漁業交渉の駆け引きの裏で翻弄される日韓両国漁民の複雑な思い…
海を次の世代に引き継ぐために懸命に行動する漁民たちの姿を追った迫真のドキュメンタリー
第8回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『怒りの海 〜越前カニ漁 光と影〜』 (制作 福井テレビ)
<5月26日(水)深夜26時20分放送>
「漁民たちの苦悩や海への想いを通して海に囲まれた島国ニッポンの今を伝えたい!」(前川佳之ディレクター)
日韓関係の歴史に大きな影を落とす漁業問題。日本海を挟んで対峙する両国は、領土問題が複雑に絡み合うこの漁業問題を政治的な駆け引きの材料として利用してきた。
漁業資源の管理を目的とする国連海洋法の批准に伴い、日韓両国は30年余り守り続けてきた旧日韓漁業協定の見直しを迫られた。しかし、新協定締結に向けての交渉を進める中で、新たな問題が浮上してきたのだ。
山陰から北陸にかけての日本海近海では、近年、韓国漁船が漁場を東へと求めてきた。彼らの漁法は、日本がその地域では認めていない“底刺し網漁”というもの。漁業資源を根こそぎ捕獲してしまう恐れがあることから、漁民たちは「地獄網」と呼んでいる。その“底刺し網”が越前ガニの漁場を荒らし始めたのだ。
越前ガニ漁に命をかけ、これまで漁場を自分たちの手で守ってきたと自負する福井県越前町の漁民たちは、韓国側の“底刺し網漁”の全面禁止を新協定に盛り込むことを求めて立ち上がった。漁民の声を聞かずに交渉を進める国への苛立ち、地区によって温度差がある問題意識の違い、この問題に対する一般市民の冷ややかな反応、そして何よりも荒らされた漁場への不安…。水産庁へのデモなど慣れない行動を重ねる中、98年11月6日にとうとうカニ漁の解禁日を迎えた。
しかし、悪い予感は見事に的中。韓国漁船による乱獲の影響なのか、水揚げ量は思い通りに伸びない。漁場を狭められた越前町の漁民たちはついに身内同士での漁場争いを余儀なくされてしまう始末だ。代々受け継いできた豊かな海が今まさに死のうとしているのだ。しかし、彼らはこの海を守り抜くという強い決意があった。
番組を取材した前川佳之ディレクターは「漁師たちは常に国境の最前線で仕事に励んでいる訳で、日常的に国というものを意識せざるをえない状況にあります。その彼らが今韓国船の乱獲問題を通じて“国とは何か” “漁業資源の保護管理とは何か”という問題にぶち当たっているんです。番組では苦悩しながらもこの海で生きていこうと決意する漁師たちの生き様を通して海に囲まれた島国ニッポンの今を伝えたいと思っています」と語っている。
漁業交渉の駆け引きの裏で、翻弄される日韓両国漁民の思いや海を次の世代に受け継ぐために懸命に行動する漁民らの姿を追いながら、混迷する日本の水産業の明日を問う第8回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『怒りの海 〜越前ガニ漁 光と影〜』(福井テレビ 制作)をお楽しみに!!
<番組タイトル> |
第8回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品 『怒りの海 〜越前ガニ漁 光と影〜』 |
<放送日時> |
1999年5月26日(水)深夜26時20分〜27時15分 |
<スタッフ> |
プロデューサー : 寺村紀昌
ディレクター : 前川佳之
撮影・編集 : 加藤英一
ナレーション : 小林清志 |
<制 作> |
福井テレビ |
1999年5月18日発行「パブペパNo.99-166」 フジテレビ広報部
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