2014.11.7

第23回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『ふるさとの山に生きる』
(制作:テレビ大分)

くじゅう連山は火山性の山岳と広大な草原からなり、野焼きによる春の「黒」、緑生い茂る夏の「緑」、紅葉が山を染める秋の「赤」、降雪と霧氷による冬の「白」と四季折々の違った風景を見せてくれる。温泉に恵まれた山麓は多くの人々が観光や登山目的で訪れる。しかし、この豊かな自然がそこに暮らす人々の手で守られてきたことは意外と知られていない。
この番組は昭和36年に発足した「九重の自然を守る会」に所属する3人の男性を追いながら、自然を守る事の意味、自然との関わり方を探る。

<11月8日(土)27時35分~28時30分>


 くじゅうは大分が全国に誇れる自然だ。くじゅう連山は火山性の山岳と広大な草原からなり、野焼きによる春の「黒」、緑生い茂る夏の「緑」、紅葉が山を染める秋の「赤」、降雪と霧氷による冬の「白」と四季折々の違った風景を見せてくれる。温泉に恵まれた山麓は多くの人々が観光や登山目的で訪れる。
 とにかくこの美しいくじゅうの自然を全国の人に知ってほしいと思ったのが番組制作のきっかけだ。

 しかし、取材をするうちに、くじゅうの自然はそこで暮らす人たちが手を入れながら守り続けていることが分かってきた。春になると草原に火を入れ、野焼きをする。牛の放牧をしなくなった今もそれは続けられている。そうしなければ、たちまち草原は姿を消し、林に変わってしまうのだそうだ。
 人が手を入れないことが自然であり、そのほうがいいという考え方もあるだろう。しかし、ここに住む人達の考え方は違う。くじゅうに住む人にとっては自然と人間の間に垣根はない。自分たちもまた自然の一部であり、自然から恵みをもらって生きている。

 この雄大な景色があるからこそ各地から観光客も訪れる。その結果、自分たちもここで生業を立て生活を維持することができている。だから、自然に手を加え守っている。また、人の手が加わった自然では今では貴重な動植物が命を育み、新たな自然を形成している。放っておけば、これらの動植物も生きていけなくなるだろう。

 昭和36年に発足した「くじゅうの自然を守る会」は、この雄大なくじゅうの自然を後世に残し、自分たちの子孫が未来もここで生活していけるよう活動している。この番組は「くじゅうの自然を守る会」代表3人(高橋裕二郎さん:九重森林公園支配人、弘蔵岳久さん:法華院温泉山荘当主、時松和弘さん:農家)の1年の活動を追い、九重の自然を守る会の活動を通して、自然はどうあるべきか。人と自然はどのように付き合うべきか考えていく。同時に、大分の誇るくじゅうの四季折々の美しい自然を堪能してもらいたい。

制作担当プロデューサー・油布寛(テレビ大分報道制作局制作部)のコメント

「1年間、雨の日も、暑い日も、吹雪の日にも、山に登りました。もう当分山には登りたくないです。でも、苦労した甲斐がありました。天候に恵まれず雨の中のロケが多くなってしまいましたが、豪快な野焼きの炎、ミヤマキリシマ、紅葉、霧氷という季節を代表する景色を撮影することができました。あらためて、くじゅうは大分の誇れる財産だと実感しました。 “農家民泊おわて”のロケではある種の懐かしさを覚えました。自然に寄り添い、自然の恵みをいただきながら生活をする。そして、その営みの中で草を刈り、里山を維持し、少しばかり自然に恩返しをする。ちょっと前までどこでもあった日本の原風景がここにはあります。ここには日本人が守り続けてきた自然と人間の共生があります。時松さんの“ここの自然は守るほどのものではない”という言葉がとても印象的でした。時松さんはくじゅうを自分の家の奥座敷といい、訪れた他人をお迎えする場所だといいます。だから手入れをする。その自然さ、無理のなさに感動しました。“もう山には登りたくない”と、あれほど思っていたのに、“くじゅうの山にまた登りたい”と思う自分がいます」


<番組概要>

タイトル

第23回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『ふるさとの山に生きる』
(制作:テレビ大分)

放送日時

11月8日(土)27時35分~28時30分

◆制作スタッフ

プロデューサー
油布寛
ディレクター
御手洗慶子
山口浩史
構成
牧丿瀬則夫
徳丸望
ナレーター
御手洗慶子
朗読
小笠原正典
撮影
宮本洋一
小中祐貴
編集
山口浩史
MA
小田健敏

2014年11月7日発行「パブペパNo.14-449」 フジテレビ広報部
※掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。