FNSドキュメンタリー大賞
平成合併の渦のなか、何も無い島で、一生懸命生きる人
新たな、生活を求めて、都会から移り住んだ人
体を壊して、やむなくUターンした人
静かな離島は、それぞれの人生を、どう変えていくのか・・・!

第11回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『離島からのメッセージ〜平成大合併のはざまで〜』 (制作 愛媛放送)

<11月5日(火)27:28〜28:22放送>
 瀬戸内海燧灘(ひうちなだ)の中央にポツンと浮かぶ2つの島。この越智郡魚島村(おちぐんうおしまむら)にある魚島(うおしま)と高井神島(たかいかみじま)の2つの島には約300人が暮らしています。全国でも6番目に小さい自治体。本四架橋のしまなみ海道もはるか彼方で、離島の過疎化は深刻な状況です。
 そんな中、村ではインターネットなどを活用し、Iターンの村民を募集。その結果、Iターン者が徐々に増え、今では村民の1割近くがIターンの人たちで占めるようになりました。また、Iターン家族の子供たちのおかげで、16年間も休校していた高井神島の小中学校が復活するなど、島に活気が戻ってきました。

 11月5日(火)27:28〜28:22放送の第11回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『離島からのメッセージ 〜平成大合併のはざまで〜』(制作・愛媛放送)は、大阪からのIターンによって島で学ぶ3人の子供たちの学校生活や、島の足ともいえる定期船を365日見守る島のお年寄り。体を壊してやむなくUターンした中年男性。長崎から島の診療所に赴任した女医さんたちの日常生活を追いながら、“生きる”ということを見つめ直します。

 「行財政の効率化を旗頭に全国的に合併が推し進められていますが、そんな中で、離島性の強い村ではどのように将来を生きようとしているのだろうか?そんな思いから、娯楽施設も何もない島に行ってみよう! 島で暮らす人の姿を通して、今の社会が、忘れかけている何かをメッセージできれば・・・と思い、取材を始めたんです」
と番組を取材した愛媛放送の加地一正ディレクターは、取材を始めたきっかけについて話しています。

 島村と、愛媛県島しょ部・広島県因島(いんのしま)を結ぶ唯一の定期船は、島民の郵便物なども運ぶことから、地元では「郵便船」と呼ばれています。人口約60人の高井神島で、この郵便船の発着や郵便物などの配達をしているのが、藤本三郎(ふじもと・さぶろう)さん(80)です。
 1年365日、毎日仕事に携わる藤本さんですが、この3月に妻がすい臓疾患で遠く姫路の病院に入院してしまい、1人での生活は、なにかと大変です。

 一方、島の小学校で学ぶ3人の子供たちのうち、小学6年生の広瀬翔子(ひろせ・しょうこ)さんは、茶目っ気たっぷっりのいたずら好きで、島の人気者です。
 児童3人に、先生が3人。まるで、家庭教師のような教育環境で、大阪からやって来た子供たちは、すくすくと育っています。
 お店もなくて不便ですが、「都会より、島が良い!」と話す子供たち・・・。物の豊かさや、便利さだけではない何かが、彼女たちにそう答えさせたのかも知れません。
 地球儀では虫メガネでも見えない、本当にちっぽけな島で、明るく学ぶ姿を見ていると、落ちこぼれやいじめなどが蔓延する今の教育のあり方を見つめ直さざるを得ません。
 また、様々な家庭の事情があるとはいえ、離島での仕事と生活を望んだ翔子さんたちの父親は、今、何を求めているのでしょうか・・・?

 加地ディレクターは
「学校の復活で、島に明るさが戻ってきましたが、村が進めるIターンの村民募集事業は、2年先に村が離島の4町村で合併することを決めたため、先行きは不透明です。一方、この村は、他の島しょ部に先駆けてIT事業を取り入れたため、都市部との情報格差はありません。ただ、何もない島では、郵便物の運搬や新聞配達など人の手がないと生活に重大な支障をきたします。高齢化が進む中、若い力が必要なのです。いくらIT化が進んでも、解決できない問題が島には残っています。瀬戸内海の美しい自然の中で暮らす島の人たちの生き方は、私たちの生活に“何が足りないのか”ということを教えてくれるはずです。ただ、取材した島民の中に『島には住みたくなかった』と話すUターンの男性もいて、島に対するさまざまな思いを垣間見ることができますが、合併で村という自治体の形はなくなっても、島と島へのそれぞれの思いは消えることはないのかも知れません。」
と取材を通しての思いを話しています。

 現在推し進められている平成合併は、時には人の幸せを切り捨てるのでは・・・そんな疑問もわいてきます。教育や医療など離島が抱える悩みは、さまざまな自治体の縮図なのかもしれません。

 11月5日(火)27:28〜28:22放送の第11回ドキュメンタリー大賞ノミネート作品『離島からのメッセージ 〜平成大合併のはざまで〜』(制作・愛媛放送)にご期待下さい。


<番組タイトル> 第11回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品 『離島からのメッセージ 〜平成大合併のはざまで〜』
<放送日時> 11月5日(火)27:28〜28:22
<スタッフ> プロデューサー : 岡石 啓(愛媛放送報道情報部)
ディレクター : 加地一正(愛媛放送報道情報部)
撮    影 : 加藤清高(愛媛放送報道情報部)、一色義人(愛媛放送報道情報部)
編    集 : 尾崎浩(クロステレビ四国)
ナレーター : 長島幸雄(ナガシマ)
美 術・効 果 : 木村和幸(ニシダデザイン)
<制  作> 愛媛放送

2002年10月10日発行「パブペパNo.02-276」 フジテレビ広報部