あらすじ
<第1回> <第2回> <第3回> <第4回>

<第1回> 「第一章 燃えつきるまで」
 オフィス街の雑踏の中、一人、充実し力のこもる女性が歩いている。山村怜子(中谷美紀)である。怜子は「今、一番穏やかで充実している」と感じていた。オフィスでも、てきぱきと仕事をこなす怜子は輝いている。彼女の友人、砂川真樹子(木村多江)は、光と緑に包まれた平和な家庭で、クッキーを子供に焼いてやる主婦だ。田代恭子(中島知子)は、恋人の川野充(平尾良樹)にプロポーズされ、即答。後に怜子の部下となる本田恵美(菊川怜)は、盛り場の路上で後輩遠藤幸子(岡あゆみ)たちと合コンの待ち合わせ。そして、シティホテルの一室では、橘美穂(篠原涼子)が、妻ある男性を送り出す。それぞれの女性が、それぞれの人生を歩んでいる。
 怜子は代官山の『BarAIR。』へ足を運んだ。マスターの森川歩(つんく♂)とウエイターのリュージ(岡田准一)がいる。一休みした怜子は恋人沢田耕一郎(関口知宏)のマンションへ向かう。幸せなひと時がそこにある。怜子は、新プロジェクトの主任昇進もし、今すべての歯車がうまくかみ合っている、と感じていた。メールを見れば、友人の恭子も真樹子も美穂も楽しくやっているようだ。そんな時、怜子は耕一郎から予期せぬ言葉を告げられてしまう。「別れないか・・・」。怜子の周辺で、幸せの歯車が狂い始めた・・・。
 夜が明けても仕事モードに移れず、耕一郎の言葉ばかりが思い出される怜子。退社時間になって恵美から合コンに誘われたが、怜子はもちろん断って家路に着いた。すると、真樹子から電話が。幸せそうな真樹子は、怜子をパーティーに誘う。「耕一郎さんとね」と・・・。怜子はたまらず美穂を呼び出し『BarAIR。』で耕一郎からの電話を待つことにした。だが、かかってこない。森川は怜子を見ながら、リュージに「恋愛偏差値、急降下みたいよ」と耳打ちした。閉店した『BarAIR。』には、怜子とリュージだけが残る。耕一郎が別れを切り出した理由を知りたいと話す怜子に、リュージは「余計嫌われる」と忠告する。
 部屋に戻っても、耕一郎のことが頭から離れない。とうとう「携帯ワン切り策」で耕一郎から電話を受けた。深夜の公園で出会う二人。だが、耕一郎は、怜子を受け付けようとはしなかった。「嫌いになったわけじゃない。昨日言ったのがすべて」と、耕一郎は去ろうとする。怜子はとっさに美穂が授けてくれた「秘策」を思い出した。「いたたた」。仮病だ。耕一郎が駆け寄ってきた。近くにはラブホテル。怜子の狙い通り耕一郎はそこへ伴ってくれた。だが、それだけ・・・。耕一郎は、帰ってしまった。
 怜子の仕事は荒れていった。部下たちも「何かあったに違いない」と察してくる。落ち込む怜子は、リュージから「仕事以外の忙しいこと作れば?」とアドバイスされる。  一ヵ月後、そんな怜子を心配した真樹子は、リフォームの説明をしてくれと自宅に呼ぶ。が、真樹子は耕一郎の新しい女の話を漏らす。固まる怜子は、真樹子を問い詰め、その女が耕一郎より4つ年上でぱっとしないバツイチの久賀聡子(宮崎優子)であることを知る。
 怜子はさらに荒れた。飲み続けて眠りこけ、大切なプレゼンに寝過ごした。プレゼンは恵美が仕切り、事なきを得ていたが怜子の評判は下がる。部長は病人のような顔の怜子に、休みを言い渡した。

 街を歩く怜子。と、恭子とすれ違う。腑抜けになっている。婚約が破棄されたのだ。恭子は元婚約者と恋人に、ふくしゅうをすると誓う。
 家に帰ると、リュージが来た。耕一郎から預かった、怜子の部屋の合鍵を返しに来たのだ。怜子も返したほうがいい、とリュージ。怜子は「自分で返す」と切なく決意する。
