2015.11.13

第24回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『笑顔咲くふるさとで
 ~山里の小さな介護宿~』

(制作:テレビ宮崎)

65歳以上の高齢者が7割以上を占める、
過疎高齢化の進む宮崎県木城町中之又地区の暮らしと文化、
限界集落での介護施設の役割を考える。

<11月18日(水)27時5分~28時>


 介護を必要とする多くの高齢者が介護施設で余生を過ごし、多くの場合、病院のベッドで最期を迎えている現在。山間部でも状況は変わらず介護が必要になった高齢者は住み慣れた故郷を出て、子ども達が住む町の施設へと移動している。
 そのような状況の中、住民わずか56人、高齢化率が70%を超える宮崎県木城町中之又地区に3年前、小さな有料老人ホーム「介護ホーム かぐら宿」がオープンした。民家を改装した小さな施設には、現在4人のおばあちゃんが暮らしており、いつ訪れてもみんな笑顔で迎えてくれる。
 宮崎県内では都市部でも、利用者の確保や介護職員不足により小規模の介護施設では運営が難しくなりつつある中、過疎高齢化が進む限界集落で営業する「かぐら宿」とはどのような施設なのか?そしておばあちゃんたちの笑顔の理由とは?

「介護ホーム かぐら宿」は一人の地元住民の思いがきっかけとなりオープンした。
 施設の代表を務める地元出身の介護士・中武千草さん(59)。平成16年、母親の看病を機に介護士の資格を取った千草さん。当初は町の介護施設で働いていたが、幼い頃から面倒を見てくれていた地元・中之又の高齢者が、故郷から遠く離れた介護施設を終のすみかとせざるを得ない状況に疑問を覚えていた。「生まれ育ったふるさとで、家族や知人に囲まれながら余生を過ごさせてあげたい」。その思いは日に日に強くなり、多くの人の協力を得て2011年12月、「かぐら宿」はオープンした。
 静かな山里で自然を感じながら、ゆっくり最期への時間を過ごせる「かぐら宿」。入所者は皆、足腰が悪く認知症を患っているが笑顔で毎日を送っている。しかし、山間部であるが故、体調が急変した場合は迅速な対応ができないという厳しい現実もある。
 一方、街の施設は病院も近く施設も大きく立派で、職員も多いため安心だが、知らない土地で知らない人々の中、寂しい思いをすることも少なくない。「元来、生まれ育った土地で家族に看取られ静かに最期を迎えることが当たり前だったその時がくるまで利用者が幸せに暮らせるようにサポートしたい」と千草さんは言う。

 番組では、2014年夏~2015年春まで約10カ月間にわたり「かぐら宿」を取材。撮影から半年が経過しても訪れる度に「どちらさんですか?」と聞くおばあちゃんたち。1時間ほど外に出て施設に戻れば、再び「どちらさんですか?」と聞かれる。このやりとりを繰り返しながら取材は進んでいく。
「介護とは面倒を見ることではなく一緒に生活を共有し支え合う事」と話す千草さん。季節ごとに装いを変える中之又の自然の中を散歩に出たり、地域のイベントに参加したりと、積極的に活動する千草さんと、振り回されながらも楽しそうに毎日を過ごす4人のおばあちゃんの日常を切り取りながら「かぐら宿」と地域との関わりや地域住民の思いにも迫る。
 幸せな余生、そして幸せな最期とはどういうことなのか?10カ月間の取材で見えてくるものとは…?

ディレクター・本村圭三(テレビ宮崎編成制作局制作部)コメント

「昔懐かしい里山の風景が残る宮崎県木城町中之又地区。その実情は高齢化率が70%を超える限界集落。若者と呼ばれる人が60歳代の中之又。その中心となっているのが“かぐら宿”の代表を務める中武千草さん。“かぐら宿では職員と高齢者がお互い支え合って頼り合える関係なんです。入所者が母ちゃん。職員が娘や嫁。つまりは大家族みたいなもの”。その言葉通り、皆で共に生活している家族のような場所でした。“住民わずか56人の小さな集落で介護施設運営など成り立つものなのか?”その疑問は取材を重ねるうち180度変わり“住民同士のコミュニティーや絆がしっかりした小さな集落だからこそ、介護が必要になっても人間らしい生き方、そして最期が迎えられるのではないだろうか…”と思うようになりました。今後訪れる超高齢化社会と、さらに進む地方の過疎高齢化。これら日本が抱える大きな問題のヒントが中之又には隠されているのかもしれません…」


番組概要

◆番組タイトル

第24回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『笑顔咲くふるさとで
~山里の小さな介護宿~』
(制作:テレビ宮崎)

◆放送日時

11月18日(水)27時5分~28時

◆スタッフ

プロデューサー
河野真
ディレクター
本村圭三
構成
松石泉
撮影・編集
野津原真
制作
テレビ宮崎
ナレーション
田中トモ子(株式会社 パインズ)

2015年11月12日発行「パブペパNo.15-418」 フジテレビ広報部
※掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。