2016.10.7

第25回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『軍神からの手紙』
(制作:山陰中央テレビ)

軍神の素顔を伝えたい…遺族の語り継ぐ決意

<10月14日(金)27時10分~28時5分>


 75年前、太平洋戦争の開戦を告げた真珠湾攻撃。その先陣を切り戦死し九軍神と讃えられた特殊潜航艇の乗組員9人。このうちの二人が山陰出身の若者だ。九軍神の一人、佐々木直吉少尉(享年28)は島根出身。勇敢な軍人という神格化されたイメージとは違うありのままの姿を知りたい。遺された手紙やゆかりの地を巡りながら人間・佐々木直吉を探す遺族の旅が始まった。

戦後70年―薄れる大戦の記憶
 2015年。戦後70年を迎え戦争を知る世代は減るばかり、戦争を知らない世代が増える中、先の大戦の記憶をどのように伝えていくのかが大きな課題となっている。一方で、時代と共に日本の国際的に果たす役割は増している。国民の意見が様々ある中、どうやって平和を守っていくのか、そのためにはどう行動するのか、国民自らが考えていかなければならない時代であることは確かである。

島根の「軍神」
 1941年12月。真珠湾攻撃で幕を開けた太平洋戦争。先陣を切ったのは海軍の特殊潜航艇だった。特殊潜航艇は戦闘用の小型潜水艇で二人乗り。真珠湾攻撃では5隻の特殊潜航艇が参加し、10人の乗組員のうち9人が戦死。9人は「九軍神」として讃えられた。「軍神」とは神格化された軍人のことで、乃木希典や東郷平八郎などの大将や日露戦争で行方不明の部下を探して戦死した広瀬武夫中佐などが知られている。当時の日本では国威発揚のシンボルともなった。
佐々木直吉少尉(享年28)。真珠湾攻撃で戦死し九軍神となった一人だ。出身は島根県。戦時中は生家に全国から弔問や感謝の手紙が届くなど人々は大いに讃えたのである。

「軍神」の素顔を知りたい
 神格化された軍神・佐々木少尉。その本当の姿が知りたいと思った人がいた。遺族の佐々木優子さんだ。佐々木少尉は優子さんの祖母の弟にあたる。素顔を知ろうと思ったのは軍神とは違う、人間・佐々木直吉の姿を知り、後世に伝えたいと思ったからだ。
戦後生まれの優子さんにとって手がかりは佐々木少尉が家族に宛てた手紙と祖父が残した、佐々木少尉を知るゆかりの人から寄せられた証言の書簡。優子さんは手紙を読み解き、ゆかりの地を訪ね歩きながら佐々木少尉の素顔を垣間見た。
軍部やマスコミだけでなく国民も巻き込んで戦争への道を突き進んだ時代。あの時代特有の何かの力、「時代の力」が人々を駆り立てていったのだろうか。

軍神からの手紙が語りかけるものとは…。

ディレクター・藤谷裕介(山陰中央テレビ報道部)コメント

「佐々木少尉が戦前に残した手紙は約30通。戦時中に佐々木家に届いた全国からの追悼の手紙や少尉の義兄・吉春さんが戦後、少尉を知る軍関係者や訓練地の人々などから聞き取りをした書簡、あわせて2000通以上が残されています。私は関連するもの約100通を読ませていただきましたが、特に佐々木少尉の手紙に記されているものに戦前の様子を最も感じ、番組の主題として描くことにしました。遺族の佐々木優子さんが、残された多くの書簡から佐々木直吉少尉の姿を追い求める中、“戦前”を描く事が今、重要だと考えたからです。
太平洋戦争終結後、70年以上戦争をしていない日本では、日本が戦争をした時代を知る人が少なくなっています。かく言う私もその一人です。
手紙から佐々木少尉はその当時何を考えていたのか、どんな人だったのか、この文面は本心なのか、当時に思いをめぐらせ制作しました。『軍神からの手紙』を通して平和について考えていただければ幸いです」


番組概要

◆番組タイトル

第25回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『軍神からの手紙』
(制作:山陰中央テレビ)

◆放送日時

10月14日(金)27時10分~28時5分

◆スタッフ

プロデューサー
澤田陽
ディレクター
藤谷裕介
撮影
加藤俊之、村上睦、曽田泰弘、野沢亮太
編集
野田貴
構成
関盛秀

2016年10月7日発行「パブペパNo.16-407」 フジテレビ広報部
※掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。