ふるさと紀行
ふるさと紀行
2004年3月28日(日)放送終了

放送内容詳細

 新潟県南魚沼郡塩沢町(みなみうおぬまぐんしおざわまち)で1200年以上の歴史を持つ麻織物・越後上布は、夏の高級衣料として、他の織物では得られない軽さ・風合い・着心地が好まれ、きもの愛好家の垂涎の的で国の重要無形文化財に指定されている。原料の糸は、苧麻(ちょま)から得る。皮を剥ぎ気の遠くなるような工程を経て麻の糸は生まれる。塩沢町で生まれ育ち上布の魅力に引かれた一人・荒川セツ子さん(73歳)。年々織り手が少なくなる中、第一人者として上布を織り続ける。かつて母も、祖母も上布を織っていた。そして、去年から、娘の明美さんが、上布を習いたいと嫁ぎ先から実家に通い始めた。
 雪国の女達は、誰もが雪で閉じこめられる冬の間、機織りをしてきた。地機で織る上布。腰に巻いたシマキで経糸を強く張りながら織る地機は、織り上がりが柔らかく緩みが少ないとされる一方で、単調な繰り返しの中、天候や糸の状態によって張りを調節する高度な技法が要求される。繊細な技と根気。何よりも織り手の誠実さが出る上布。薄手で軽い物程上質とされ、荒川さんですら一反織り上げるのに2ヶ月近くかかると言う。
 機からおりた上布は、仕上げ師・古藤政雄(こどうまさお)さん(64歳)のもとで足踏み・水洗いされた後、晴れ間を見て雪の上に晒される。塩沢の風物詩・越後上布の雪晒しである。山の頂から里の田畑まで真っ白になった雪の世界に文様を描く上布は、太陽の紫外線と溶けた雪水でさらに白さをます。
 ふるさと紀行「自然と共に生きる2」シリーズの最後を飾るのは、雪無くして語ることが出来ない伝統織物・越後上布の魅力を、ふるさとの自然と共に暮らす人々、春間近の雪国の幻想的な映像美と共に紹介する。
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出演者

■ナレーター
  高井 一

スタッフ

■プロデューサー
  中嶋保雄
  水田尚孝
■音楽
  赤川 力(BANANA)
  藤掛廣幸
  纐纈ミカ
■制作
  東海テレビ