2016.11.1

第25回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『吠えろ闘犬球団
~満塁男と最後に挑む~』

(制作:高知さんさんテレビ)

諦めるな!満塁男がつなぐトップへの夢

<11月8日(火)26時55分~27時50分>


 「最後のチャンスに出会えて良かったと思ってもらえるように頑張りたい」。そう話すのは、野球の独立リーグ・四国アイランドリーグ「高知ファイティングドッグス」に、今シーズン就任した元プロ野球選手の駒田徳広監督。駒田監督のもとには、トップリーグNPB(日本野球機構)への夢を諦めきれない男たちが国内外からやってくる。月給わずか10万円のプロ野球選手たちは、共同生活を送りながら、時には農作業にも精を出す。駒田監督の合流から開幕1カ月までを追った。

<もう一つのプロ野球・独立リーグ>
 “プロ野球”と言えば誰もが知る国民的スポーツであり、メディアが取り上げる機会が多いコンテンツのひとつだ。そのプロ野球は、セ・リーグ、パ・リーグの12球団で知られるトップリーグ“NPB”だけではない。正確には、いわゆる独立リーグもプロ野球であり、その元祖が2005年に誕生した四国アイランドリーグだ。
しかし、プロを名乗っているとはいえ、選手のほとんどがNPBのドラフト会議で指名がかからず、12球団に進めなかった一度は夢破れた若者たちである。

<高知ファイティングドッグスの新監督は満塁男>
 高知ファイティングドッグス(FD)は、その名の通り、高知のシンボルとも言える「闘犬」が愛称のチームだ。現在、四国4球団の中で、選手のドラフト指名とチームの優勝のいずれもが最も遠ざかっている。低迷するチームの再建を託され、今シーズンから指揮を執るのは、“満塁男”で知られた駒田徳広監督だ。2000本安打で名球会入りを果たし、NPB球団でコーチも務めた駒田監督が、なぜ独立リーグの監督になったのか。背景には、ある偶然の出会い、そして独立リーグの選手と自分との共通点があった。

<月給10万円のプロ野球選手>
 駒田監督のもと、夢であるNPB入りを目指すのは、国内外から集まった10代から20代のおよそ30人の選手たち。同じプロ野球選手とはいえ、その環境はNPBとは天と地の差だ。NPBで1軍の試合に出場できる支配下登録選手の平均年俸は約3700万円。一方、高知FDの選手たちは月給わずか10万円ほど。しかもそれは、試合が行われるシーズン中だけで、登録選手ではない練習生には、一切給料は支払われない。このため選手たちは、生活費を切り詰めながら球団の寮で共同生活を送り、時には農作業に精を出し、米や野菜を育てて食べる自給自足にも取り組む。

<地域とともに歩む>
  「選手たちはみんな孫みたいなもんよ」。代表的なファンの山本政子さん(76)は、週2、3回は必ず練習場に顔を出し、食生活など様々な面から選手たちをサポートし、“チームのお母さん”と呼ばれ慕われている。
高知FDが他の球団と大きく違うのは、活動の拠点にある。他の3チームが県庁所在地やその近辺を拠点にしているのに対し、高知FDは、高知市から車で1時間ほどの中山間地に位置する田舎町だ。町の寮に住み、練習や農作業などを通して住民や子どもたちと“町民”として接し、地域に溶け込んでいる。

<主砲で主将 河田直人選手>
 選手たちの中で駒田監督がNPB入りに期待を寄せるのは、チームの主砲で主将、4年目の河田直人選手(24)だ。大阪府出身の河田選手は母子家庭で育ち、NPBを目指すために大学を中退して高知FDに入団、これまでリーグのベストナインなどを受賞している。NPB入りに向け駒田監督の指導の下、打撃フォームの改造に取り組む河田選手だったが、野球人生の生き残りをかけた試練が訪れる―。

<最後の挑戦>
 四国アイランドリーグには、これまでにおよそ650人の選手が在籍したが、NPBのドラフト会議で指名を受けたのは、育成指名も含めて全体のわずか数パーセント。四国アイランドリーグは、夢への切符をつかむための望みをかける場であると同時に、野球をあきらめなければいけない場でもある。地域とともに歩みながら“最後の挑戦”に挑む選手たち。

駒田監督の就任からチームへの合流、そしてシーズン開幕1カ月までを追った。

ディレクター&構成・遠藤圭介(高知さんさんテレビ報道制作部)コメント

「去年の秋、“高知ファイティングドッグス”に駒田徳広監督が就任するという一報が入ってきたのと同じ時期に“野球賭博事件”が発覚し、多くのNPB球団で選手たちが、試合の勝敗で現金のやり取りをしていたことが明らかになりました。私は、同じプロ野球である“高知ファイティングドッグス”の選手たちのことが思い浮かびました。高知県の中でも、山に囲まれた小さな町で、月給10万円の生活を送る彼らには、娯楽にかけるお金などありません。リーグ発足から選手たちの入れ替わりこそあれ、ずっと変わらなかったこと。それは、夢であるNPBに向けて野球に没頭しファンとともに歩む姿です。
選手は、練習の合間や試合後にファンの人たちと名前やあだ名で呼び合いながら談笑したり、時には農作業で共に汗を流す。一般的なプロ野球選手というイメージからすると、ありえない光景です。
“地域密着”とは“夢に挑む”とは何なのかを表現することができればと思い、取材しました」


番組概要

◆番組タイトル

第25回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『吠えろ闘犬球団
~満塁男と最後に挑む~』
(制作:高知さんさんテレビ)

◆放送日時

11月8日(火)26時55分~27時50分

◆スタッフ

プロデューサー
明神康喜
ディレクター&構成
遠藤圭介
撮影
四国東通、ネイティヴ・クラフト企画
編集
川田卓史、藤本由紀子
CG
今井利奈子
ナレータ―
福寿淳

2016年10月31日発行「パブペパNo.16-438」 フジテレビ広報部
※掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。