FNSドキュメンタリー大賞
平成13年夏、福井市役所の農林水産部長が自殺した。
市長に宛てた遺書には「公務員として不適格な行為をした」とあった。
「官政談合」の疑い…。部長が自ら命を絶ってまで訴えたかったものはなにかを追跡、検証する。


第13回ドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『消えたPR館〜遺書が語る市政浄化〜』
(制作:福井テレビジョン放送)


<2004年1月6日(木)2時55分〜3時50分放送>
【1月5日(水)26時55分〜27時50分放送】



 平成13年夏、福井市役所の農林水産部長が自殺した。市長に宛てた遺書には「公務員として不適格な行為をした」とあった。

 
福井テレビジョン放送制作、第13回ドキュメンタリー大賞ノミネート作品『消えたPR館〜遺書が語る市政浄化〜』<2005年1月6日(木)2時55分〜3時50分【2005年1月5日(水)26時55分〜27時50分】放送>では、福井市中央卸売市場のPR館建設を巡り、建設を急ぐ議員と市役所幹部のなれあい、いわゆる「官政談合」の疑いが浮き上がってきた。部長は自ら命を絶ち何を訴えたかったのだろうか…。番組では、市役所内部での税金の使用用途について追跡、検証した。

<あらすじ>
 2001年(平成13年)夏、福井市役所の農林水産部長が自殺した。市長に宛てた遺書には「公務員として不適格な行為をした。(物産PR)」とあった。当時、部長は低迷する福井市中央卸売市場の活性化策として、敷地内に市民や観光客が自由に買い物が出来る「PR館」の建設計画に苦慮していた。市場関係者の合意や、法規制のクリアーの問題など、越えなければならない課題は多々あったため、計画は当分先送りするはずだった。ところが一転してPR館建設計画は、急きょ予算案化されることになる。出店業者も管理体制も決まっていないままの予算案は、財政部長や市長の査定を次々とクリアーしていってしまった。結局、部長の死後、PR館建設予算案の不備が明らかになり、議会で否決され廃案となった。一連の予算案化の流れについて取材を進めるうちに、PR館の建設を急ぐ市議会議員と市役所幹部の馴れ合いで予算を通す、いわゆる「官政談合」の疑いが浮き上がってきた。さらに取材を進めると、議員と職員の馴れ合いは、昔からの伝統として受け継がれているものだという。そこに市民の姿は無い。自らを「公務員として不適格」と書き残し自殺した農林水産部長。命を絶ってまでして何を訴えたかったのだろう。
 PR館の建設費は3800万円。箱モノ事業としてはそれほど規模の大きなものではないが税金は税金。市民の「台所」である中央卸売市場を活性化するための事業なら、なぜもっと市民に情報を開示してくれなかったのか。「会議室」だけで行政の施策が進められていく今の政治をもっと市民にわかりやすく提示していく必要があるはず。番組では住民が行政を「監視」していかなければならないメッセージを送る。

<制作者の思い:福井テレビジョン放送 城戸利仁>
 2001年8月、福井市役所の農林水産部長が自殺。その頃から噂として市議会議員と市役所職員との「癒着」が指摘され始めるようになり、興味を持ち取材を開始した。2003年に部長の死の真相を究明する「百条委員会」が開かたものの、はっきりとした結論が出なかった。番組作成することで市役所で何が行われていたかを伝えようと思ったのが、番組制作のきっかけとなった。
 番組を制作するにあたり、PR館建設予算案づくりに携わった当時の役職者から全て証言を取り検証。農林水産部長に早期建設をするよう「圧力」をかけたとされる2人の議員にも取材し、独自入手した書類などでPR館に建設に絡むウソを暴くことに力を注いだ。




<番組タイトル> 第13回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『消えたPR館〜遺書が語る市政浄化〜』
<プロデューサー> 山田耕太郎、石塚美貴彦
<ディレクター> 城戸利仁
<ナレーション> 中尾みち雄
<撮影・編集> 松田公明
<制作著作> 福井テレビジョン放送 

2004年12月21日発行「パブペパNo.04-445」 フジテレビ広報部