2012.6.26

第21回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
ユッケ ~「生食肉」に潜む闇~ 
(制作:富山テレビ放送)

2011年に発生した激安焼肉チェーンの集団食中毒は、富山県などで5人が死亡する事態となった。警察も捜査に乗り出すが、焼肉チェーンと卸元からは患者からの菌が検出されず、捜査は難航している。一方、当時、国内では「生食用」と表示された肉は流通していなかった。では、なぜ、ユッケが飲食店で提供されていたのか?そこには、生食肉をめぐる不可解な現実があった。

<7月3日(火)27時10分~28時05分>


 2011年に発生した、焼肉チェーンのユッケ集団食中毒問題を追ったドキュメンタリー。一連の事件で6歳の男児を含む5人が死亡、患者は181人に上った。食中毒が起きた焼肉チェーン「えびす」は低価格を売り物に店舗を拡大してきた。店で一番高いメニューは480円。目玉商品はひと皿100円だ。食中毒の原因となったユッケは280円の人気商品だった。

 ユッケ用の肉は東京の食肉卸、大和屋商店から納入され、その安全性について、えびすは「卸元からユッケ用に勧められた」と主張したが、卸元は「生食用ではなかったと」と、主張は食い違う。そして、厚生労働省は国内に生食用の肉は流通していないと発表。ちまたにユッケはあふれているのに、なぜ、生食用肉は流通していないのか?取材が始まった。

娘の誕生日に、家族で富山県砺波市のチェーンの店を訪れた男性(48)は、4人の家族が次々と食中毒症状を訴え、症状が悪化してゆく様子を忘れることができない。「おなかが痛い」と苦しみ続ける家族。やがて、妻(43)と、義理の母親(70)が亡くなってしまう。残されたのは自分と、育ち盛りの2人の子どもたちだった。えびすは事件後、特別清算に踏み切るが、会社側からの連絡は途絶え、男性は不信を募らせてゆく。

 事件の根底には、生食肉をめぐる、ちぐはぐで、あいまいな制度と、低価格競争を急ぐあまり、安全をおろそかにした、企業の姿があった。事件から一年、補償の先行きも見えず苦悩する被害者の今と、身近な食材、肉をめぐるグレーゾーンに迫った。

砂原宏昭ディレクター(富山テレビ報道部)コメント

「2011年のゴールデンウィークに飛び込んできた、“ユッケ食中毒事件”。番組は事件発生から一年がたつのを機に、あらためて生食肉の流通の問題、事件の背景に迫ろうと企画しました。"生食肉"と表示することに消極的だった業界、規制の甘さ、安全意識に欠けた焼肉チェーン…こうした要素が混じりあい、今回の事件が起きました。そして、事件は特異な例ではなく、時代の一端が現れたものだったと思います」


<番組概要>

◆番組タイトル

第21回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『ユッケ ~「生食肉」に潜む闇~ 』
(制作:富山テレビ放送)

◆放送日時

7月3日(火)27時10分~28時05分

◆スタッフ

取材
齋藤歩
ディレクター・構成
砂原宏昭
プロデューサー
小島裕一
ナレーター
窪田等

2012年6月26日発行「パブペパNo.12-224」 フジテレビ広報部
※掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。