 怜子は、合鍵を持って耕一郎の退社時刻を、向かいのファミレスで待ち続けた。現れたら返す気だ。だが、待つ間に、幸せだった時を思い出す。出会いは真樹子の家のパーティー・・・。他愛もない幸せが現れ消える。と、耕一郎が現れた。聡子と一緒。幸せそうな2人の笑顔・・・。怜子は声がかけられず、涙を流しながら後を追う。だが、合鍵は返せなかった・・・。

<第2回> 「第一章 燃えつきるまで」
 怜子(中谷美紀)は結局、耕一郎(関口知宏)の部屋の合鍵を返すことは出来なかった。
 そんなころ、恵美(菊川怜)のマンションの前に車が止まった。中には恵美と部長の前田(渡辺憲吉)がいる。「また行こうよ」と言う前田に、恵美は「奥様がいらっしゃるし・・・」とため息をつく。しかし、前田が去った後の恵美に笑みはなかった。真樹子(木村多江)の家の朝食は、ディナーのように豪華。美味しいとは言え、夫の正男(大高洋夫)は気圧され気味。お昼時、恭子(中島知子)は狙いのパソコンソフトを探し出し、ほくそ笑む。また、美穂(篠原涼子)は、女性コラムニストを興味深く取材。テーマは「女の嫉妬」だ。怜子は『BarAIR。』に電話をかける。リュージ(岡田准一)に耕一郎の部屋の鍵を返したかと聞かれた怜子は、つい「返した」と嘘をつく。
 怜子は翌日から出社した。新しいプレゼンのために恵美がサポートについた。久し振りの仕事に疲れ果てて社を出ようとした時、怜子の携帯が鳴る。真樹子からだ。リフォームの件で会いたい、ホームパーティーを開くのでその時どうか、と言う真樹子に、怜子は承知する。その夜、怜子は美穂と焼肉屋で食事。すると美穂はコラムニストが言った「女は嫉妬を食べて生きている」ということを怜子に話す。怜子は恭子を思い出した。恭子の話をすると、美穂は「要は別れ方。怜子はちゃんとけじめ付けたから、立派じゃない」と受けるが、怜子は言葉を返せない。家に帰ってメールを開けて、怜子は驚く。恭子が「允と恭子の愛の日記」というホームページを立ち上げている。そこには目を覆うような婚約者との熱愛図が記されていた。
 翌日、社に出ると、奈々絵(井上佳子)が怒られている。すぐに姿を消したので、怜子は後を追い、屋上で奈々絵を発見。会社を辞めたいと言う奈々絵を「一緒に頑張ろう」と励ます怜子だが、それは自分自身への言葉でもあった。日曜になると、怜子は気分転換に部屋の模様替えをすることにした。リュージと美穂を呼んでの大仕事。また、仕事や英会話スクールにも励む。どこか前向きな気分になりたい怜子だった。
 真樹子のパーティーの日。怜子は、リュージと恭子を連れて出かける。怜子がリフォームの件を話し終える頃、外に車が止まり、数人が砂川家に上がってきた。その中に恵美がいる。正男の部下・田口の彼女だという。驚く怜子と恵美だが、その場は偶然ですんだ。また、車が止まる。正男だ。正男が連れてきたのは、耕一郎と彼の新しい恋人、聡子(宮崎優子)だった。絶句する怜子と耕一郎。正男も驚いた。正男は真樹子を問い詰めるが「言わなかったっけ?」ととぼけている。それどころか、真樹子は聡子のネックレスが耕一郎からのプレゼントだと聞くとすぐに怜子のネックレスの出自を尋ねる。恵美は、耕一郎と聡子との交際期間などを聞きだした。会話が耕一郎と聡子の関係に集中すると、ことの経緯を知るリュージは「早く帰ろう」と怜子に耳打ち。だが、今度はリュージが質問攻め。怜子との関係を聞かれたリュージは、さらっとゲイであることを告げる。シーンとなる一同だが、リュージは気にしていない様子。と、真樹子がまた口を開いた。「ねえ、本当なの? 耕一郎さんならよく知ってるわよね」。真樹子の一言で、居合わせた人々に怜子と耕一郎が知り合いであることがばれてしまった。帰り道、傷ついた怜子をリュージが優しく慰める。
