老舗菓子店の販売員、生命保険会社に勤める会社員、システムエンジニア、小児科医…様々な経歴を持つ、18歳から67歳までの97人が、この夜、夢の舞台に立っていた。

2023年11月26日、数々の名演奏を響かせたサントリーホールで開かれたコンサート。
タクトを振るのは、世界最高峰のオーケストラ、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者、キリル・ペトレンコ。世界に名だたる演奏家たちとオーディションで選ばれた日本のアマチュア演奏家97人が一夜限りの「夢の共演」を果たした。

静岡・浜松市で地元の銘菓「うなぎパイ」の販売を担当している浜田さん（53）は、結婚後、子育てに追われ一度はフルートから離れるも、子どもが手を離れてからは、またコツコツとフルートを続けてきた。総合病院で小児科医として働く藪崎さん（32）は、患者のために、病院内でチェロを弾くコンサートを開いていた。忙しい仕事の中でも、自分自身が音楽に救われてきたという。生命保険会社で働く山﨑さん（50）は、筋金入りのベルリン・フィルマニア。妻も同時にオーディションに合格し、夫婦二人三脚で夢の舞台に挑む。

音楽を愛する参加者たちが夢にまで見た世界最高峰のオーケストラとの共演。その舞台裏に密着した。