2015.6.18
<7月1日(水)25時40分~26時35分>
「すべての女性が活躍できる社会をつくる」これは、安倍内閣が掲げる重要課題である。生産年齢人口の減少によって低下している労働力を女性の労働力で補う…。だが、女性の活用を経済成長戦略の中核に位置付ける一方で、日本の「少子化」は危機的状況だ。
「働くこと」も「子供を産むこと」も期待されている現代の女性たち。しかし、いま首都・東京では、「待機児童数・全国ワースト」「マタハラ」「保育園建設反対」「子供の声は騒音?」、出産も子育ても迷惑である、そんな声があふれてはいないだろうか?
そんな東京で、子供を産み、育て、働く、ということはどういうことなのか?その先に待っているものは、一体なんなのか?そんな疑問をきっかけに、取材は始まった…。
子供を保育園に入れるため引っ越しを余儀なくされた幸恵さん(仮名・30)
2015年1月、自宅のある杉並区で第一子である男の子を出産した幸恵さん。退院後すぐに取り掛かったのは保育園探し。通称「保活」。秋からの職場復帰を目指し、30以上の保育園に問い合わせをするも、現実は「6人の募集に対し入園希望者は180人」という想像を超える厳しさだった。
幸恵さんは杉並区での保育園探しを断念し、新宿区で保育園探しを始める。だが、やっと入園できることになった保育園は、自宅から40分も離れた新大久保、繁華街の裏手にある保育園だった。
結局、新宿区への引っ越しを余儀なくされ、意に反して生後4カ月で息子を保育園に通わせることになった幸恵さん。そこには、東京の“保活戦争”の奇妙な実態があった…。
子供を保育園に入れるために離婚したアヤコさん(仮名)
子供が1歳の時から認可保育園(施設の広さなど国が定めた設置基準を満たした保育園)に5回入園を申し込み、すべて断られたアヤコさん。そこで、夫婦が選んだのは、子供を保育園に入れるための“保活離婚”。保育園に入るには母子家庭のほうが有利というシステムが生んだ悲劇…。しかし、そうまでして申し込んでも、アヤコさんの子供は、認可保育園に入ることはできなかった。彼女が口にした“保活の狂気”とは…
12人の部下を抱える管理職として働くシングルマザー・由佳さん(37)
都内の職場で12人の部下を抱える管理職として働く由佳さんは、午後6時の終業のチャイムが鳴ると誰よりも早く帰宅する。一人で子育てをする由佳さんに、会社は理解を示してくれているが、それでも彼女が抱え続ける、うしろめたさ…。
保育園で3歳の娘を引き取ると、由佳さんは母親の顔になる。「子育ても仕事もうまくこなしたい…」
仕事が繁忙期に入った春、大阪の実家から由佳さんのお母さんが駆け付ける。おばあちゃんに会えてうれしくて仕方がない娘…、それを見た母から出た本音。「実家に帰ってきてくれたら安心…」それでも、由佳さんがあえて、東京で働き続ける理由はなんなのか?
さらに、ディレクターが出会ったのは、保育園に通わせるために“アリバイ会社”を利用し身分を偽る母親や、インターネットで格安のベビーシッターを探す母親、マタニティーハラスメントと闘う母親…。
東京の街には、「出産」「子育て」「仕事」の狭間で、常に社会から「選択」を迫られる女性たちの姿があった。
「取材で出会った女性たちは、誰もが私たちの周りにいる、ごくごく普通の母親たちでした。しかし、彼女たちは、出生率が全国最低の「東京」で子供を育てる母親でもあります。彼女たちの日常を追えば、東京の出生率の低さの背景が見えるはず…。母親たちに話を聞くと、待機児童の問題には、保育園不足を加速させるような、親たちの“駆け引き”が潜む一方で、職場には女性たちが「会社の空気を読んで出産時期を決める」という“暗黙のルール”があることもわかりました。そんな中、「彼女たちが、そうまでして働く理由はなんなのか?」という疑問…。
取材で見えてきたのは、働きながら子育てする女性たちの“ジレンマ”でした。「安心して子供を育てたい」気持ちと「仕事を辞めたくない(辞められない)」という気持ちの両方をかなえることは、女性のわがままなのだろうか…?
私自身、取材を終えた今も、答えを出せずにいます。彼女たちの声を聞いて一緒に考えていただけたらと思っております」
第24回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『東京 子育て 働く母 ~子育て小国 女たちの選択~』
(制作:フジテレビ)
7月1日(水)25時40分~26時35分
2015年6月18日発行「パブペパNo.15-208」 フジテレビ広報部
※掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。