FNSドキュメンタリー大賞
『第9回FNSドキュメンタリー大賞』は
テレビ西日本の小寺 敦記者が取材に当たった『母だからこそ…リストラされる小児病棟』が受賞!!!

『決定!第9回FNSドキュメンタリー大賞』でノーカット放送!!

<1月28日(日)午後4:00〜5:25放送>

 “FNS(フジ・ネットワーク・システム)各局がそれぞれの視点で切り取った28通りの日本の断面”“FNSの良心”といったキャッチフレーズもすっかり定着した『FNSドキュメンタリー大賞』も回を重ねて今回で9回目となった。今回も各局が取材・制作した様々な分野のドキュメンタリー作品がノミネートされ、2000年12月中旬までにすべての作品が放送された。そして2000年12月13日に、『第9回FNSドキュメンタリー大賞』の審査が行われ、テレビ西日本(TNC)が制作した『母だからこそ…リストラされる小児病棟』が見事大賞に輝いた。そして、この大賞受賞作品は今年1月28日(日)午後4時から『決定!第9回FNSドキュメンタリー大賞』(全国28局ネット)の中で全編放送される。

 この作品は、心筋炎という病気で、ある日突然4歳3ヶ月の女の子を失ったある母親の揺れ動く気持ちを軸に、現在の小児科医療が突きつけられた問題に鋭く切り込んだ渾身のドキュメンタリーだ。
 この番組を取材したのは、テレビ西日本報道部小寺 敦記者(31)だ。小寺記者は現在、福岡市政を担当する記者だが、この番組を取材中は福岡県警担当。しかも4人の県警担当記者のキャップを務めるという多忙の中で、デイリーのニュースを追いかけながら番組取材の時間をやりくりしていたという。そういう生活を送っていただけに今回の受賞に喜びもひとしおだ。
 大賞を受賞した感想を問いかけると小寺記者は「本当に嬉しかったです」と話す。そして「嬉しかったという気持ちには2つの理由があるんですが、ひとつは取材先の人たちが自分のことのように喜んでくれたということ。そして、もうひとつはもう1度全国の人たちにこの番組を見てもらうチャンスが与えられたからです」と話す。
 小寺記者は、これまで警察担当一筋の記者生活を送ってきたが、ここ数年は警察だけでなく、福祉や医療、教育など幅広く社会問題を取材してきたという。
「実は、一昨年から夕方のニュースの中で『医療現場の最前線』を報告する企画を月に1回ペースで担当していたんですが、去年9月に今回取材した高山さんから『ぜひ心筋炎という病気のことを世の母親の皆さんに知ってもらいたい』という手紙がきたのがきっかけになり、今回の番組の取材がスタートしたんです」と取材を始めたきっかけについて話す。だが、警察担当として日々の事件・事故の取材をしながらの番組取材は大変だったのではないだろうか?二足の草鞋生活の中には真っ青になるような経験…。
「実は、心筋炎で子供を亡くした両親を取材するために、和歌山県に行った時のことなんですが、夕方ホテルにチェックインしてテレビのスイッチを入れたら、何とバスジャック事件を伝えるニュースをやっていまして…。みんなに申し訳ないなと思いながらも、どうしようもないので、『もし和歌山にきたら取材しよう!』とスタッフと話しあって、そのまま食事に行ってしまいました(笑)。特に県警担当のメンバーにはいろいろ助けてもらいました」と裏話を披露する。

 そんな小寺記者が番組を見てぜひ考えてもらいたいと話すのは次の点だ。
「あのお母さんたちは、医療現場の中で、いつもと違うと訴えたにもかかわらず、聞いてもらえなかった訳ですが、番組を見て頂いている視聴者の皆さんもいつ患者になり、同じような立場になるかも知れません。自分たちが同じような経験をしないためにはどうしたらいいのか、ということを一緒に考えて頂きたいと思います。患者には誰でもなりうる訳で、みんなが声を上げていけば、何かを変えることができるのではないかと感じています。1人でも多くの人に見てもらい、小児医療の問題を考える機会にして欲しいと思っています。ドキュメンタリーには『人の成長を追う』という一面もあると思うんです。この番組では『最愛の子供の死』『同じ境遇の仲間』『新たな生命の誕生』など、様々な経験を経て、高山さんにあらわれた心境、表情の変化を丹念に追いました。小児病棟のリストラが進み、母親の訴えに耳を貸さない医師も多くなりつつある今、この番組を通じて小児医療に関する議論が少しでも活発化すれば、そして子を持つ母にもっともっと声をあげてもらえればと思います」と話している。
 『母だからこそ…リストラされる小児病棟』の主な内容は以下の通り。

