FNSドキュメンタリー大賞
没後76年を経た今年11月1日に、新千円札の顔となる“野口英世”。
日本では、偉人伝の中で描かれた“忍耐”や“努力”が風化しつつある…。

第13回ドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『不屈の魂ふたたび 〜ペルーの野口英世〜』
(制作:福島テレビ)


<11月5日(金)3時15分〜4時10分放送>
【11月4日(木)27時15分〜28時10分放送】


ペルーで“野口英世像”を追い求める人々の姿を描きながら、
豊かさの中で「逆境を糧にして生きる」ことの意味を考える。



2004年11月1日、野口英世が千円札の顔として登場することとなった。
世界的な細菌学者として、立身出世物語の主人公となった野口英世。
しかし、豊かになった日本人の心の中では、偉人伝の中で描かれた野口の忍耐や努力は風化しつつある。
こうした中、かつて野口が研究で訪れた
南米ペルーの「野口英世学校」では、子供たちが野口の精神を受け継ごうとしている。貧しい生活を送りながら逆境を乗り越えた野口に希望の光を見出そうとしているのだ。
野口がペルーに残した足跡とは?そして今も尊敬を集め続ける理由は?
今なお野口英世の精神を強く受け継ぐ人々を通して、私達が今、野口英世の人生から学ぶことを問う。

福島テレビ制作、第13回ドキュメンタリー大賞ノミネート作品『不屈の魂ふたたび 〜ペルーの野口英世〜』<2004年11月5日(金)3時15分〜4時10分【11月4日(木)27時15分〜28時10分】放送>では、野口がこの世を去って76年。新千円札の顔となった“野口英世像”を追い求める人々の姿を描きながら、豊かさの中で「逆境を糧にして生きる」ことの意味を考える。

<あらすじ>
今年、野口英世が千円札の顔として登場することとなった。
野口は貧しい農家に生まれ、幼いころ手に大やけどを負いながら、強靭な意志で世界的な細菌学者としての名声を得て、立身出世物語の主人公となった。
福島県の猪苗代町にある野口の生家は記念館として保存され、毎年大勢の観光客が訪れる。障害をはねのけ世界にはばたく強い意志、母と子の深い絆、そして自らが研究していた黄熱病で命を落とす残酷な結末。そのドラマティックな人生は、今なお訪れた人たちの心をとらえ魅了している。
そして、その記念館の片隅には、ある絵が展示してある。南米ペルーの子ども達が書いた絵だ。博士の表情を一生懸命描いた作品が並んでいる。野口とペルーとの関係…野口は黄熱病の研究のため、ペルーを訪問しているのだ。
ペルーには野口の名前がついた「野口英世学校」があり、そこに通う子供たちは、今なお野口の精神を受け継ごうとしている。貧しい生活を送っている子供たち、路上で物売りをする子供たち、苦しい生活を送りながら逆境を乗り越えた野口に希望の光を見出そうとしている。

ペルーでここまで野口が尊敬される理由は一体どこにあるのか?
そのきっかけは
ペルー人医師・カリオンの名声を回復したことだった。
野口はペルー特有の病気・オロヤ熱の研究で大きな成果を残し国を挙げての歓迎を受けたのだ。2人の医師をつなぐのは逆境に立ち向かう勇気だった。
そんな博士の人生に惹かれる一人の女性がいる。
野口の生まれ故郷・会津に住む
エッセイスト・大石邦子だ。大石もまた21歳のときに交通事故にあい下半身麻痺となった。車椅子の生活を送りながら各地で講演を行い絶望から立ち上がる勇気と生きることの大切さを訴えている。大石は子供向けに野口の人生をつづった伝記も出版している。「平和な時代がいつまでも続くとは限らない。こころざしを高く持って生きることが重要だ。そして、その道しるべとなるのが野口だ」大石はそう話す…。

<制作者の思い:福島テレビディレクター 遠藤 衛>
2004年秋、野口英世博士をデザインした新しい千円札が発行されることとなりました。
そして「なぜ今野口なの?」そんな疑問からこの番組の取材が始まりました。
野口博士の人生といえば、「幼い頃に手に大やけどを負ったものの、ひたむきな努力で世界的な医学博士にまでのぼりつめた。しかし最後は自らが研究していた黄熱病にかかりアフリカで死亡した。」こんなストーリーを思い浮かべる人が大半ではないでしょうか?
しかし、野口は研究の過程で南米ペルーに足を運んでおり、驚くことに今も野口の名がついた学校まであることがわかりました。
取材で訪れたペルーで聞かれたのは、予想を越えた野口をたたえる数々の賞賛の声でした。
「野口はペルーの医学界に大きく貢献した」「私も野口の後に続いて医師になりたい」
ペルーの医師、そして子ども達が野口を誇りに思っていることがわかりました。
ペルーの人たちはなぜこうも野口を褒めたたえ、目標にしているのでしょうか?
それは野口の業績というより彼の生きざまに共感しているからにほかならないと思います。
手の障害にも屈せず、世界中を飛び回り真実を追い求めた彼の“探究心”“向上心”こそが
ペルーでの評価につながっているように思います。
一方日本では、野口のキーワードともいえる「努力」や「忍耐」といった精神が薄らいできています。「ひたむきに頑張ることは、かえって格好悪い」そんな風潮さえ広がりつつあります。この番組を見た方が発行された新札を手にした時に、野口の人生をふと振り返り、そこから何かを感じてもらえればと思います。



<番組タイトル> 第13回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『不屈の魂ふたたび 〜ペルーの野口英世〜』
<放送日時> 2004年9月30日(木)深夜26時40分〜27時35分放送
<プロデューサー> 田村泰生(福島テレビ)
<ディレクター> 遠藤 衛(福島テレビ)
<取材> 浜中順子(福島テレビ)
鈴木宏昭(福島テレビ)
<語り> 金井淳郎(福島テレビ)
<撮影> 福島テレビ 映像部
下野浩介(アンデス通信社)
<コーディネーター> 畠山えり子(株式会社 メディア・スタッフ)
<MA> プロジェクト80
<編集> 長瀬勝喜(福島テレビ)
<制作著作> 福島テレビ

2004年11月1日発行「パブペパNo.04-346」 フジテレビ広報部