」といって電話に出たのは、よし江だった。しかし、そこで、よし江は「足拭きタオルで顔を拭かせる鬼嫁だ」と、たま代をなじり時間切れに・・・。
 翌日、たま代と良介の夫婦が営む移動弁当屋では、テレビを見ていた客から「鬼嫁だ」と呼ばれ仕事にならない。同じ頃よし江は、「よっちゃんの焼き鳥」と書かれた屋台で焼き鳥を売っていた。「鬼嫁に負けるな!」と応援する客に、サービスしていた。

 正月も差しせまったある日のこと、たま代は「今年の正月は二人で温泉に行こう」との計画を良介に提案する。早速、荒巻家に帰ったたま代は、よし江に正月の温泉旅行を切り出した。ところがよし江は、「毎年正月、良介は店を手伝うことになっている。嫌がらせはやめて」と相手にしない。しかし、たま代も黙ってはいない。「結婚後2年ともにお義母さんに譲ったのだから、今年は夫婦だけのお正月を過ごしたい。当然の権利よ」と主張する。一歩も譲らない二人に良介と健介は狼狽するばかり。
 ここ何年か、母の店の手伝いをしていた良介は、熱心に誘うたま代をみて「たまには女房孝行も・・・」と考え、二人で温泉に行くことを決心する。
 近所でも話の話題は、正月に良介がたま代と温泉にいくのか、いつものようにお母さんの店を手伝うのか。たま代は、寺西夫婦(田口浩正、久我陽子)が切り盛りする中華店に、主婦友達である純子(高橋ひとみ)と真由(宮本真希)を誘い、よし江との『良介正月争奪バトル』の策を練っていた。一方、よし江も友人で真由の義母のレミ(冨士眞奈美)を呼び、『良介争奪』の秘策を披露していた。よし江は市販のマフラーにちょいと仕掛けを施すのだった。
 家に戻ったたま代は、再び温泉行きを切り出そうとした。するとよし江、「ニセの編み掛けのマフラー」を取り出し、涙ながらに息子との楽しい日々を語り始めるのだった。母への敬慕を促し同情を誘う作戦である。良介はころりと騙され、「今年も手伝うよ」と言い出してしまうのだった。

 数週間後の大晦日。温泉も叶わず、結局、弁当屋の営業をしたたま代は、体調の変化に気付く。仕事が終わって、たま代が帰宅した。吐き気は止まらない・・・お母さんになったのだ。 お正月は、たま代の「妊娠記念」パーティで荒巻家は大はしゃぎ。生まれてくる赤ちゃんへのメッセージをビデオカメラで撮り、よし江も素直に喜んでいる。と、そのとき、現在ホストの仕事をしており、家出中の次男・俊介(海東健)が、たま代の妊娠を健介から聞き、久しぶりに戻ってきた。全員が集まった荒巻家。しかし、たま代は、台所へ入って絶句した。密かに小銭を溜めた壜が空なのだ。居間に戻ると、よし江が「そのお金でこのビデオカメラを買ったよ」と悪びれず言う。「泥棒!」。激昂するたま代。すると、俊介が札を置いた。「これで足りるだろう」。今度はそれを見た良介が「女に貢がせた金はいらない」と激昂した。衝突する良介と俊介。俊介は、お金を置いたまま再び家をとびだしてしまう・・・。

