2012.12.10

第21回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『フッキって何だばぁ?』
(制作:沖縄テレビ)

5月15日、沖縄が本土に復帰して今年40年を迎えた。沖縄にとって大きな節目であるにも関わらず、今の子どもたちは復帰についてよく知らない。平和学習などで戦争の悲惨さが伝えられる一方で、複雑な背景がある復帰については深く語られることはなかった。そんな中、沖縄の本土復帰を求め、当時の国境であった北緯27度線で行われていた海上集会を43年ぶりに国頭村と鹿児島県与論町が実施することになった。復帰当時、小学生や学校の先生だった人たちの証言、そして沖縄を「親島」と慕う与論の人たちへの取材を通し、今を生きる復帰を知らない子どもたちが復帰とは何だったのか考えるきっかけになってほしい。

<12月28日(金)27時55分~28時50分>


 今年は沖縄が本土に復帰して40年。節目を迎えるたびに復帰とは何だったのかという検証を、大人の目線で行う番組がこれまでたくさん作られてきた。その型から抜け出そうというのが今回の大きな狙いである。今を生きる子供たちは日本人として生まれてきた。この子たちにとって昔沖縄が日本じゃなかったなんて、どうでもいいことかもしれない。しかし、復帰の背景を少しでも知ることで、沖縄の将来を考えるきっかけになればとの思いでこの番組制作は始まった。毎回周年が来るたびに「沖縄で戦争があり、アメリカの統治下におかれ、県民は苦しめられてきた、そして復帰を勝ち取ろうという全県的な闘争、その後ようやく復帰を勝ち取ったが今も基地がたくさんあるのが現状だ」といったありきたりな内容ではなく、当時の子供たちは復帰をどう感じたのか、そしてその子供たちに復帰を教えてきた元教職員の証言などから復帰を見つめる。そして今の子供たちに学校現場では復帰をどう教えているのか・・。沖縄戦の組織的な戦闘が終わったとされる6月23日は慰霊の日として公休日でもあり、学校では毎年事前に特設授業を行うなど、子供たちに詳しく教えられている。しかし沖縄にとって大きな節目となった復帰の日、5月15日。その日を今の子供たちはほとんど知らない。学校現場もまた、復帰後に生まれた先生が大半を占め、自身の体験として子供たちに語ることができない現状、そして基地のない平和な沖縄になるという県民の思いが実らないまま迎えた復帰が抱えるその複雑さも重なりあい、子供たちにしっかりと説明できていないのが現状である。

 そんな中、沖縄本島最北端にある国頭村と鹿児島県の与論町が43年ぶりに海上集会を実施することになった。海上集会は、沖縄が復帰するまで国境だった北緯27度線上で、本土側と沖縄側が、沖縄の一日も早い復帰を願い1963年から1969年まで行った復帰運動。この海上集会の再現は与論町からの提案だった。そこにははるか昔から続く沖縄との関係、沖縄を「親島」と慕う与論町側の思いが浮かび上がってくる。そして与論町出身の父親と国頭村出身の母親を持つ一人の男性。この男性は学生時代に海上集会にも参加した経験を持つ。この男性の思いと、与論島にいるいとこと海上集会でのおよそ10年ぶりとなる再会までを追う。さらに国頭村の小学校では、特設授業や担任の授業を通しながら、海上集会や復帰について学んでいく。子供たちは海上集会をフェリーから見て、当時の人が沖縄の復帰にかける思いを感じ取ることができたのだろうか。

 終盤ではナビゲーターの津波信一がこれまでの流れをもとに、国頭村の小学校で授業を受け持つことに。復帰の1年前に生まれた津波が感じた復帰、そして海上集会を振り返り、国頭村と与論町との関係を子供たちと一緒に考えていく。

ディレクター・安谷屋貴英(沖縄テレビ報道部)コメント

「今年沖縄は復帰40年。今では年間入域観光客数500万人を超え、名実ともに観光立県となった。さらに沖縄独自の文化芸能は世界でも注目されるようになった。そしてスポーツ界でも。この40年間で沖縄は見違えるように変わった、しかしいまだに変わらない基地の存在もある、しかしそのことをこれまでのようにストレートに伝えるのではなく、見ている人が何かしら感じ取っていただけたらと思う。この番組で答えを出そうと思っていないし、出せるものでもない。そんな復帰のあいまいさが視聴者に伝わり、子供たちが親御さんとそして先生と復帰について、考えるきっかけになればいいと思う」


<番組概要>

◆番組タイトル

第21回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『フッキって何だばぁ?』
(制作:沖縄テレビ)

◆放送日時

12月28日(金)27時55分~28時50分

◆スタッフ

プロデューサー
我那覇勉
アドバイザー
山里孫存
ディレクター
安谷屋貴英
構成
渡邊修一
ナレーター
津波信一
撮影・編集
大城茂昭

2012年12月10日発行「パブペパNo.12-442」 フジテレビ広報部
※掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。