2015.6.15

第24回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『先生のいないようちえん』
(制作:東海テレビ)

名古屋市内にある幼稚園で、1年間、密着取材した。ここには、カラフルな遊具やおもちゃは無い。時間割がないからチャイムもないし、運動会やお遊戯会もない。そして、「先生」さえも…。しかし、何もないこの幼稚園には、子どもたちのたくましさがあった。私たち大人は、子ども達とどう向き合うべきかを考えたい。

<7月8日(水)26時20分~27時15分>


 名古屋市天白区、相生山。街中に唯一残されたこの里山に、「風の子幼児園」はある。ここに通う3歳から6歳の子どもたちの生活は、まさに「風」のよう。時間割が一切ないので、何をするのも自由。広大な園の敷地で思い思いに遊びながら、包丁をつかって調理したり、屋根にのぼったり、たき火を始めたり…。気の向くまま毎日を送っている。この幼児園を開いたのは、仁藤清司さん(67)。子どもたちに、何かを指示したり注意したり教えたりしない仁藤さんは、「先生」ではなく「ニトー」の愛称で呼ばれる。ただただ、子どもたちを見守る日々。

 そんな「風の子幼児園」に、ひとりの男の子がアメリカから転園してくる。スーパーカーとスパイダーマンが大好きなじゅんのすけ君。「風の子」とは正反対の生活を送ってきた彼は、他の子のようにナイフを使うことはおろか、水遊びすら興味を示さない。そのせいか、友だちとの仲もぎくしゃくしてしまう。9カ月の「風の子」生活は、彼に変化をもたらすのだろうか。そして「ニトー」は、やっぱり見守るだけなのであろうか。
 高校教師をしていた30年前、生徒たちの自主性のなさを憂い、もっと根っこの部分から子ども達と向き合いたいと考えた仁藤さん。自立するには自信を深めることが大切であり、そのためには幼少期からのびのびとした自由な生活が必要との思いで、教師の職を辞し、「風の子幼児園」を開いた。

 番組では、子ども達の「したい!やりたい!」をしっかりと受け止める「ニトー」と、あたたかく見守られながら自信を深めていく彼らとの信頼関係を描いていく。そして、子どもが持つ潜在的なたくましさを浮き彫りにしていく。その上で、考えたい。私たち大人は、子ども達へどう向き合うべきか。

プロデューサー・伊藤真保(東海テレビ制作部)コメント

「数年前、私は5歳の娘にひらがなを教えました。書いても書いても左右反対になってしまう“む”。そのとき、私はうまく笑えませんでした。そんな娘に対する罪滅ぼしの気持ちが、“風の子幼児園”に興味を持ったきっかけで、実際、向き合えば向き合うほど、贖罪の気持ちは強まるばかりでした…。
そんな娘も、今では難しい漢字を書くようになりました。思春期を迎え、今後は人生における様々な選択が待っていますが、今ならハッキリ分かります。彼女に対し、母親である私ができることは“見守ること”―。ギリギリのタイミングで、仁藤さんにかかわれたことを感謝するとともに、この気持ちを視聴者の方と共有できれば幸せです。
そして、子育て中ではない方にも是非ご覧いただきたいです。“今”を思い切り楽しむ子どもたちと、揺るぎない信念で彼らに向き合う仁藤さん。“風の子幼児園”では大人も子どもも皆自分の尺度で生きていました。人生は自分のもの!大人も子どもも“したい、やりたい”を尊重していいんだよ!彼らからもらった一番大きなメッセージをお届けします」


番組概要

◆番組タイトル

第24回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『先生のいないようちえん』
(制作:東海テレビ)

◆放送日時

7月8日(水)26時20分~27時15分

◆スタッフ

プロデューサー
伊藤真保
ディレクター
伊藤英樹
ナレーター
坂井真紀
撮影
谷口たつみ
音声
池田博之
制作
東海テレビ

2015年6月15日発行「パブペパNo.15-196」 フジテレビ広報部
※掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。