<第2回> 「浪花節だよ人生は」
 義理の母・よし江(水前寺清子)を訴えたたま代(水野美紀)は、必死の様子で法律の勉強を始めた。一方、よし江は良介(トータス松本)に「何年くらい刑務所に入るんだろう」と泣きつく。そんな声が隣室から聞こえたたま代は「民事だから懲役なんかないの!」と怒鳴り上げる。「あの鬼嫁!世も末だ」「時代が違うのよ」・・・・・・とどまるところを知らぬ悪口雑言罵詈讒謗に、間に立つ良介は困り果て呆気に取られるばかりである。そんな最中に三男・健介(小栗旬)が「腹減った」と能天気な声を掛ける。三人から「うるさい」と怒鳴りつけられ、こちらも呆気に取られるのだった。
 数日後、家庭裁判所で、たま代が調停の申し立て理由を述べている。そこでも、たま代とよし江の二人は、言った言わないだのと言い争いを始めてしまう。その様子を見かねて調停委員は「別居を考えてみてはどうか」と提案するのであった。
 たま代は、家裁から戻って、友人の真由(宮本真希)と純子(高橋ひとみ)を誘って正也(田口浩正)・さやか(久我陽子)夫婦の切り盛りする中華店に向かった。正也夫婦も純子も別居を薦める。たま代は意を決して席を立った。と、その直後、今度はよし江とレミ(冨士眞奈美)が店にやって来た。レミは、「孤独な老人は可哀相」と別居反対の立場に。だが、よし江は「あたしは平気だよ」と強がりを見せる。そして、家で貸しアパートの広告を見ているたま代をみたよし江は「別居は平気だ」と切り出すのだった。
 とその時、良介が険しい顔をして帰って来た。良介は、俊介(海東健)が警察沙汰に巻き込まれ、親族として請け出しに行ったという。俊介は未成年の直樹(小池徹平)と一緒にいたところ、ある男たちとけんかになり、直樹が怪我をしたというだ。俊介は問題なかったが直樹は結構重い怪我を負った。俊介は良介の説教や世話焼きを迷惑がり良介と揉み合いになる。と、そこへ直樹の父親が現れ、傲慢な態度で直樹を連れて帰った・・・・・・というものであった。たま代、よし江に話し終えた良介は「俊介にはもううんざりだ」と言い捨てた。
 夜になってたま代は、純子、真由を引き連れ、俊介の勤めるホストクラブへ向かった。俊介が気になるのだ。なぜか純子と真由は浮かれ気味。実はそのクラブにはすでによし江とレミが座っていた。レミは酒を飲みいい気分。よし江もレミに無理矢理マイクを握らされカラオケを歌う羽目に。と、丁度その時、店にたま代のグループが入って来た。険悪な言い争いになろうとするその時、俊介が現れた。俊介はよし江、たま代を店外へ出し、二人を問い詰める。二人は「心配なのよ、大丈夫?」と尋ねるが、俊介は「関係ねえよ」と強がり、「良介に言っとけ。親父面すんな、いい迷惑なんだよって。親父になりそこなったくせに」と言い放った。するとよし江が俊介の頬を打った。「よく分かったよ。ただ、こうなったのは良介のせいじゃなくて、母さんのせいだよ。もう二度とうちの敷居をまたぐんじゃないよ」とよし江。俊介は無言で店に入ろうとする。その時、直樹がやって来た。俊介は直樹を追い返すが、よし江とたま代は直樹を捕まえ、話を聞き始めた・・・。

<第3回> 「嫁の秘密、姑の愛」
 自宅で倒れた良介(トータス松本)は健介(小栗旬)に伴われ救急車で病院へ運ばれた。それを追うたま代(水野美紀)とよし江(水前寺清子)。恐る恐る病室に入る二人・・・・・・。ところが良介は元気そうにベッドに腰掛けていた。「兄貴、貧血だって」と健介。良介も「ちょっと寝たら大分楽になったよ。健介、帰りにラーメンでも食うか」。それを聞いて怒ったのは、心配して駆けつけたたま代とよし江。「なによ、意識不明とかなんとか」・・・・・・騒ぎになろうかという時、担当医がやって来た。帰宅の許可を貰おうとする良介に医師は「検査入院を」と指示するのだった。
 入院となったらなったで、たま代とよし江は、看病争いを始めた。検査入院というのに大げさな準備をそろえたたま代。それに対抗しよし江は高価な観音像を枕元に置く。そんな最中、良介は医師から検査結果を聞いていた。良介は「どんな結果でも告知してください。体の変調には気が付いているんです」と覚悟を話す。医師はそれに応じた。病名を聞いて良介は絶句した。
 病室では相変わらず看病争いが続く。花柄のパジャマを持ってきたよし江。味方はレミ(冨士眞奈美)。たま代は地味なスエットである。そこへ戻って来た良介は「うるさい」と怒鳴ってしまう。静まる病室。良介我に返り「すまん。腹が減ってるのかなあ」と誤魔化すが、たま代は良介の変化を見逃さなかった。家に帰っても興奮気味のよし江に、渡(宇津井健)は「あなたとたま代ちゃんが一致団結することが一番の薬だよ」と助言する。
 たま代は、病室に戻っていた。不安な表情のたま代に良介は口を開いた。病名を聞き動揺を隠せないたま代。良介は慌てて「落ち着けよ。薬で治ることもある」と安心させる。「お袋たちに知らせれば、大騒ぎする。だからお前だけに話したんだ。俺は治療に専念するから、構わず弁当屋を続けてくれ」。たま代はしばらく考え、そして「分かった」と了解した。
 翌朝、たま代は必死で弁当の準備を始めた。よし江と健介が顔を見合わせる。「こんな時に仕事しなくても・・・・・・」。たま代は答えない。「私、明日も仕事で見舞いに行けませんから」と翌日の仕込みで忙しげなたま代。「そんな、冷たい・・・・・・」とよし江は不愉快さを露わにするのだった・・・。


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