2009.11.12

第18回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
天空の座標を見つめて
   〜秘史“特攻輸送”5千キロ〜

(制作:さくらんぼテレビ

170万人もの兵士、38万人の民間人が犠牲となった太平洋戦争の終戦からはや64年。
実体験として戦争を知る世代も少なくなり、時の移り変わりと共に、消えゆく戦争の語り部たち。
かつて旧日本海軍の飛行艇偵察員として、
索敵や輸送など多くの危険な任務に従事した87歳の男性の貴重な戦争体験の証言や思いを通し、
あらためて平和の尊さ、そして平和への祈りを、戦争を知らない世代へ訴えていく。

<2009年10月23日(金)深夜3時35分〜4時30分放送>


 2009年10月23日(金)深夜3時35分〜4時30分放送の、第18回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『天空の座標を見つめて〜秘史"特攻輸送"5千キロ〜』(制作:さくらんぼテレビ)は、終戦から64年がたち戦争を知る世代が少なくなった今、かつて旧日本海軍の飛行艇偵察員として危険な任務に従事した87歳の男性の貴重な戦争体験の証言や思いを通し、戦争を知らない世代へあらためて平和の尊さ、平和への祈りを訴えていく。
 170万人もの兵士、38万人の民間人が犠牲となった太平洋戦争の終戦からはや64年。実体験として戦争を知る世代も少なくなり、悲惨なその記憶は年々薄れてきている。戦争に身を投じた兵士たちは当時何を感じ、何を思い、何のために命を懸けて戦ったのだろうか。
 山形県最上町在住の平山幸夫さん。今年88歳の平山さんは、かつて日本海軍の大型飛行艇の偵察員として、偵察や輸送など、数々の危険な任務に従事していた。当時、平山さんたち偵察員が駆使していたのが「天文航法」と呼ばれる技術。夜間に目印のない洋上を飛行する際は、気泡六分儀と呼ばれる計器で星の高度や位置を測り、そのデータから自らの機体の現在位置を把握していた。そして平山さんは、その技術の正確さから、仲間から「天測の神様」と呼ばれていたという。
 偵察部隊は攻撃部隊と比べて地味な印象があるが、実は非常に危険な任務。護衛する戦闘機もなく、たった一機で最前線の敵艦隊を探し出さなければならない。そして敵を発見したその瞬間、敵の猛烈な攻撃を受けることになる。また広い洋上で自分たちの位置の計算を誤り、目的地にたどり着けずに燃料切れで墜落する機体も多かったという。まさに常に「死」と向かい合わせの任務だった。
 襲ってくる戦闘機、死んでいった戦友の顔…。平山さんの戦争の記憶は、いつも満天の星と重なっている。見上げればいつもそこにある美しい満天の星空さえも、敵を攻撃し、身を守る武器になってしまうのだ。
 その高い天測技術と強運もあって、太平洋戦争を生き残った平山さんだったが、予科練の同期の8割以上が戦死。親友や多くの仲間を失った戦争の記憶を、平山さんは戦後、ずっと自分の中に秘めたまま生きてきた。
 戦争を生き延びた数少ない仲間も、年々くしの歯が欠けるように消えていき、参加する戦友会も縮小を余儀なくされた。「自分にとってあの戦争はいったい何だったのだろうか」。人生の晩年を迎えた平山さんは、自身の戦争体験と記憶を次の世代に残そうと、その重い口を開き始めた…。
 この番組は、平山さんが経験してきた悲惨な戦争体験の証言、そして思いを通して、あらためて平和の尊さ、平和への祈りを「戦争を知らない世代」に伝えるメッセージである。

企画/ディレクター・横尾 崇コメント

 「太平洋戦争中、夜空の星を頼りに飛行機を導いていた」 平山さんが語る証言は、星にロマンチックなイメージしか持ち合わせていなかった私にとって、大きなカルチャーショックでした。そして数々の死線を乗り越え、90歳近くまでその命を永らえたはずの平山さんが、今なお、自分が生き残ってしまったことへの悔悟の念を持ち続けていることに、戦争の残酷さや非業を感じずにいられませんでした。星の時間からすれば、私たち人間の一生はまばたきすらできない一瞬。地上のさまざまな利害をめぐる争い事も、些事に過ぎません。二度と戦争の過ちを繰り返さないためにも、私たちはかつてのように星を見上げ、星の視点から人間の営みをふかんすることが必要ではないだろうか。終戦から60年以上が経過し、戦争に身を投じた方々の存在や記憶が急速に失われつつある今、それが私たち「戦争を知らない世代」に課せられた責務のように感じてなりません。


<番組概要>

◆番組タイトル

第18回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『天空の座標を見つめて〜秘史“特攻輸送”5千キロ〜』
(制作:さくらんぼテレビ)

◆放送日時

2009年10月23日(金)深夜3時35分〜4時30分放送

◆スタッフ

ナレーター
桑島法子
カメラ
大友信之
編集
長南亜希子
構成
高橋 修
企画/ディレクター
横尾 崇
プロデューサー
峯田昌洋

「パブペパNo.09-277」 フジテレビ広報部
※掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。