2011.8.30
<2011年8月31日(水)26時10分~27時5分>
地方が大きな悲鳴を上げている。財政難に過疎化はとどまるところを知らない。"現状を変えてほしい"。今、全国各地で“改革”を求める声が相次いでいる。
鹿児島県の西に位置する阿久根市は日本有数のイワシ漁の拠点だ。最盛期には年間75億円を生み出した豊かな町。しかし漁獲高の落ち込みとともに、町は一気に沈み込んだ。閉塞感にあえぐ市民は1人の男の“改革”に期待を寄せた。
市議会議員一期半ばの竹原信一氏(当時49)。「市の職員や議員たちの給与を大幅にカットし、市民のために予算を使う。」官民格差の是正を訴えたこの市民のための改革は人々の心を大きくつかみ、改革派市長の誕生に思えた。
2008年8月、市長に就任した竹原氏は早速、公約の実現に向けて動き出す。議員定数の大幅削減に、市の職員の給与公開。次々と打ち出す改革は常に議会や市職員との対立を生んだ。
うまく進まない改革に、竹原氏は1つの手段に踏み切る。災害など緊急時にのみ、市長が議会にはからずに物事を決めることができる「専決処分」だ。竹原氏はこの「専決処分」で、職員のボーナスや議員報酬を大幅にカット。その後も人事から予算まで次々と独断で決めていく。しかし、それは市長と議会が話し合いで決める民主主義の根幹を大きく揺るがすもので、戦後60数年の地方自治の歴史の中で、前代未聞の事態となった。
竹原氏はいつしか“独裁者”と呼ばれ、最後は改革を期待した市民の手によって、その座を追われることになる。混乱と混迷を重ねた869日だった。
“独裁者”が生まれた小さな町。それは地方都市が抱える底知れぬ痛みを浮き彫りにした。阿久根市民の1人が言う。「阿久根の問題は日本の縮図ですよ。」
竹原氏が去った後も町では改革を求める声がやまない。市民が選んだ「竹原改革」とは何だったのか。2年半にわたる竹原市政を通して、今、地方が直面する窮状について、考える。
「過疎に財政難。街にはシャッター街が広がり、今、地方は底なし沼のような厳しい現実に直面しています。閉塞感にあえぐ人々は“現状を何とか変えてほしい”と、改革を求めてやみません。鹿児島の小さな町、阿久根では、そんな人々の声が1人の市長を生み出しました。わずか2年半、“独裁者”とまで言われたその市長の誕生から最後までをたどると、地方都市が抱えるさまざまな問題が見えてきます。この番組が今、地方に住む人々にとって、自分の街をこれからどうすべきかを考えるきっかけに、また、地方から都会へ出た人たちがあらためて、自分の故郷がどんな状況にあるのかを知ってもらうきっかけになればと思っています」
第20回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『"独裁者"が生まれた町~鹿児島・阿久根市 混乱の869日~』
(制作:鹿児島テレビ)
2011年8月31日(水)26時10分~27時5分
2011年8月30日発行「パブペパNo.11-207」 フジテレビ広報部
※掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。