 翌日、怜子の席に恵美が寄って来た。怜子たちが引き上げた後、真樹子が怜子と耕一郎の関係を話したのだと言う。そんな時、怜子のパソコンに真樹子から「また来てね」というメールが着信。すぐさま消去する怜子であった。それから怜子は、何かに憑かれたように働き始める。部下の仕事も取り上げ、一人で深夜まで没頭。そして、プレゼンの日。役員を前に立ち上がる怜子をめまいが襲い、倒れてしまった。医務室で目を覚ました怜子を恵美が見守っていた。恵美は、プレゼンのフォローが出来なかったことを詫びるが・・・。
 怜子は会社を休むしかなかった。翌日、休みを取って寝ていると、警察が来た。恭子を知っているかと問われた怜子は、警察署で恭子と面会する。「破滅させる前に捕まった。笑えるやろ」と、恭子。恭子は、元婚約者の部屋に忍び込み、ベッドの下で3日間待って、婚約者と恋人がいちゃつき始めた瞬間に飛び出して驚かしたのだと言う。
 その夜、心配したリュージが怜子の部屋に来てくれた。しかし、怜子はリュージの優しさに、つい絡んでいってしまう。「ベッドで慰めてくれる?」、「言葉じゃ埋まんないのよ!」と言う怜子だが、リュージは「ごめん・・・僕には出来ない」と、出て行ってしまった。
 悲しみの埋まらない怜子は、街にさまよい出た。その足は、自然と耕一郎の部屋へ。手には合鍵。ドアを開けて中に入ってしまう。テーブルの上には、耕一郎のカップと見知らぬカップ。涙が溢れてくる怜子。と、手に取った耕一郎のカップを落としてしまった。カップは割れてしまう。その拍子に怜子は、もう一つのカップも取り上げ、壁に叩き付けた。薄暗い部屋で怜子は泣き崩れるのだった。

<第3回> 「第一章 燃えつきるまで」
 合鍵を使って、つい耕一郎(関口知宏)の部屋に入ってしまった怜子(中谷美紀)。耕一郎と聡子(宮崎優子)の仲を明らかにするものばかり目に付き、悲しみのあまり2人のカップを砕いてしまう。さらに・・・。
 翌日、オフィスでは恵美(菊川怜)が、前田部長(渡辺憲吉)に自分をアピールしている。怜子が出社すると、前田はプレゼンの失敗の責任を取ってチーフを外れるよう命じる。代わりに恵美を推したいと同意を求める前田に、怜子はうなずくしかない。その頃、リュージ(岡田准一)は、昨晩の怜子の姿を思い出して悩んでいた・・・。一方、美穂(篠原涼子)は、編集者に厳しく文章をチェックされていた。編集者は、君島編集長(おかやまはじめ)との関係を知っていることをほのめかし嫌味を言い募る。
 失意の怜子が退社しようとすると、代理店の城崎(RIKIYA)が声を掛けてきた。城崎は怜子を食事に誘う。和食屋に行くと、城崎は憧れの人と飲めてうれしいなどと、怜子をおだてる。怜子も悪い気分ではなかった。日が替わり、雑用仕事まで引き受ける怜子。城崎から怜子に電話が入る。「誰、城崎って?」と、恵美は敏感に反応する。
 退社後、怜子が英会話スクールへ行くと真樹子(木村多江)が来ていた。授業が終わると、真樹子に「お茶しない?」と誘われるが、怜子は断る。怜子は城崎と待ち合わせしていたのだ。そんな2人を真樹子が離れた場所から見ていた。城崎とレストランに行き、怜子がふと隣の席を見ると、美穂が君島といる。君島と口喧嘩をしていた美穂が立ち上がり、出て行こうとすると怜子と目が合ってしまう。怜子と美穂は少し気まずい思い。美穂たちが店を出ると、怜子は城崎とさらにグラスを重ねていく。食事を終え、怜子は城崎を送って帰ることにした。が、マンションに着くと、城崎は強引に怜子をタクシーから降ろして抱き締める。その頃、リュージは怜子に連絡を取れずにいた。森川(つんく♂)に断り『BarAIR。』から、部屋の前まで行くが怜子は不在。リュージは帰るしかなかった。
