2011.5.31

第20回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
青春!月定バレーボーイズ
(制作:北海道文化放送

夜の定時制高校を舞台に、「青鬼」と呼ばれる担任と4年生の戦いの日々。北海道札幌月寒高校定時制、略して月定の4年生男子は、強引で理不尽な青島正樹先生に怒鳴り続けられながら、高校最後の1年間を迎えた。「いいからやれ!」と強制されたバレーボール部。全国大会をかけた勝負、そして、卒業後の人生をかけた本当の戦い。就職へ進学へ、厳しい現実の中で、あくまで前向きに、理想の自分を追いかけていく。汗と涙、笑いと怒号。真剣勝負の物語。

<2011年6月8日(水)26時10分~27時5分放送>


 「高校生活最後の1年は、受験、就職活動を勝ち抜くためのネタをつくる1年間とする。志望動機のネタ、自己アピールのネタ、人と違うネタ。いいからやれ!」 北海道札幌月寒高校定時制、略して月定の4年生担任、青島正樹先生は2010年度始業式の日、受け持ちの22人に宣言した。第20回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『青春!月定バレーボーイズ』(制作:北海道文化放送)は、夜の定時制高校を舞台に、「青鬼」と呼ばれる担任と4年生の戦いの日々を描いた真剣勝負の物語。

 就職したくても長引く就職難、経済的事情や学力面から簡単ではない進学―。定時制高校の生徒たちが、卒業後、自分の夢や理想の進路をかなえるには、厳しい「競争」が待ち受けている。その競争を勝ち抜くため、とはいえ、「ネタをつくれ」という進路指導は、それまで聞いたことがない、風変わりなものだった。

 青島正樹先生、46歳。通称「青鬼」。日々怒鳴りまくり、強引で厳しく、指導も見た目も「規格外」。その強引さは、「やらされてるでもいいから、やれ!」のひと言で、クラスの男子全員を強制的にバレーボール部に入部させるほどだ。実は、この月定バレーボール部も、青島先生が考えた「進路のためのネタ」。ゼロからつくった「経験者ゼロ」のチームで、定時制の全国大会を目指すと言い始めた。月定のモットーは、「朝・起きて、昼・働いて、夜・学校」。かつての定時制高校なら当たり前かもしれないが、現在は家計を支える意味に加え、毎日きちんと学校に通えるよう、規則正しい生活を送らせたいという高校側の思いがある。「夜・学校」のあと、さらに「放課後・部活」の強制。「やめたくても、青島先生にやめさせてもらえないから」と言いながらも、ボールを追いかける彼らの表情は、とてもいきいきしていた。うまくプレーできず、いらだちを爆発させる姿もまた、エネルギーに満ちていた。強制されて始めたバレーボールだったが、コーチの招へいや練習試合を経て、彼らの心に「勝ちたい」「勝ってみたい」と思う気持ちが確実に芽生えていった。部活動に打ち込むのは、多くの部員にとって初めての経験だった。全校生徒の6割はひとり親家庭、4割は不登校経験者―。月定では、いじめられた過去や複雑な家庭の事情を抱え、人と真剣に向き合うことを避けてきた生徒たちが少なくない。「ちゃんと」中学校に通えていなかった子どもたちだ。そうした彼らが、過去をリセットして、学校生活をやり直したいと思い立ったとき、「受け皿」となっているのが、月定をはじめとした都市部の定時制高校だ。
 青島先生が彼らに伝えようとしていたのは、「熱く生きろ」ということだ。社会全体にあきらめや無気力が漂う中、とりわけ定時制の生徒たちは「どうせ自分なんて」「頑張っても仕方がない」との思いが強いという。そんな生徒たちに対し、青島先生は逃げることを決して許さず、「ダメならダメでもいいから、やれ! やってみろ!」と言い続けていた。青島先生の言葉の中には、私たち大人が聞いていても、一瞬ドキッとするメッセージがある。互いを尊重するあまり、ぶつかりあうことを必要以上に恐れていないか。面倒だからと、意見を戦わせることをむやみに避けていないか。この「青春!月定バレーボーイズ」を通して、人とかかわる意味、特に学校における教師と生徒のかかわりについて、あらためて考えてもらうきっかけになれば、と思っている。

細川智子ディレクターコメント

「コメディー」のようでもあり、「スポ根ドラマ」のようでもありますが、あくまで報道ドキュメンタリーです。北海道札幌月寒高校4年の教室に1年間通いましたが、青島先生と彼らの高校生活は日々、驚くほどにドラマチックでした。夜の定時制高校を舞台に、何をどのように描くのか、最後まで迷いましたが、最終的に青島先生と生徒たちの喜怒哀楽に満ちたコミュニケーションを、番組の中心に据えることにしました。彼らを取り巻く現実は、私たちの想像以上に厳しいのかもしれません。しかし、どんな状況でも、明るく前向きでいることの大切さを、彼らに教えてもらった気がします。見終わった後、「やっぱり学校っていいな」と感じていただければ、幸いです。


<番組概要>

◆番組タイトル

第20回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『青春!月定バレーボーイズ』
(制作:北海道文化放送)

◆放送日時

2011年6月1日(水)26時10分~27時5分

◆スタッフ

プロデューサー
京谷和央
ディレクター
京谷和央
細川智子
ナレーション
八木隆太郎
撮影
兵庫邦彦
音声
櫛桁めぐみ
編集
浜潟 淳
音響効果
千田耕平
構成
細川智子

2011年5月31日発行「パブペパNo.11-114」 フジテレビ広報部
※掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。