2013.6.19

第22回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『みんなの学校』
(制作:関西テレビ)

普通の公立学校、大阪市立南住吉大空小学校は「みんなの居場所」を大事にしている。発達障害を抱えた子、自分の気持ちをうまくコントロールできない子など、いろんな理由で学校へ行けない子たちを教職員、保護者、地域の大人たちだけでなく、子供同士でも支えあっている。そんな大空小学校の子供たちや大人たちのありのままの一年間に密着し、大阪や日本の教育問題や進められる教育改革のあり方について問い直す。

<7月10日(水)26時35分~27時30分>


 お互いの違いを理解し、お互いを尊重しあえるような子供たちを育てる。「それぞれが違っていていい」という言葉の意味を心に響かせるような大空小学校の1年間をカメラは見つめ続ける。子供たちや教職員、地域の人たちの生き生きとした表情をとらえた映像から、あるべき公教育の姿や、子供たちのために親や地域の人は何をなすべきなのか、そして、今の大阪や日本で行われている教育改革の方向を深く問い直す番組である。

「自分が作りたい学校はたった一つ、すべての子供に居場所のある学校を作りたい」と話す木村泰子校長。大阪市立南住吉大空小学校が大事にしているのは、みんなが学校に通い続ける「不登校ゼロ」である。大空小学校は「居場所を作る」ことをみんなで共有しながら、開校から6年間、児童と教職員だけでなく地域の人も加わって作り上げてきた。
 この学校には特別支援の対象となる子供たちが他よりも多く通っているが、この学校では、みんなが同じ教室で学ぶ。大空小学校では「障害」という言葉を使わない。知的障害や身体障害だけでなく、発達障害などで席に座っていられない子、こだわりが強くて、すぐに友達とトラブルを起こす子たちなど、子供たちのどんな状態も、一人一人の個性だと捉える。この姿勢は、周りの子供たちにとっても“ちょっと自分と違う友達”たちが抱えている「いま困っていること」が何なのかを、一人一人が思いやることのできる強い力が育っていくきっかけになっている。

 4月から4年生に転校してきたセイシロウは、前の学校では特別支援のクラスに通っていたが、1日1、2時間しか学校にいることができなかった。「普通に学校に通ってほしい」という願いを持つ母と一緒に、大空小学校の校区に引っ越してきた。初めのころのセイちゃんは、みんなと一緒に教室にいることも、我慢できずに、学校を何度も飛び出していた。「大空を引退します」が口癖のセイちゃんをこの学校でサポートしていくのは、担任の先生や特別支援担当の先生だけではなく、校長先生をはじめとする、すべての大人と子供たち、大空小学校の「みんな」だった。

 6年生のカズキは、朝、学校に来ない日が多い。それでも、大空小学校では先生たちが家まで迎えに行くことで、ずっと学校に通い続けていた。開校2年目に新入生として入学した頃のカズキは、「あの子が行くなら大空には行きたくない」といううわさを立てられるような存在だった。そんなカズキのことを校長は、「じゃあ、そんな子はどこへ行くの?そんな子が安心して来られるのが地域の学校のはず」と話し、大人たちみんなで見守っていた。カズキは、大空小学校という居場所で成長を続け、春に卒業を迎えるのだが…。
セイシロウと同じように学校に通えなかった3年生が、この学校のうわさを聞いて、新たに転校してくる。暴力がやめられない4年生は、泣きながら「今の自分の気持ち」をみんなの前で話し始める。次から次に起こり続ける、子供たちの「困ったこと」を大人や友だちみんなは、どのように関わって解決をして行くのかを生き生きと描いた作品である。

ディレクター・真鍋俊永(関西テレビ報道局報道番組部)コメント

「障害を持つ子も普通の子も同じ教室で学んでいる市立小学校があるという話がきっかけでニュースの特集を放送しましたが、その後、2012年4月からの学校の1年間を取材してもらっていいという決断を校長先生からいただけたので、取材が始まりました。前の学校では特別支援の教室に1日2時間くらいしか通えなかった子が転校してくることや、4人に1人が特別支援の対象という6年生たちを番組の中心と考えて取材を始めたんですが、学校に通い始めたら、子供たちは家で過ごすより長い時間こんな日々を過ごしているんだ、という驚きの連続でした。そして、ちまたにあふれている教育に対する批判、特に大阪市では公務員全体への厳しい目があるのですが、これは、何かがかけ違っていると感じました。そんな思いを1年間の子供たち、大人たちの生き生きとした表情など、ありのままの姿を撮影し表現したので、考えるのではなく、感じてほしい番組です」


<番組概要>

◆番組タイトル

第22回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『みんなの学校』
(制作:関西テレビ)

◆放送日時

7月10日(水)26時35分~27時30分

◆スタッフ

語り
山口智充
撮影
大窪秋弘(関西テレビ)
撮影助手
堀貴人
編集
北山晃
MA
中嶋泰成
効果
萩原隆之
題字
谷篤史
プロデューサー
加藤康治(関西テレビ)
ディレクター
真鍋俊永(関西テレビ)

2013年6月19日発行「パブペパNo.13-253」 フジテレビ広報部
※掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。