2015.11.5

第24回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『紗理那とめざした日本一
~信愛バレー部 3年間の記録~』

(制作:テレビ熊本)

バレーボール全日本女子代表の古賀紗理那選手。
様々な壁にぶつかりながらも夢を追いかけ続けた彼女の高校3年間に密着した。

<11月15日(日)27時5分~28時>


 現在NECに所属するバレーボール全日本代表の古賀紗理那選手(19)。中学時代から熊本にすごい中学生バレーボーラーがいると注目されていた彼女。身長も高く、スパイクだけでなく守備もうまい。徐々にバレー界の中で「木村沙織2世」、「東京五輪のエース候補」というニックネームが付くようになっていった。偶然というより必然的に取材を始めることになった。

 彼女が進学先に選んだのは、地元の熊本信愛女学院高校。全国大会の常連だが準優勝が最高で日本一にはなったことがない。スーパー1年生の登場は熊本を大いに沸かせ、信愛初優勝の期待がふくらんだ。1年生で早速エースとして春の高校バレー全国大会(春高)に出場すると、全国ベスト4入りに貢献、直後に眞鍋ジャパンに選出されるなど鮮烈な高校デビューを飾った。しかし順風満帆かと思われた彼女の高校生活も、ここから挫折へと転じることになる。度重なるケガや、全日本代表をはじめ、各年代別の代表にも呼ばれた彼女は、遠征続きでなかなか仲間との練習に時間を使えない。ベストコンディションではないまま試合に臨み、勝てない戦いが続く。2年の春高では優勝候補に挙げられながら、古賀の連続ミスで大逆転を喫し、初戦敗退という悪夢を味わう。

 その二日後、古賀が新チームのキャプテンに選ばれたことで、さらに彼女は苦しむことになる。「キャプテンには向いていない」と話す古賀。人前で話すことも嫌いな彼女は、言葉ではなく、プレーでチームを引っ張るスタイルを取り、一人黙々と練習に取り組んでいた。しかし彼女のそんな姿勢に徐々にチーム内には不満が募り始める。

 古賀にはその時その時の心情をつづったバレーノートがあった。「なんで私がキャプテンなのか」、「どうすればいいのか分からない」、「バレーが楽しくない」。書いてある文章に私たちはがく然とした。古賀の苦しみと、古賀に対するチームメイトの不満。双方の溝は思ったよりも深く、日本一という夢が一気に遠のいた気分になった。

 インターハイでも日本一を逃し、国体でも5位に甘んじた信愛。残された舞台は最後の春高のみになった。そんなとき、ついにチームにくすぶっていた不満があふれ出すことに。きっかけはレギュラーに入れない同級生だった。「なぜ思っていることを口に出さない。紗理那が変わらないと日本一にはなれない」。練習中に突如厳しい口調で言い放ったのだ。それにつられ、別の部員からも厳しい言葉を浴びせられる。みんなの前で責められた古賀は悔し涙を流し、泣き崩れた。

 立ち直るのに時間はかかったものの、そこから古賀は徐々に変わり始める。バレーノートには「嫌われても言わないといけないことは言う」、「自分がもっと本気でみんなに向き合わないといけない」、「どこにも負けないチームになりたい」とあった。

 その後、古賀は全日本代表の試合や年代別代表の遠征のオファーを全て断り、信愛での最後の試合にすべてを賭けたのだった。そして、高校生活最後となる春高が幕を開ける。

 高校生活の集大成、もちろん今年も信愛は優勝候補に挙げられ、多くのメディアが信愛の戦いに注目していた。初戦を順調に勝ち上がった信愛。しかし勝利の女神は最後の最後まで古賀に試練を与えた。初戦勝利の夜、レギュラーを含む4人がインフルエンザにかかっていたことが判明したのだった。

 つづく3回戦、相手は1年前初戦で大逆転負けを喫した相手。ベストメンバーではないものの古賀を筆頭にチーム一丸となってぶつかっていく。

 古賀の苦しみ、喜び、悲しみ、楽しさ。彼女の感情を一番近くで見続けてきたマネージャーが、節目節目で彼女の心を代弁する。そのマネージャーも元々は選手だったこともあり、自分の夢を古賀に重ねていた。プレーはできないけど、古賀に寄り添い、ともに戦い続けた3年間をマネージャー目線で振り返る。

ディレクター・後藤祐太(テレビ熊本報道部)コメント

「何と言っても女子高生の心情の変化を描くのに苦労しました。古賀選手は極度の恥ずかしがり屋で目立つのが大嫌いな性格。取材に行っても隠れたり、逃げたりと大変でした。しかし彼女の胸の内をこっそり教えてくれたのが同級生のマネージャーでした。“紗理那いま悩んでますよ”。同性であり、同級生にしか分かりえない情報を与えてくれる存在に助けられ、同時に、このマネージャーを主体とした構成にできないかと考えるようになりました。ナレーションもお願いし、古賀選手ではなくマネージャー目線の構成にチャレンジ。放送直前で古賀選手のバレーノートの撮影許可が下りたことも幸いし、彼女の心情をより多角的にとらえ、リアルに表現できたと思います。部員同士のケンカは迫力があり、デジカメを回す手が震えていたのを今でも覚えています。どんなにスーパースターと騒がれようが、普通の女子高生。普通に悩み、苦しみ、仲間に助けてもらう。そんな普通の女子高生の青春の1ページです」


番組概要

◆番組タイトル

第24回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『紗理那とめざした日本一
~信愛バレー部 3年間の記録~』
(制作:テレビ熊本)

◆放送日時

11月15日(日)27時5分~28時

◆スタッフ

プロデューサー
有住宣彦
ディレクター・構成
後藤祐太
編集
可児浩二
撮影
渡辺典昭
制作
テレビ熊本
ナレーション
松村奈美恵(熊本信愛女学院高校バレーボール部元マネージャー)
後藤祐太(テレビ熊本アナウンサー)

2015年11月5日発行「パブペパNo.15-407」 フジテレビ広報部
※掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。