 怜子は、城崎の部屋で朝を迎えた。怜子は、寝ている城崎の横に、自宅の電話番号を書いたメモを残して帰る。怜子が自分の部屋に戻ると、ドアにリュージのメモがあった。夜になって『BarAIR。』へ。怜子の機嫌の良さをリュージは素直に喜ぶ。森川が「完璧に男だな」と言うと、否定しきらない怜子。リュージも笑顔だが、心境は複雑で・・・。  怜子は城崎に夢中になりかけていた。化粧室で城崎の会社に電話するが、留守。ところが、怜子が席をはずしている時に、城崎が電話をかけてきた。城崎と知って、恵美が受ける。その後、城崎から怜子への電話はない。不安になる怜子。その夜、城崎は恵美と・・・。
 翌日、怜子を呼び止めた恵美は、城崎には気をつけた方がいいと言い出す。恵美によると城崎は「怜子とヤッた」と吹聴していると言うのだ。傷ついた怜子がマンションに帰ると、ドアの前に真樹子がいた。部屋に入れると真樹子は「幸せそうね、素敵な彼氏が出来て」と言う。怜子が話の先を促すと、聡子が妊娠していると暴露。「関係ない」と怜子が受けると、真樹子はどこかに電話を掛け始めた。それは、聡子の家。「おめでとう、って。言えるでしょ?」と微笑む真樹子を怜子は、追い出した。
 怜子は美穂を呼び出した。美穂の機嫌は悪い。怜子は話のきっかけが探せない。つい「君島さんて素敵じゃない」と怜子が振ると、美穂は鋭く反応した。「君島のこと馬鹿にしてたんでしょ。あなたは外見だけで男を選ぶのよ。だから耕一郎も気づいて逃げたのよ」と美穂は、怜子への不満をぶちまけると席を立って行った。さらに傷ついて部屋に戻った怜子は、見知らぬ鍵があるのに気づく。耕一郎の部屋から無意識に持って来てしまった聡子の部屋の鍵だ。怜子は、聡子の部屋に行ってしまう。
 そんな怜子の部屋をリュージが訪ねて来た。怜子は放心状態で何かをくしゃくしゃに握り締めている。それは耕一郎と聡子が生まれてくる子供の名前を書いた紙。怜子はリュージの胸で泣き崩れる。耕一郎の部屋に入ったことも話した。実はその時には、何も出来なかったことも・・・。部屋中を滅茶苦茶にしたのは、悪意の幻想だった。しかし、聡子の部屋に入ったのも事実だ。怜子を放っておけないリュージは、彼女が眠りつくまで添い寝する。怜子の寝顔を見つめていたリュージは、怜子が愛しくなっていることに気づく。店に帰って森川に悩みを打ち明ける。デザイナー助手でロンドン行きが決まったのに、あんな状態の怜子を置いていけないと頭を抱え込む。
 翌朝、怜子は電話の鳴る音で目を覚ました。無言電話だ。時をおかずまた無言電話。聞こえるのは女性の忍び笑うような声だけ。怜子の脳裏に恵美や美穂などの顔が浮かび・・・。

<第4回> 「第一章 燃えつきるまで」
 聡子(宮崎優子)の部屋に忍び込み、子供の名前を書いた紙を持ち帰って破り捨てた怜子(中谷美紀)は、罪の意識に苛まれた。暖かく見守り、慰めるリュージ(岡田准一)は、怜子をベッドの中で抱きしめ、彼女を愛していることに悩む・・・。
 それからだった。女性の笑い声がひそかに聞こえる非通知の無言電話が怜子を苦しめるようになる。怜子は周辺の「自分に恨みを持つ女性」を思い浮かべた。怜子は、真樹子(木村多江)が教えてくれた聡子の電話番号を探し出しかけた。聡子が出る。怜子がすぐに切ってまたかけなおすと、耕一郎(関口知宏)が電話に出た。怜子が慌てて切った途端、怜子の電話が鳴る。また無言電話だ。聡子ではないのだろうか?
