予想だにしなかった父・道則（内藤剛志）による“解散宣言”の後、友人を頼ると告げ、気丈に去っていった裕（黒木辰哉）を見送り、幸恵（夏帆）と共にタコ公園で野宿を始めた慎一（田中圭）は、翌日から、幸恵を図書館で勉強させている間、ひとりで父親を探し続ける。しかしどんなに探してもその行方はわからず、慎一は、兄として弟や妹のために成すべき事を前に、途方に暮れていた。頭に浮かぶのは、母・恵子（薬師丸ひろ子）が生きていた頃の、温かくそして楽しい日々。そんな慎一のアルバイト先に、ある日、交際中の彼女・奥寺奈央（谷村美月）が訪ねてくる。奈央に事情を打ち明ける慎一。その後、慎一にとっての奈央は、意地を張らずに正直な気持ちを打ち明けられる、唯一の存在となっていった。
　紆余曲折の末、裕の友人の両親、西平明子（高田聖子）、禎一（ほんこん）らの助けを得てアパートの一室を借りることになった慎一たち。まずは一安心かと思われたが、慎一の長男としての本当の使命は、そこがスタートラインだった。手をさしのべてくれる人々に恩を感じるからこそ、自分たちのことは自分が何とかしなければ、と考えた慎一は、教師になるという夢を捨て、大学を辞め、働くことを決意する。そんな慎一を理解し、温かく支え続ける奈央。そんな彼女に、慎一は感謝の気持ちで一杯だった。しかし、ある日、お互いを想う故の気持ちの行き違いから言い争いをしてしまう。