<あらすじ>
 福岡市の主婦・高山圭子さんの一人娘・花菜ちゃん(4)が亡くなったのは、今から3年前のこと。ただの風邪と診断されてからわずか17時間後のことだった。だが、死亡診断書には「心筋炎」という聞きなれない病名が書かれていたのだ。
 「心筋炎」は、症状こそ風邪によく似ているが、風邪のウイルスなどが心臓の筋肉に入りこみ炎症を起こす病気で、見落としはそのまま命を落とすことにつながる恐い病気だ。だが、逆に早期発見、早期治療さえ行われていれば助かる病気でもある。高山さんは、花菜ちゃんを診察した医師に「ただの風邪じゃありません。いつもと様子が違うんです」と訴え続けたが、医師はこの叫び声をないがしろにしてしまったのだ。
 その一方で、現在の医療の現場で子供たちを守る小児科が次々に減っており、この10年間で全国で実に400もの小児病棟が姿を消しているというのだ。理由は「子供の数が減っていること」「子供が的確に自分の症状を訴えることができないため診察が難しいこと」、そして何より小児科は保険点数が低いため「儲からないこと」というのが主なものだ。
 さらに、母親の訴えに耳を貸さない小児科医の存在がある。実は、母親の訴えを聞くことが小児科の基本だといえる。これは、子供は自分の症状を的確に表現できないので、子供と四六時中接している母親の目が大切という意味だ。しかし、この「いろはのイ」が医療現場では必ずしも守られているわけではない。
 そんな中、高山さんが第2子を身ごもることに…。最初は再び母親になることに喜びを見出していた高山さんだが、出産が間近になるにつれ、信じられない感情を抱く様になったという。
「たったひとりの我が子を亡くした後で再び子を身ごもるということは、想像していた以上に辛いものだったと実感しています。出産が現実のものとして近づいてきている今だんだんとおなかの子に対する感情が信じられない方向に向いてきています。それは“愛情”とは対極にある感情です。花菜はいなくなったのにこの子は生きている…。それが時々我慢ならないのです」
 高山さんが取材班にあてたメールには「花菜ちゃんを亡くし止まったままの時間」と「現実に流れている時間」のギャップに苦しむ高山さんの姿が窺えた。
 そしていよいよ高山さんは出産の日を迎えることに…。

 ところで、1月28日(日)午後4時から放送の『決定!第9回FNSドキュメンタリー大賞』は、今年の大賞受賞作品『母だからこそ…リストラされる小児病棟』をノーカットで全編紹介するほか、準大賞に輝いた鹿児島テレビ制作の『封印された叫び 〜国策・ハンセン病隔離の罪〜』、また特別賞に選ばれたテレビ宮崎が制作した『日々是好日 〜天国にいちばん近い里〜』、岡山放送制作の『日本最初のドキュメンタリー 〜石井十次・愛の記録〜』、富山テレビ制作の『深海のサファイア 〜ホタルイカ光の謎〜』の3作品のダイジェスト版を、FNS各局のディレクターたちの悪戦苦闘ぶりをディレクターのインタビューなどを交えながらお伝えする予定だ。

 また、放送に先立って1月26日(金)正午から銀座東武ホテル(中央区銀座6−14−10)2階桜の間で「第9回FNSドキュメンタリー大賞」の贈賞式が行われることになっており、大賞を受賞した小寺記者を始め、準大賞、特別賞を受賞した制作者たちが一堂に会することになっている。


第9回FNSドキュメンタリー大賞受賞作品 『母だからこそ…リストラされる小児病棟』
<スタッフ> プロデューサー : 久保 浩(テレビ西日本報道部)
取 材 ・ 構 成 : 小寺 敦(テレビ西日本報道部)
ナレーション : 田久保尚英(テレビ西日本解説委員室)、室屋典子
<制 作> テレビ西日本

なお、上記作品が放送される番組タイトル及びスタッフは以下の通り
<番組タイトル> 第9回FNSドキュメンタリー大賞受賞作品 『決定!第9回FNSドキュメンタリー大賞』
<放送日時> 1月28日(日)午後4:00〜5:25
<スタッフ> プロデューサー : 岡田宏記(フジテレビ情報2部)
ディレクター : 眞部猪一
<制 作> フジテレビ情報2部

2001年1月9日発行「パブペパNo.01-006」 フジテレビ広報部