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〜 第2話 華麗なる嘘と誘惑

 雄一郎(石黒賢)を殺した新児(豊川悦司)は、『都屋スーパー』の後継者である都築雄一郎になりすまし、本業のタクシー運転手との二重生活を始める。秘書のちひろ(篠原涼子)は、優しくて高ぶるところのない新児に好意を持ち、疑うそぶりなど微塵も見せない。フレンチレストランでは、うやうやしく支配人に頭をさげられ、丁寧な扱いを受ける。その時新児は思い出していた。「じゃあ試しにゲームをするか?お前は俺のスーツを着て出社する。偽者だと気が付かれなかったら、お前の勝ち・・・」と言っておもしろそうに笑っていた雄一郎の姿を。
 有季子(藤原紀香)は、上司からの命令も無視して、相変わらず鷹男(稲垣吾郎)と共に都屋スーパーの捜査を続行していた。ニセのワインを売って得た50億を横領した疑惑の都築勇三。そして勇三の死後、急遽香港から雄一郎を呼び戻し社長に就任させようとしてるのは、横領の隠蔽工作ではないかと睨んでいるのだ。そういう意味でも今有季子の興味の対象は「都屋スーパー」というより、都築雄一郎という男だった。
 だが、そんな有季子に上司の大沢(中丸新将)は、捜査班の解散と、刑事という立場を利用し、男性社員にセクハラを働いたことを正式に詫びることになったと伝えたのだ。事実上の捜査打ち切り命令である。
 思わず悔し涙がこぼれた。しかし有季子はこの件から手を引くつもりは全くなかった。そしてそんな気持ちを奮い立たせるかのように鷹男からの連絡が入った。それは、ホテルで見掛けた男が、都築雄一郎であるという情報だった。 
 その頃、新児は怪我の治療のためアパートに仁美(床嶋佳子)を迎えていた。相変わらず殺風景な部屋だと言いながら、放置されていた背広を掛けようとしていた仁美は、その高級そうな背広の裏に、Y・TSUZUKIの刺繍を見つけた。「友達にもらったんだ・・・」と咄嗟にごまかす新児。
 だが仁美は、そんな友達がいたことを意外に思い、今まで夢を見なかった新児が「夕べ、うまい飯を若い女と食う夢を見た」と話したことがひどく気に掛かったのだった。
 それから新児は、いつものように車に乗り込み街を走った。途中新聞を買い、くまなく紙面をチェック。だがどこにも、雄一郎の記事はない。
 再び車を走らせ、車椅子の少女(菅原禄弥)を客として乗せた後、新児は着ていた服を脱ぎ捨てるとクランヒルズホテルの都築雄一郎の部屋に向かった。部屋にはすでにちひろが居た。松宮副社長(鹿内孝)と綾子(余貴美子)の命を受け、今日こそ本社に雄一郎を連れていくためだ。
 だが雄一郎を待つあいだ、好奇心もあってスーツケースを探ったちひろは、中から出てきた一枚の写真に目を止めた。そこには、亡き母・初江と並んだ雄一郎の笑顔があった。「誰だろう・・・・・・?」
 その後、新児の入ってきた気配を感じたちひろは思わずサブルームに身を隠した。新児はスーツケースをナイフで引き裂き雄一郎のセカンドバックを抱え靴下をポケットにつっこむと、鳴りはじめた電話も無視して、さっさと部屋を出ていった。ちひろは、自分の中の疑問がさらに大きくなるのを感じた。
 「あら、またお会いしましたね」。部屋を出た新児を有季子が呼び止めた。有季子は、退屈だから付き合って欲しいと宿泊客のふりをして新児をカフェに誘い・・・。


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