FNSドキュメンタリー大賞
目指せ、ロボット産業
失敗・困難を乗り越えて・・・「鉄の町」からの新たなる挑戦!

第11回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『鉄の鼓動〜ロボットに賭ける男〜』 (制作 テレビ西日本)

<12月10日(火)深夜27:28〜28:22放送>
 世はまさに「ロボットブーム」。長引く景気後退で社会全体に閉塞感が漂う中、飛躍的な進化を遂げているロボットは21世紀の新しい産業として注目を浴びている元気印の分野です。
 特に、ペット感覚のエンタテイメントロボットは、子どもたちだけでなく癒しを求める大人にも大人気。その一方でロボットは、警備や福祉といった実用的な分野への応用も期待されていて、企業や大学などで意欲的に研究が進められています。

 そんな成長著しいロボット分野に新しい風を吹き込もうと奮闘しているベンチャー企業が福岡県北九州市にあります。会社の主は、地元で生まれ育った高本陽一(たかもと・よういち)さん。2年前にできたばかりのこの会社は、社員15人の小さな会社です。もともとは食品用のベルトコンベア会社を受け継いだ高本社長でしたが、その技術力の高さをアピールしようと受付嬢代わりに作ったロボットがあちこちで評判になり、ロボット開発に情熱を傾けるようになったのです。
 高本社長のロボット作りの根底に流れるのは「思いやり」。ロボットを使って「めったに会えない群馬の祖母の肩たたきが福岡からできたら」という暖かい思いが、ロボット開発の情熱を支えています。
 次々と新しいタイプのロボットの開発に挑んだ高本社長たちは、5年前、世界初のPHS遠隔操作ロボットを生み出すまでになりました。東京や大阪といった大都市でロボット開発に取り組む企業が多い中で、あくまで地元・北九州でのロボット作りにこだわる高本社長、もちろんそれには理由がありました。それは北九州が「ものづくりの町」だということです。

 1901年に官営八幡製鉄所の溶鉱炉に火が入ってから1世紀。以来、北九州は日本を代表とする工業地帯、そして製鉄に象徴される「鉄の町」として生きてきました。北九州には多くの町工場が集まり、大勢の職人がな分野でものづくりの技術を磨きあってきたのです。
 そんな「鉄の町」北九州も、高度経済成長が終わる頃には重厚長大産業の落ち込みとともに、その輝きと賑わいを失っていきました。人口の減少、産業の衰退などなど・・・。しかしそうしたことも乗り越えて、21世紀の今となっても、製鉄から始まった「ものづくりの心と技術」はすたることなく北九州の財産として、脈々と受け継がれているのです。
 一見、最先端を走るかに見えるロボットも、中を開ければ機械の塊。そうした部品のひとつひとつは、こうした「ものづくり」の職人たちの手によるものなのです。
 「ものづくりには北九州が最も適している」と高本社長は話します。
 高本社長が目指しているのは「人の役に立つロボット」。これまで開発してきたのは試作機ばかりでしたが、いよいよ商品として売り出せるようなロボットを作ろうと、社運をかけた極秘プロジェクトがスタートしました。目標は3月のロボット博覧会「ロボデックス2002」に出展し、商品化のメドをつけることです。
 ベンチャー企業ならではの大企業の盲点をついた発想と即断即決のフットワークで次々と新型ロボット開発を進める高本社長。地元の町工場や大学の研究室を巻き込んだロボット開発作戦が進みます。
 しかしそこにはさまざまな障害が待ち受けていました。果たして、新型ロボットは完成するのでしょうか、そしてその評判は・・・?

 番組を取材したテレビ西日本の川島泰一郎ディレクターは、番組の見どころや取材を終えた感想をこう話しています。
 「もちろん見どころの1つは、新型ロボットが完成するまでの過程です。何しろ社運を賭けたプロジェクト、そこには高本社長をはじめスタッフの悲喜こもごもがありました。そしてもうひとつ、北九州という町から新しい産業が生まれつつあるという点にも注目して欲しいと思います。“鉄の町”から出発した北九州に今も脈々と受け継がれる“ものづくりの技術と心”。それにこだわる高本社長の思い。そうした点が画面から伝わればと思います。製鉄が衰退してからというもの、なにかと暗い話題が多い地元・北九州が元気を取り戻すきっかけになればうれしいですね」


<番組タイトル> 第11回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品 『鉄の鼓動 〜ロボットに賭ける男〜』
<放送日時> 12月10日(火)深夜27:28〜28:22
<スタッフ> プロデューサー : 甲斐義憲(テレビ西日本)
ディレクター : 川島泰一郎(テレビ西日本)
ナレーション : 小松政夫
撮 影・編 集 : 江嵜 新(VSQ)
編    集 : 岡本浩明(VSQ)
音    効 : 谷川正幸(プロジェクト80)
M    A : 蛯原浩彦(共同テレビ)
タ イ ト ル : 田代義典(テレビ西日本)
<制  作> テレビ西日本

2002年12月6日発行「パブペパNo.02-327」 フジテレビ広報部