 怜子は『BarAIR。』に行ってリュージを探した。森川(つんく♂)は怜子にリュージの不在を告げ「あいつはロンドン行きが決まったのに何か悩んでいる」と教えてくれる。怜子は、リュージに携帯で電話するが出ない。諦めて切った瞬間に、着信音が鳴る。「ふふふ」・・・またあの無言電話だ。携帯にまでかけて来るようになった。  終業後、怜子は恵美(菊川怜)の後をつけレストランに入る。恵美を待っていたのは城崎(RIKIYA)だ。怜子は二人のテーブルへ向かい「無言電話をかけてない?」と恵美を問い詰める。手間のかかることはしないと突っぱねる恵美。その瞬間、怜子の携帯が鳴る。恵美も犯人ではなさそうだ。
 怜子は真樹子の自宅に行く。正男(大高洋夫)と明日美(木村茜)だけがいる。真樹子は精神科に入院していた。怜子はすぐに真樹子の病院へ。真樹子は、主婦にありがちなストレス障害で平気なのに、と不満そう。それを聞いた怜子は、無言電話の犯人は真樹子だと決め付ける。真樹子は微笑みながら「無言電話? それもいいわね」と人ごとのよう。と、怜子の携帯が。非通知だ。犯人は真樹子でもない。残るは、美穂(篠原涼子)だけ。
 怜子は美穂(篠原涼子)に携帯で電話をかける。美穂は君島(おかやまはじめ)から別れ話を持ち出されている真っ最中。苛つきながら携帯をとった美穂に「無言電話しているでしょう?」と、切り出す怜子。「そんな姑息なことしないわよ」と美穂が答えた瞬間、怜子の部屋の電話が・・・。無言電話。美穂でもない。
 怜子はもう一度聡子を疑った。そして再び合鍵で聡子の部屋に忍び込む。部屋の電話の交信記録を探るが怜子の番号はない。と、その電話が鳴る。留守電に切り替わる瞬間に切れ、何度もかかってくる。怜子はついに受話器を上げた。「ふふふ・・・」あいつだ。「どうして、ここにまで?」と問う怜子に、無言電話の主が口を開いた。「聡子さんじゃないよ。犯人は」。ショックを受ける怜子。声の主は、リュージだった。「怜子のことずっと見ていたんだ」とリュージ。怜子が窓の外を探すと、電話ボックスにリュージがいる。「自分のやっていることの愚かさに気づいて欲しかった。やられる方の気持ちが分かれば気づいてくれるかなって」。怜子は涙をこぼしながら「だからって、ひどい」としか言えない。「ごめん」と、リュージは電話を切った。怜子とリュージ・・・どちらの思いも切なく、傷ついてしまっていた。その夜、美穂がゲイバーへ行くと酔いつぶれたリュージがいた。リュージはうわごとのように「怜子」とつぶやいている。
 翌日、怜子は前田部長(渡辺憲吉)から関連会社への出向を命じられた。それどころか前田は辞めることまで暗に要求している。怜子は考えさせてくれとその場をしのいだものの、家に帰る足取りは重い。部屋に着くとドアの前に美穂が待っていた。「リュージから全部聞いたよ」と美穂。「あんたは女友達には何も相談しない。相談相手はリュージだけ。嫌われるのを承知でリュージは手荒くあなたを治そうとしたのよ」と言い、怜子にロンドン行きのエアチケットを渡した。リュージは、ロンドンで怜子と一緒に暮らしたいと言っているのだと言う。そして、自分の悪いとこも全部さらけ出せる人が大切な人だと美穂は怜子の背中を押す。そして「大切な人。私には君島なのよ」。美穂はそう付け加えて帰った。
 そんな折、恭子(中島知子)が里に帰ることになった。「背伸びしないでのんびりやるわ。リュージ君によろしく。あんな友達おったら私も違ってたかも」。恭子は去っていった。
 怜子はリュージを公園に誘った。「全部リュージの言う通りだった」、「醜いのは私だった」と怜子は反省とお礼の言葉を述べ、仕事で左遷になったことも話す。そして、リュージのおかげでもう大丈夫だと続け、怜子は航空チケットをリュージに返し抱きついた。「本当は行きたい。大好きよ。でも、ここで頑張らないと・・・」。怜子は涙まみれでささやいた。
 それから、それぞれの女性たちにそれぞれの日常が戻っていった。左遷先で怜子も頑張っていた。明るい未来を信じて・・・。


戻る

バックナンバー
[第1-4回] [第5-8回] [第9-12回]