FNSドキュメンタリー大賞
1250年前の宇佐八幡神の奈良入京…。
現代日本人の心の原点を探るため、昨年10月、全国4万八幡社の総本宮宇佐神宮のある宇佐市の市民500人が神輿とともに大挙して奈良東大寺を訪れた。
このイベントの実働部隊である、若宮神輿かつごう会のメンバーたちの涙ぐましい活躍ぶりを追った渾身のドキュメンタリー!


第12回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『宇佐八幡神、奈良に大仏を拝す 〜悠久の夢にかけた男たち〜』(制作 テレビ大分)

<5月6日(火)深夜26:28〜27:23放送>

正月は神社に初詣をし、盆や彼岸には墓参り、神前で結婚式を挙げ、葬儀は仏式で…。こんな日常生活を日本人自身は何の違和感も持たない、世界から見ると不思議な民族。その不思議な日本人の原点は、実は1250年前の宇佐八幡神の奈良入京にあった。
 2002年10月全国4万八幡社の総本宮宇佐神宮のある宇佐市の市民500人が神輿とともに大挙して奈良東大寺を訪れた。
 この中の200人は小学生で、1250年前に自分たちのふるさとの祖先が行った事を体験するためだった。
 5月6日(火)深夜26:28〜27:23放送の第12回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『宇佐八幡神、奈良に大仏を拝す 〜悠久の夢にかけた男たち〜』は、このイベントを企画運営した実働部隊、若宮神輿かつごう会のメンバーの涙ぐましい活躍と、期待に答えた小学生たちの奉納行事を通して現代日本人の心の原点を解明する。

 「東大寺に神輿を持っていきたい」という夢のような話が現実となった。日本の国史「続日本紀(しょくにほんぎ)」などによると大仏造立に貢献した八幡神は天平勝宝元年(749)奈良に入京し、完成したばかりの大仏を拝したという。
 この時女性の禰宜大神杜女(おおがのもりめ)は八幡神の御験(みしるし)を抱いて紫の輿に乗り入京したと伝えられ、これが神の乗った輿=神輿の始まりとされている。
 そこで宇佐市は全国の神輿発祥の地をアピールしているが、宇佐市の若手グループ・若宮神輿かつごう会のメンバーはいつの日か宇佐の神輿を東大寺に入れ、奈良朝廷にとっても一大歴史的イベントであった八幡入京を再現したいと夢見ていた。

 ところが去年が大仏開眼(だいぶつかいげん)1250年の記念の年に当たったことから、話はトントン拍子に進み、宇佐八幡神輿フェスタの名のもと一挙に現実のものとなった。
 さらに彼らの思いの中に、そして東大寺側の思いの中に子どもたちにもぜひ参加してもらい、自分たちの祖先が、自分達の住む宇佐の地が歴史上果たした大きな役割を体験して欲しいという考えがあり、200人もの小学生も奉納行事で参加することとなった。

 毎週一度仕事を終えての夜40回を越す会合を持ち、30人の実行委員会のメンバーは自分の担当分野の調整や企画をひとつひとつ積み上げていく。特に井本会長や総合企画の里見さん、神輿担当の佐藤さん、総務担当の安藤さんなど主要メンバーは仕事そっちのけで駆け回った。
 また、楽打(がくうち)や舞などを奉納する子ども達も休み返上で練習に励み本番に備えた。

 こうして2002年10月5日、宇佐八幡神輿東大寺御神幸(ごじんこう)はなった。300メートルにわたって参道に行列した500人は南大門をくぐり大仏殿正面の中門から境内へと入った。
 神輿を迎えて僧侶はかしわ手を打って八幡大菩薩ととなえ、神職が大仏に向かって祝詞を奏上するという、神と仏が出会った場が1250年の時空を越えて現実に再現された。まさに本物の、イベントや作り物ではない本物同士の出会いであったからこそ感動があり「神と仏」が体感できた瞬間であった。

 番組では「神輿フェスタ」の進行を縦軸に主要メンバーの活躍や子ども達の頑張りを描きながら、公開されていない東大寺の八幡殿(はちまんでん)法要等の独占VTR取材や、京都石清水(いわしみず)八幡、鎌倉鶴岡(つるがおか)八幡などを通じて全国に広がっていく八幡信仰、また六郷満山などの宇佐八幡を中心とした大分県が全国に誇る神と仏が一体となった独特の文化を紹介し、日本人の心に内在する宗教感などを解明していく。

 番組を取材したテレビ大分の岩尾保次プロデューサー兼ディレクターは、
「取材、番組制作をするという立場から“かつごう会”のメンバーと接し始めた私でしたが、気がついてみると行事の進行を肉付けし、神事仏事としての御神幸を司会するフェスタの実行委員の1人となってしまっていました。それほど、ついこちらからお手伝いをしたくなるほど熱く、なおかつ素人集団が心意気と思いだけで5万人の宇佐市民を引っ張っていたのでした。彼らと行動を共にして約1年、東大寺に1250年続いてきた八幡殿での転害会(てがいえ)では管長以下の僧侶がかしわ手を打った後読経を始めるシーンに遭遇し、また当日の大仏殿境内での法要では迎講(むかえこう…僧侶が神輿を迎える法要)や祝詞奏上などまさに神と仏が一体になった現実に、司会進行をしていて背筋がゾクゾクするほどの感動を覚えました。元々宗教史が専門で、仕事とともに研究を進めている私にとって神仏習合は理論上の説明は理解していたつもりでしたが、本物と本物の出会いだからこそしか成し得ない日本人の思考の原点に触れることのすごさにあらためて身の振るえる思いでした。ものすごいことをやり遂げてしまった“かつごう会”のメンバーも御神幸が終わった時点で初めてそれに気がついたようでしたが、彼らの情熱と思いとそして実行力に取材者としてあらためて頭の下がる思いでいっぱいでした。ただ、そこまで入り込んでしまった自分、研究者としての自分をある意味で怖くなり、番組として制作するに当たっては冷静な目でイベントや宗教観などをとらえていただくべく森さんに構成をお願いすることにしました」と話している。

 5月6日(火)深夜26:28〜27:23放送の第12回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『宇佐八幡神、奈良に大仏を拝す 〜悠久の夢にかけた男たち〜』にご期待下さい。


<番組タイトル> 第12回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『宇佐八幡神、奈良に大仏を拝す〜悠久の夢にかけた男たち〜』
<放送日時> 5月6日(火)深夜26:28〜27:23
<スタッフ>
チーフプロデューサー二宮 浩
プロデューサー・ディレクター岩尾保次
ナレーション中村 光
構     成森久実子
撮 影 編 集宮本洋一(映像新社)
M     A小田健敏(映像新社)
制     作テレビ大分