2014.10.9

第23回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『祈りの海』
(制作:テレビ長崎)

長崎県五島列島・福江島にある5世帯9人が暮らす小さな集落、半泊。この地には200年の祈りの歴史がある。禁教令によるキリシタン弾圧が行われていた江戸時代。五島に生きる望みを求めて、海を渡った人々がいた。彼らは潜伏キリシタンと呼ばれ、半泊にも潜伏キリシタンが暮らしていた。信仰と祈りは、今も続いている。半泊の住人、宮川喜一さんは81歳。老いてなお五島の海に生きる漁師。彼は祈りを続けている。祈りは何をもたらすのか。宮川さんの姿を通して、その祈りを見つめる。

<11月22日(土)28時10分~29時5分>


 日本の西の端にある長崎県五島列島福江島。福江島北部にある5世帯9人が暮らす小さな集落、半泊。ここには、200年以上の祈りの歴史がある。

 禁教令によるキリシタン弾圧が進む江戸時代、故郷を捨て、命がけで五島に渡ってきた人々がいた。彼らは、のちに“潜伏キリシタン”と呼ばれた。

 人の目を避けるように、人跡未踏の地で、信仰を隠しながら暮らしてきた。潜伏キリシタンが暮らした集落の一つが半泊。その祈りは今も続いている…。

 81歳で今なお現役の漁師・宮川喜一さん。半泊に暮らし、漁一本で、9人の子供を育てた。カトリック信者である彼は、夜明け前、漁に出る前には必ずこの集落の象徴である半泊教会に祈りを捧げる。まだ五島沖が豊作の海であった頃、半泊には16世帯が暮らし、人々の生活は豊かであった。しかし、海は変わった。腕利きの漁師であっても、魚は満足にとれなくなった。宮川さんの子供たちは、半泊を離れ、今は妻ツタエさんと二人で漁に出ている。老いてなお、海に出る漁師。なぜ、彼は海へ向かうのか…。

 長崎から五島へ移り住んだ潜伏キリシタン。彼らには、高い農作の技術があった。特に芋作りにたけていた。その技術を持っていたため、五島でも生き延びられた。そんな彼らの高い技術を象徴するものの一つが石垣である。開墾する時に出る石を器用に積み上げ、段々畑をつくっていった。草木が生い茂る半泊の山林には、かつての石垣をいくつも見ることができる。半泊の最も聖なる場所、半泊教会を囲うように、立派な石垣がある。それは90年以上教会を守ってきた石垣。

 しかし、2012年、石垣の一部が崩壊した。なぜ崩壊したのか、原因はわかっていない。半泊教会の信者は、現在わずか3人である。宮川さん夫妻と、8年前に都会から移住してきた濱口さん夫妻の妻・よしのさん。大きな石を使っているため、3人では、どうすることもできない。先人から続く信仰への思いのこもった石垣の崩壊。3人の動揺は隠せず、「先祖に申し訳ない」と漏らす。なんとか、もとの石垣に戻す工事をしようと、3人は募金活動を始めた。信者自らの手で、石垣を修復させたい。宮川さんたちの祈りは続く。

 番組では、老いてなお五島の海に生き続ける漁師、宮川さんの姿を見つめながら、この地に続く祈りの歴史、そして、半泊の暮らしを描いていく。知られざる潜伏キリシタンの真実に迫りながら、半泊に続く祈りの意味を考える。人はなぜ、祈るのか。祈りとは…。200年を超えて、今なお続けられる、祈りある暮らし。半泊の日々を追う。

ディレクター・大石久貴(KTNソサエティ制作本部)コメント

「長崎県五島列島には、51もの教会があります。その一つが、半泊教会です。五島列島・福江島の北部にある、半泊。この小さな集落にも教会はあります。教会を守るのは、住民3人だけです。その一人、宮川喜一さんは81歳。今も現役の漁師です。宮川さんは、漁に行く時、帰ってきた時、必ず教会に祈ります。その姿が心を打ちます。何を祈っているのか。宮川さんの祈りを知りたくなりました。半泊は、200年の祈りの歴史があります。いったいどのような背景があり、人々は暮らし、信仰を続けてきたのか。五島の海で生きる宮川さんの姿を描くことによって、祈りが何をなすのか。その命題と向き合いました。美しい五島の風景と祈る姿を見つめてほしいと思います」


<番組概要>

◆番組タイトル

第23回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『祈りの海』
(制作:テレビ長崎)

◆放送日時

11月22日(土)28時10分~29時5分

◆スタッフ

プロデューサー
大浦勝
ディレクター・構成
大石久貴(KTNソサエティ制作本部)
ナレーター
つるの剛士
撮影・編集
井上康裕
空撮
松尾健治
題字
茂田恵

2014年10月8日発行「パブペパNo.14-417」 フジテレビ広報部
※掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。